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私の執着心、知りませんか  作者: 倉戸 樹杏
9/14

私とデート

「うっわ、旨そう」


「でかくない?」


1階は予想通り色んな惣菜屋や八百屋などの食品を扱う店ばかりだった。揚げ物屋のでっかいトンカツの前で相原が立ち止まる。


「高っ!」


値段を見てびっくりする。大きさなのか材料の良さなのか、高校生でも分かるいいお値段だ。


「いいんだよ。こういうのはロマンってやつだろ」


「残念なロマンだなあ」


「帰ったらねだってみよう」


「私だったらおねえと半分こで十分サイズだ」


「あー、川崎はそんなに食べなさそうだもんな」


「そう?瑛子も同じくらいだよ」


「笹木は逆にもっと食べなさそうなイメージだったわ」


「芽依なら食べれそうだけど」


「まさかの篠原」


驚く相原に思わず笑う。


「にしても、なんで俺は昨日篠原に喧嘩売られてんの?しかも口悪いし」


「喧嘩売ったのは知らない。でも口は元々そうだよ」


「あんなゆるふわ系なのになー」


「ゆるふわは高校から」


「詐欺かよ」


げんなりと呻く様子にまた笑う。エスカレーターで相原は一歩引いて私を先に乗らせた。見下ろす形になった相原に私は続けた。


「でも、いい子だよ」


「だろうね」


溜め息をついての不服そうな同意に私はとうとう爆笑した。


2階はアクセサリーショップが並んでいたけど、私は身に着けないので素通りだった。3階へ続くエスカレーターで相原が聞く。


「アクセとかいいの?」


「うん、着けないから」


「そういや、見たことないわ」


「でしょ?」


それから、ケーキやお菓子の店が並ぶフロアでは相原が生のフルーツが苦手なことを知り、大人向けファッションのフロアではその値段にお互い悲鳴をあげ、メンズファッションやレディスファッションのフロアでは女子と男子のショップの違いに驚いたりした。

それは友達同士とも家族同士とも違う楽しさで、いつしか繋いだ手の違和感も薄れてきた頃だった。


「あれ?相原と眞菜じゃん」


突然の知っている声に心臓が跳ねた感覚がした。

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