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私の執着心、知りませんか  作者: 倉戸 樹杏
3/14

私と昼休み

「川崎」


4時間目も終わり、弁当の準備をしていると相原が来た。

何か用かと思って続く言葉を待つけど、何も言ってこない。


「…どうしたん?」


怪訝に思って聞いたその直後、いいタイミングで瑛子が来た。


「まなー。っと、邪魔した?」


「ああ、笹木か。まあちょっとね」


「正直だねー。でも、今日はうちらに譲って?」


「譲るも何も、約束してたんだろ?」


「まあね。悪いね」


「悪いと思うなら放課後譲ってよ」


相原の最後の言葉は瑛子でなく私を見て言った。

瑛子も何も言わず私を見ている。


「いいけど」


そう答えると、相原は初めて見る表情で笑って「またな」と去っていった。瑛子もなんだか安心したような顔をしている。


「相原を優先させなくてごめんね」


瑛子の言葉の意味が理解出来なくて、「え?」と聞いたが、瑛子は首を振って言った。


「なんでもない。芽依のクラスで食べよ」


「?うん」


私は弁当を持って芽依のクラスへ瑛子と行った。



ーーーーー



「まなちゃん、そんなんでいいの?!」


昨日、おねえに話したように何故オッケーしたか伝えると芽依が突然叫んだ。


「芽依、うるさいよ」


「だって、だって、えいちゃん!」


瑛子に窘められた芽依が顔を覆って泣き真似をする。


「いつかまなちゃんが悪い男に食べ散らかされちゃう!」


「そんな私チョロくないよ」


「その考えはチョロいんだよー!」


瑛子はおいおいと泣き真似を続ける芽依を「よしよし」とあやす。


「まあ、相原がいるうちは平気でしょ」


「相原だって男じゃんー!」


「でも、相原だし」


そう言った私に瑛子は苦笑して目を逸らす。芽依はガバッと顔を上げて指を私に突きつけた。


「ね?!」


「何さ」


「あー、うん、まあ」


瑛子は何か言いにくそうな顔をしてる。こういう時は優しい瑛子が言葉を選んでくれているときだ。こういう気配り心配りも瑛子の大人っぽさの理由なんだろう。


「相原と、眞菜はスタートラインが違うから。眞菜はまず、相原のことを知らなきゃ、ね?」


「ああ、なるほど…」


芽依は今の言葉に納得したように頷くと、また難しい顔をしてブツブツと「じゃあ、暫く見ておかなきゃ…」などと呟いていた。

私も瑛子に頷く。

確かに、私は相原のことで知っていることが少なすぎるのだ。さっきの「相原だし」という言葉も上っ面のものでしかない。

考え込む私の頭がポンと優しく叩かれる。


「眞菜は、眞菜のペースでいいんだよ」


瑛子が優しく笑ってそう言ってくれた。

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