漫才【会話が盛り上らない】
全「どうもー!よろしくお願いします!」
ボケ1「いやー、俺さ、自分で言うのもなんだけど、けっこうな雰囲気イケメンじゃない?」
ツッコミ「確かに自分で言うのもなんだな!…まあ、そうだね。君は雰囲気イケメンだよ」
ボケ2「よっ!雰囲気イケメン!にくいね、このこのっ!」
ボケ1、頭をかきながら、
ボケ1「いやー、それほどでも…」
ツッコミ「いや、誉めてないから!雰囲気イケメンって基本悪口だからね!」
ボケ1「そんな雰囲気イケメンな俺も、最近ちょっと悩みがあってさ」
ツッコミ「ええ?何、どうしたの?」
ボケ1「近ごろ、会社の同僚と話してても微妙に距離を感じるんだよね」
ツッコミ「ああ、まあそういう時もあるよね」
ボケ2「わかるわー」
ボケ1「で、思いきって何でか聞いてみたら、俺の会話は盛り上りにくいって言われてさ」
ツッコミ「そうなんだ。例えばどんな話してるの?」
ボケ1「この前、俺の部屋に若い女の幽霊が出た時の話なんだけどさ…」
ツッコミ「待って待って!確かにちょっと変わってるね。飲みの席とかでした方がいいやつだよ、それ。」
ボケ2「若い女の子が家に来て羨ましいな!」
ツッコミ「いやいや、冷静になって。若い女の子っていっても幽霊だからね?」
ボケ1「会社から帰ってきてくつろいでたらさ、いきなり現れてびっくりしちゃった」
ツッコミ「まあ、そりゃ驚くだろうけど…」
ボケ1「また来たら嫌だなぁ」
ボケ2「お前んち、オートロックだから大丈夫だろ!」
ツッコミ「いやいや、大丈夫じゃないから。あいつらオートロックでもすり抜けるし」
ボケ1「現にもう入ってきてるしね」
ツッコミ「まあ、そもそも幽霊見えるのがどうなんだって話なんだけどさ。他にはどんな話題をだしたの?」
ボケ1「あー、昔飼ってたペットの話とかさ」
ツッコミ「おお、いいじゃん。動物の話とかほっこりするし。」
ボケ1「まあ、すぐ死んじゃったんだけどね」
ツッコミ「いや、ダメじゃん!かわいそうだし、それじゃ会話盛り上んないよ!」
ボケ2「俺だって昔、10年くらい雑種犬飼ってたぞ!」
ツッコミ「ああ、いいね!そういう一般的なのがいいから…(考えて)あ、そうだ!会社の同僚と話すなら、時事ネタとかいいんじゃない?」
ボケ1「時事ネタねぇ…ああ、この前ジェンダーとLGBTQの話したよ」
ツッコミ「うん、けっこう重めの話だね」
ボケ2「ジェンダーーーー!!♪」
ツッコミ「おおっと、まさかのホイットニー・ヒューストン!…でもだめだよ、このネタ茶化したら。下手したら国際問題だから」
ボケ2、頭を抱えて膝をついて、
ボケ2「だめかー!」
ツッコミ「ねえ、もっと軽い話題にしようよ。例えば今なら野球の交流戦盛り上がってますね、とかさ」
ボケ1「あー、スポーツの話ね」
ボケ2「いや、そこはSDGsの話しろよ!」
ツッコミ「いやいや、確かに大事なことだけど、昼休みにする同僚とのちょっとした話題には不向きだよ。」
ボケ1「社会派だねぇ」
ツッコミ「そういう話題は上司としたらいかがかな」
ボケ2(ポーズとりながら)「うーん、エシカル!エシカル!」
ツッコミ「それ、エシカルの使い方完全に間違ってるよ」
ボケ1「時事ネタはチョイスが難しいかな。俺、同僚の趣味とかよく知らないし」
ツッコミ「じゃあさ、無難に天気の話とかどう?」
ボケ2「いや、それは天気予報見ろよ!」
ツッコミ「いやいや、別にいいでしょ。最近暑いね、とかさ当たり障りなくていいんじゃない?」
ボケ1「天気の話はしたよ。…札幌のだけど」
ツッコミ「何で札幌の天気の話をするの?」
ボケ2「こいつの生まれ故郷だよ!」
ツッコミ「それは知ってるよ!生まれ故郷の今日の天気を聞かされてもみんな困るだろ!」
ボケ1、急にツッコミっぽく割り込んできて、
ボケ1「スープカレーがおいしいよっ!」
ツッコミ「それも知ってるよ!…っていうか、そっちまでこの流れに入ってきたら、この漫才収集つかんぞ…」
ボケ1「ごめんごめん」
ツッコミ「うーん、やっぱりさっきから聞いてると、あなたの話題選びは盛り上りにくいね」
ボケ1「そうなのかな」
ツッコミ「会話はキャッチボールだからさ。みんなが入りやすい話題を選ぶのがいいと思うよ」
ボケ1「うん、わかった。ありがとう」
ボケ2「よし!これで明日は会話のホームラン王だな!」
ツッコミ「あー!もうっ!さっきから君は相づちとリアクションがズレ過ぎてるよ!全然会話が噛み合わないじゃないか!」
ボケ2、納得したように
ボケ2「あー!だから俺も会社の人と会話が盛り上がらなかったのか」
ツッコミ「いや、今頃気づいたのかよ!もういいよ!」
全「ありがとうございました」
完