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一人で完結の生産者※仮題  作者: 銀狐@にゃ〜さん
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やらかし回



前日の事があって、周囲からの目は非常に厳しい物ではあったものの、何とか学校から戻った俺は早速『アースガルズ・オンライン』へとログインする。

もはやお馴染みとなった宿屋の一室で、俺は昨日から考えていたことを実行するべく思考を巡らせた。


今回俺が注目したのは【罠師(トラッパー)】の特性だ。

『爆弾』シリーズの設置型という言葉に注目した際のほんの思いつきではあったものの、おそらく、いや確実にこれは成功すると思えた物がある。


それは罠によるコンボだ。


俺が【製作手帳】で確認していたのは2点。

一つ目は【罠師】が作製出来るアイテムで誘導効果のあるアイテムがあるかどうか。

二つ目は同じく足止めをする為のアイテムがあるか。


俺が考えたコンボはこうだ。


・《罠設置》でモンスターを一か所に誘き寄せる。

・『爆弾』シリーズでまとめて倒す。

・倒しきれなかった場合を考え、足止めの罠を設置しておき、そこに掛かったモンスターを同様に範囲ダメージで倒しきる。


そしてそれを実現出来るアイテムが【製作手帳】に記されていた。


・『香り袋』

【罠設置】アイテム。使用すると一定時間モンスターを引き寄せる香りを周囲に漂わせる。効果範囲は半径100m


・『落とし穴』

【罠設置】アイテム。モンスターが範囲内に侵入することで発動する王道の『罠』。範囲はクオリティに関わらず半径10mだが、深さはクオリティにより左右されクオリティが高いほど深さは増える。


もうこれは作るしか無い。

だがこのアイテムを作るには【罠師】レベルが足りなかった。

俺はメインジョブを【罠師】に切り替えせっせとレベルを上げていく。

たまにジョブを入れ替えて【罠師】の装備も作っていく。

何故かって?

見た目がコソ泥ってどう思うよ?

そんなこんなで【罠師】や他のジョブもレベルが上がっていき、ようやく目当てのアイテムを作れるレベルまで到達した。

夢中でレベリングしていたため時間を気にしていなかった。

ログインしてから約二時間が経過しており、リアルではすでに夕方になっている時間であった。


一旦休憩と食事、風呂に入るためログアウトする。

現実に戻った俺はやる事を済ませると、早速ログインし直す。

戻って来るとフレンドチャットが飛んで来た。

差出人は『スノウ』

雪菜先輩からだった。


『今何してる?』


『風呂とか済ませて戻って来たところです』


『素材で『卵』って持ってる?』


俺はインベントリを確認すると結構持っていた。


『ありますよ?』


『もし余っていたら譲って欲しい』


そういえば雪菜先輩ことスノウさんは【料理師】だったな。

『卵』は割とよく使うアイテムだから手持ちが少なくなって来たのだろう。

まぁ譲るのは吝かでも無いんだが、どうせならお互いのことも考えて俺はこう提案した。


『どうせなら俺と一緒に獲りに行きませんか?』


『え?それってフィールドに行くってこと?私戦闘は出来ないけど』


『俺に秘策アリです。荒野側の出口で待ち合わせでどうでしょう?』


『よく分からないけど分かった。これから向かう』


スノウさんからの返事を確認した俺はインベントリを確認し準備を整え待ち合わせ場所に向かう。

すでにスノウさんは到着しており、こちらを確認して小さく手を振っている。


「お待たせしました。早かったですね?」


「私は特に準備するものがなかったから…それよりどうやって獲るの?」


「まぁ見てのお楽しみってことで…」


それだけ言って俺はスノウさんにパーティー勧誘を送り、スノウさんもそれを承諾してパーティーを結成する。

腑に落ちない表情を浮かべながらも俺の後ろをビクビクしながら着いて来るスノウさんだったが、ついに耐えきれなくなったのか、俺の袖口を握りしめて来た。


「いい加減教えて欲しい。私達は【生産職】で戦闘は出来ない。どうやってモンスターを相手するの?」


「周りに人もいないし、この辺でいいかな…ちょっと見ててくださいね」


俺は周囲を見回し、モンスターを捕捉。

足元にあった『石』を手に持ちいつもの様に【投擲】する。

この辺のモンスターなら一撃で仕留められるのは確認済みだったので、直撃と同時にモンスターは光の粒子となって消えていった。


「こんな感じですね」


「え…?今のは…あ、レベル上がった…」


ぽかんとした表情のスノウさんも珍しいな。

今のでレベルも上がったらしく何かのアイテムもドロップしたらしい。


「今の何…?」


スノウさんは何が起きたのかさっぱり分からなかったらしく説明を求める。


「ただの遠距離攻撃ですよ?でも驚くのはまだ早いです」


俺が意味深な事を言うとさらに困惑した様子を見せるスノウさん。

とりあえず目的のモンスターが出現するポイントまで移動していく。


目的地に到着した俺はメニューを操作してサブジョブに【罠師】を設定する。

こうする事で【罠師】のスキルが少し使えるようになる。


俺はスノウさんを範囲に入らないよう、安全地帯で待たせておき、『香り袋』と『落とし穴』を設置してスノウさんの元に戻る。


「何してたの?」


「俺が習得したジョブの実験ですよ。まぁ見ていてください」


しばらくすると、何もいなかった場所に次々と目的のモンスターを含めた多種類のモンスターが『香り袋』の匂いに惹かれて集まって来た。

その数およそ7〜80匹ほどだろうか?

その光景を見ているスノウさんの顔色は真っ青で少し涙目だ。


「ねぇ逃げよう?すぐ逃げよう?」


俺の袖口をスノウさんは忙しなく引っ張って来たがこれはあくまで準備だ。

今回は『落とし穴』の実験も兼ねているため、あえて範囲に収まりきらない『中型爆弾』を【投擲】する。

『中型爆弾』が爆発する事によって群がっていたモンスターの敵意が一斉に俺に向かう。


俺が『爆弾』を投げた時点で既に理解不能といった様子のスノウさん。

だが俺に向かって突進して来るモンスターの群れを見て腰が抜けたのかその場にへたり込む。


「に、逃げて!!」


それでも心配してくれるスノウ先輩に大丈夫と手を振りながら応える。

モンスターが進む先と俺との中間地点にはSQの『落とし穴』がある。

その深さたるや脅威の50m。

落下ダメージも期待出来る俺謹製の『落とし穴』だ。


そして予定通り、発動範囲に入ったモンスターの群れはまるでコントのように『落とし穴』に自ら落ちていく。

全てのモンスターが落ちたのを確認した俺は、落とし穴の範囲を埋め尽くすように『中型爆弾』を放り投げて行く。


ズドドドドドン!というけたたましい爆発音が鳴り響く。

視界の端に『6チェイン』と表示された。

どうやら『中型爆弾』の爆発が連鎖した事により通常与えるダメージよりも多くのダメージを与えることが出来たようだ。


その結果、俺自身のレベルは23から一気に32まで上がった。

ドロップのログも大変な事になっており把握するのに時間がかかるほどの大量の素材を手に入れることが出来た。


「うっし!大成功!!」


俺がスノウさんのところへ戻ると、スノウさんは四つん這いになってぽか〜んとして微動だにしない。


スノウさんが正気に戻ったのはそれから数分してからのことだった…



範囲殲滅は浪漫


という事でやらかしました。

プロローグのアレですね。

常識なんてぶっ壊す。

それがアースクオリティ…


次回更新は日曜0時です。

面白い、続きが気になる、いつかやると思ってた(アイガード)と思われた方は↓の☆をポチッとな!で評価いただければ嬉しいんだなぁ

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