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一人で完結の生産者※仮題  作者: 銀狐@にゃ〜さん
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しかし勝負といっても【生産職】の勝負ってどうやって決めるんだ?

判定基準が分からんのだが。


「お題は『スチールナイフ』の製作、勝敗は周りのみんなに決めてもらうって事でどうだい?」


どうだいって言われてもなぁ?

俺は後ろに控えている2人に視線を向けて尋ねる。

するとゲンさんが頷き補足してくれた。


「ミーシャが言ったのは簡単に言うなら多数決みたいなものだね。ギャラリーに2人が製作した物を見てもらってどちらの製作したアイテムが優れているかを見極めてもらう感じかな」


なるほどね…

場合によっては出来レースになるかもしれないわけか。


「一つ聞くけど、周りに集まってる人はアンタらの身内とかじゃないよな?もしそうなら出来の如何問わずに俺の負けが決まるようなもんなんだけど?」


「私がそんな事するように見えるのか!?」


「うん。アンタ性格悪そうだしな」


俺からの第一印象が良いと思ってるのか?

現在進行形で喧嘩を売られてる状態なのに良い印象なんて持てるわけがない。


「お前だって性格悪いだろうが!?」


「悪いですよ?いきなり喧嘩売ってくるような人に対しては特に」


「ムカつくムカつくムカつくーーー!!」


「ちょっとミーシャ落ち着きなって」


ユーリさんが1人いきり立つ失礼女を宥めていると、ゲンさんが俺の質問に答えてくれた。


「君が心配しているようなことはないよ。こんな性格はしてるけど、ミーシャだって【鍛治師】のプライドがある。もちろん俺にもユーリにもね。もし組織票みたいになったら俺は【木工師】を今後一切名乗らないし作らないと誓おう」


「わ、私も誓います!!」


ふむ…

まぁそういうことならいいか…

俺が頷いて了承すると、失礼女はMQの『スチールナイフ』に使う素材を取り出した。


「よく聞きな!互いのハンデを無くすため、今回使うのはこのMQ素材だ!この素材を使って出来上がったものをみんなに判定してもらう!」


「はいはい…何でもいいから早くしろよ」


「後で吠え面かいても知らないからな!?私から作るぞ!」


失礼女が鍛治キットをその場に出現させる。

使っている炉やハンマー、金床を見る限り、失礼女の【鍛治師】レベルは35〜40といったところだろう。

トッププレイヤーが製作する光景を一目見ようとだんだん野次馬が増えてきている。


「行くぞ!!」


失礼女がインゴットを炉に突っ込む。

俺は他人がどう作ろうが知ったこっちゃないのでメニューを開いて【鍛治師】の装備を弄っておく。


ギィン!!ギィン!!ジュワッ!!


失礼女の作業を野次馬連中が褒め称えている。


『さすがはトッププレイヤー』

『今のところ結構難しいはずなのに…』

『レベルが違いすぎる…』


俺はその様子を静かに観ていたが、工程もキツイ場面に突入していく。


カンカンカン!!キンキン!!


今失礼女が行っているのは『成形』だ。

【鍛治師】にとってここが一番のポイントになる。

というのも、この成形作業までの作業でどれだけ高評価を取っているかでここの難易度が変わってくるのだ。


「うっ…くぅ!?はぁ!!」


流れ出る汗を拭うこと無く、失礼女は懸命にハンマーを振る。

そして…


「出来た!!」


出来上がったのはHQの『スチールナイフ』だ。

金色の輝きが眩しい。

出来上がった結果を見ていた野次馬達は各々で拍手や指笛などで失礼女の作業を賞賛する。


「はぁ…はぁ…ど、どうだ!?」


俺に指を突きつけてドヤ顔でなんか言ってきた。


「わー、すごいすごいー(棒)」


俺は無表情で軽く拍手してやった。

それが気に食わなかったのか、また顔を真っ赤にして怒る失礼女。

しかし、俺が準備を始めるために【鍛治師】用の装備に換装すると、ぽかんとした表情を浮かべる。

失礼女だけじゃない。

ゲンさんやユーリさん、周りの野次馬達も目を見開いている。

僅かな静寂が辺りを包む…

そして…



『『『『ぎゃははははははは!!!』』』』



俺の装備を見た連中が爆笑しだした。


『何だよあいつ!?あんな装備でトッププレイヤーのミーシャとやり合うつもりか!?』

『完全に初心者でしょアレ』

『馬鹿な奴!失敗するのがオチだな!』


俺が換装した装備はハンマーと炉以外、全て初心者の装備だった。



「お前…私を舐めてるのか…?」


「ん?別に舐めてはいないぞ?」


「ふっざけんな!!」


失礼女の怒号が轟く。

その怒号に呼応するかのように笑い声も鳴りを潜めた。


「そんな初心者装備で作れるほどこの『スチールナイフ』は簡単なもんじゃないんだ!」


「君、それはミーシャを馬鹿にしてるのと変わらない行為だよ…いくらなんでもーー」


「ハンデだ」


怒る失礼女

そして周りの言葉を代弁するかのようにゲンさんが指摘して来るが、俺はその言葉を遮るように言ってやった。


「トッププレイヤーっていうからSQを期待してたんだけど、期待はずれだったわ…」


俺は大げさに落胆した様子を見せると、周りの野次馬から罵声が飛んできた。

好き勝手言ってくれてるが、これで俺が失礼女よりも上質な物を作ったらどんな顔をするのやら…

出来上がった時のコイツらの表情を想像して俺は鼻で笑う。


「魅せてやるよ…」


周りのざわめきも落ち着かない中、俺はインゴットを炉に焚べる。

素材が溶け出し取り出すタイミングに合わせる…


Perfect!!


続いてハンマーを一振りすると、周りの声が一瞬にして静寂に包まれた。


キィィィィン!!


この上なく澄んだ音が辺りに響く。

当然判定はPerfectだ。


「ふんふんふ〜ん」


俺は何の苦もなく鼻唄混じりでインゴットを叩き続ける。

失礼女と全く同じ工程をこなしているわけだが、耳をすませてみると『こんな音聞いたことない』『おい、あのエフェクトってたしか…』『すげぇ…』といった感想が聞こえてきた。


リィィィン…リィィィン…


俺はすでに仕上げの作業に取り掛かっている。

今行なっているのは研ぎの作業だ。

この作業の良し悪しで武器の切れ味が決まる大事な作業である。

現状でもノーミスで来ているが、最後の辺りになると人間は緊張感が途切れてしまいそうになり失敗することが多いので、俺はさらに丁寧に刃を研いでいく。

そしてこの製作もついに終わりを迎える。


「で〜きたっと…ホラよ」


軽い感じで出来上がったナイフを失礼女に放って渡す。

俺が作ったナイフは虹色の輝きを放ちながら弧を描いて失礼女の手に収まる。


「そんな…あ、ありえない…」


ナイフの性能を確認した失礼女は腰が抜けたように崩れ落ちる。


出来上がったナイフはこれ以上は無いといった性能であった。


『スチールナイフ/SQ』

攻撃力170/切れ味120/120/耐久200/200/STR+20/AGI+20


失礼女が作ったナイフのステータスは以下の通り


『スチールナイフ/HQ』

攻撃力150/切れ味100/100/耐久180/180/STR+15/AGI+10


「さてと…気は済んだか?トッププレイヤーさん?」


「…………」


呆然としている失礼女に声を掛けてみるが反応がない。

俺を馬鹿にしていた周りの連中も俺が作り出したナイフの結果を見て戸惑いを隠せない様子だった。

これじゃ判定なんて出来ないんじゃないか?


「まさかここまでとはね…恐れ入ったよ…」


ゲンさんがナイフを見たあと、俺に話しかけてきた。


「んで?結果は?」


「そんなの、言わなくても決まりきっているじゃないか…君の勝ちだよ」


「そりゃどうも。それでアンタらも勝負すんの?」


「いや、俺達は遠慮しておくよ。それに俺達は最初から君と勝負しようなんて思って無かったし、敵対するつもりもさらさら無いしね」


俺は何の感慨もなく言葉を返すが、ゲンさんは肩をすくめて敵対するつもりはないと言う。

とりあえずはこれで終わりか。


実を言うと失礼女がナイフを完成させた時点ですでに自分の勝利を疑ってなかった。

そもそも、ステータスの自力が違うのだ。

仮に俺が自分の【鍛治師】レベルに合わせた装備で製作していたら最初から勝負になんてならなかったと思う。

失礼女は初めにこう言った。


『この素材はまだマーケットにも出回ってないし、今は入手も困難な素材だ!クオリティは私の作ったHQ品だ!』


それはつまり、失礼女は『スチールインゴット』を作れるレベルではあるが、それ以上のインゴットは作れていないという事だ。


俺はその2つ上に位置するインゴットである『ミスリルインゴット』の精製に成功している。

早い話が、失礼女のレベルは俺より低いって事だ。

俺はトッププレイヤーと言われる連中は、当然俺よりもレベルが上だと思っていた。

だが俺はどうやら勘違いしていたらしい。

現実はこんなもんだった…


俺と失礼女の決定的な違い。

それは基本ステータスのDEXの数値だ。

普通の【生産職】はアバターレベルを上げにくい。

これはスノウさんが言っていた事だが、トッププレイヤーと言われてるらしいこの人達もそれは例に漏れないという事のようだ。

そう思って、俺は装備の質を下げた。

こうでもしないと数値が釣り合わないからな。


ともあれ、これでようやくログアウト出来そうだ。

俺は街中用の装備に着替えて立ち上がり宿屋へ向かおうとしたが…


「ま、待って!!」


焦った様子の失礼女が俺を呼び止める。

まだ何か用があるのか?

うんざりしながら仕方無く顔を向けると、今にも泣き出しそうな顔で俺を見つめている。


「あのーー」


「勝ったのは俺、俺が勝ったら今後一切俺に関わらないって話だろ?」


「うぐ…その…私が負けた理由って…」


「それぐらい自分で考えなよ。自称『トッププレイヤー』さん?」


それだけ言い残して俺は再び宿屋へと向かう。

やれやれ疲れたな…

ほぼ自分の部屋になりつつある宿屋のベッドに腰を掛けてステータスを確認し、俺はようやくログアウトすることが出来た。

時間は既に日付が変わり深夜2時を告げていた。



プレイヤー名:アース


アバターレベル:32


ステータス:STR0/VIT0/INT25/DEX/100/AGI60/LUC20


ジョブレベル:

【戦闘職】:未習得

【生産職】:鍛治43/彫金40/木工37/裁縫39/革細工41/料理37/錬金45

【採取職】:園芸39/採掘/41/漁師39

【EXジョブ】:罠 38


アースのレベルの上げ方はかなり特殊です。

描写では深く触れていませんが、普通のプレイヤーとの違いはSQを量産出来ることが第一に挙げられますが、それと併用して別の上げ方もしております。

近いうちにその方法も掲載する予定ではありますが、とりあえず私としてはアースの『異常性』を伝えたかったのもあり色々とぼかして執筆しております。


面白い、続きが気になる、ミーシャの名前呼んであげて!と思った方は↓の☆をクリックして御評価いただけると幸いです。

ブクマもお忘れなく!

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