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一人で完結の生産者※仮題  作者: 銀狐@にゃ〜さん
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新章スタートですよ〜



『アカウントID○○○○○○、アバター名:アースを不正ツール使用の疑いにより、一時アカウントを凍結させていただきます』


抑揚の無い声と表情で目の前にいる女性は言い放つ。

俺は今、一面真っ白に覆われた場所にいる。


どうしてこうなった…


時は少し遡る…



4月も終わりに差し掛かり、世の中は大型連休であるGWを目前にして浮き足立った様相を見せている。

かく言う俺も、平凡に学生生活を送りつつ、家に帰ってはE・Oにログインして遊ぶと言うことを繰り返していた。

そんな4月の最終週。

何気なくE・Oの公式サイトに目を通していると、そこには大型アップデートの告知がされていた。


大型アップデートの実施される日は4月の最終日、日付変更と同時に半日をかけての大掛かりなものになるらしい。

内容を確認してみると、様々な追加要素が盛り込まれ、GW最終日にはイベントも行うようだ。


現在の俺は実家から離れて生活している。

俺とアイツの冷戦状態は未だ続いており、これといった変化も無く日々を過ごしている。

俺がこうして一人暮らしをする事になって、厄介になった事がいくつかある。


幼馴染みである篠崎亜子。

彼女からの電話やメールが非常に多くなっているのだ…


実家にいた頃は家が隣同士ということもあり、毎日のように会話をしていたが、俺が実家を出てからというもの、学校がある時はある程度連絡が来る頻度は減るのだが、放課後になると同時に俺のスマホに着信が来るのだ。

それだけでは無く、家に到着すれば着信かメールが飛んでくるし、どうでもいいような内容でも逐一報告が上がってくる…

E・O内では活動拠点が違うため、初日の強行軍で俺がいる街『クラフト&サバイバル』で会ってからは一度も顔を合わせていない。

だがチャットやらボイスチャットやらで亜子は何かしらで絡んでくる始末だったので、いい加減鬱陶しく思い始めた俺はリアルでは着信拒否、ゲーム内ではブラックリストに登録したのだった。


やっと落ち着いたと思った次の日、いつものように登校した俺を待ち受けていたのは同じクラスの委員長、音無からの叱責だった。


「水嶋理玖!アンタ篠崎さんに何したのよ!?」


「…………」


なんか言ってるけど面倒だから完全スルーで自分の席に座った。


「無視すんな!!」


勢いよく俺の席の机を叩き凄い剣幕で俺を睨みつける音無だったが、俺に思い当たる節は無い。


「あの篠崎さんが休むなんてアンタが原因としか考えられないでしょうが!」


ふぅん…

亜子は今日休みなのか。

というか…


「他クラスの生徒の登校状況も把握してるとか…何お前?ストーカーなの?」


「なっ!?ご、誤魔化すなぁ!!」


「とりあえずうるさいからどっか行ってくれ」


うんざりした様子を隠すこともなく1限目の準備を始めようとする俺に、音無はなおも食い下がって問い詰めて来るので、端的に俺が何をしたのか教えてやった。


「着信拒否にしただけだ」


「はぁ!?それだけな訳ないでしょ!?」


「じゃあお前は寝てる間に着信が100件を超えてたりしたらどう思うよ?」


「そんなデタラメーー」


俺は自分のスマホの着信履歴を音無に見せてやった。

それを見た音無の表情が一気に青褪めていく。


「これだけじゃ無いぞ?メールは毎日どうでもいいような内容のものが何十件も飛んでくるし、落ち着いたかと思えばLI○Eのスタンプ乱舞だな」


俺と亜子のトークを見せてやると音無は崩れ落ちた。


「これでも俺に非があるのか?」


「わ、私が悪かったわ…」


音無はがっくりと項垂れながら自分の席へと戻っていった。

何かにつけて俺にいちゃもんを付けてくる音無だが、正直俺にとってはどうでもいい奴だし絡んできて欲しくもないんだよな。

俺は1人が好きだし、団体行動なんてものは最も苦手とするものなのだ。

行事だって何か理由をつけてサボる気満々である。

修学旅行?

そんなの期間中は図書館登校で乗り切るつもりですが何か?


ともあれ、俺はこのクラスでは特に浮いた存在となっている。

そもそも仲良くなんてするつもりもさらさら無いからどうだっていいんだが。



そして日は進み、あっという間に4月は終わりを迎える事となる。


アップデート終了の時間となり、一通りの家事を済ませた俺は、いつも通りにVRマシンをセットしてE・Oにログインする。


「ダイブイン」


起動すると意識が暗転する。

数分ほどでアップデートが完了し、いつものようにログイン画面が表示されアカウントIDを入力してログインすると、俺はログアウトした場所とは異なる一面真っ白に覆われた場所に立っていた。


「あれ?どこだここ?」


俺がきょろきょろと周りを見ていると、上から数人のアバターが俺を取り囲むように降りてきた。


『初めましてアースさん。我々は『アースガルズ・オンライン』を運営している開発スタッフです』


「運営さん?」


運営が俺に何の用事があるんだ?

全く心当たりがない俺は怪訝な表情で首を傾げていると、様子を察したスタッフの1人が厳しい表情で俺にこう告げた。


『アカウントID○○○○○○、アバター名:アースを不正ツール使用の疑いにより、一時アカウントを凍結させていただきます』


「………は?」


不正ツール使用の疑いってなんだそりゃ?

全く身に覚えの無い内容を突きつけられた俺は首を傾げる。


『現在君に掛けられている容疑は他のプレイヤーからの通報によるものです。内容は不正ツールを使用しての製作行為とありますがこれについて何か弁明はありますか?』


「そちらが弁明って言ってる以上、その不正ツールを俺が使っていると断定してるように聞こえるんですがね?」


『そのような行為は無いと?』


「全く身に覚えがありませんね」


『ではこの動画を見ても同じ事が言えますか?』


運営スタッフの1人が手をかざすと、大型スクリーンの様な物が現れた。

そこに映し出されたのは、いつぞやの失礼女との製作勝負の映像だった。

こんなものを見せられたところで俺が言えるのは変わらない。


「全く身に覚えがないですね。普通に製作しただけですよ」


『では、過去のアースさんの行動履歴を精査、およびシステムスキャニングを行っても問題ありませんか?』


「どうぞご自由に?何も出てこないと思いますけど」


痛くも無い腹を探られたところでどうという事はない。

なんなら今ここで実演してやってもいいくらいだけどな。


しばらくして、運営スタッフの俺に対する調査が出たらしい。


『そんな…全て正常だと…』


『マザー、この結果に間違いはないのですね?』


『アカウントID○○○○○○、アバター名:アースのログを参照しましたが、不正の痕跡は一切検知されませんでした。彼は一切不正を行なっていないと提言します』


『ふむ…』


ほらね?


「マザーさん?で良いのかな?弁護ありがとうございます」


『いえ、私は事実に基づいて発言をしているだけで弁護をしたわけではーー』


「それでもありがとう」


『いえ…』


俺がマザーさんに感謝の意を示すと、どう反応したら良いのかわからないといった様子でマザーさんは口籠ってしまった。


さてさて、いちおう俺の潔白はマザーさんによって証明された様だが、他の運営スタッフさんは納得がいっていないらしい。

どうしたものかと思っていると、運営スタッフさんの1人がこんな提案をしてきた。


『では確認の為、彼には今ここでこちらが指定したアイテムを製作して見せてもらうというのはどうでしょうか?もちろん製作中はスキャニングしながらという形で』


『そうですね…アースさんは異論はありませんか?』


なんだか勝手に話が進んでいるが、どうやら俺は試されている様だ。

ならばこちらから吹っかけてやろうじゃないか。


「それは別に構いませんけど、それだけでそちらの気が済むんですかね?これだけ疑ってかかってるんだからもっと条件厳しくしましょうよ?」


『何ですって…?』


「俺にとっての製作作業は音ゲーと変わらないんですよ。ここで出した結果と同じ結果を現実の方でも出して確認するっていうのはどうです?」


『それはつまり、現実でも我々に証明して見せるということでしょうか?』


「そう言ってますね」


聞き返してきた運営スタッフさんの1人に向き直り、俺は不敵に告げる。


『分かりました。ではこの後で時間を空けアースさんのいる場所へスタッフを派遣いたしましょう。ですが、証明されるまではこのままアカウントIDは凍結されたままとしますがよろしいですか?』


「もちろんいいですよ」


俺の泰然とした態度を見て一部の運営スタッフさんの眉が吊り上がる。

その不穏な空気を察したマザーさんがすかさずこう告げた。


『アバター名:アースに不正行為が確認されない限り、根幹システムを司るマザーAI、識別名:フリッグの権限において彼のデータの完全保護処理を致します。正当な理由もなく彼のデータを抹消する様なことは私が許しません』


驚いた。

運営スタッフさんの1人と思っていたが、彼女は今回のアップデートで導入されたマザーAIの本体だったらしい。

というか、なんか少し怒ってる?

ふと彼女と視線が合うと、彼女は微笑み返してきた。


「あ〜…マザーさん?」


『フリッグとお呼びください』


「失礼、フリッグさん。どうしてそこまで俺の肩を持つ様な真似を?」


正直不思議でしかないのだ。

全く面識の無い俺に対しての手厚い対応とAIである彼女がどうしてこんなに良くしてくれるのか?

その疑問はフリッグさんが答えてくれた。


『私は根幹システムであり、管理システムも司っています。アースさんのデータ履歴を参照した結果に基づく私なりの見解と倫理的観点からの保護措置となります。私としましてはこの疑惑を解消した際に報酬をお出しすることも検討しております』


至れり尽くせりじゃないですか…


「じゃあフリッグさんの期待に応えなきゃならないですね」


『期待しています』



こうして俺はログインするや否や、身に覚えの無い疑惑を解消するために、運営スタッフが提示するアイテムを製作する事になったのだった。




やらかしすぎた結果の垢BAN手前の段階とか…

早速やらかしてくれるアースであります…


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― 新着の感想 ―
[一言] 続きみたいー
[一言] 不正があったか調べる前にアカ凍結して不正がなかったって判断されたのに疑ってるって運営大丈夫なんかな?
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