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私の執着心、知りませんか  作者: 倉戸 樹杏
2/14

私と報告

「付き合ったってことは彼氏なんよ。特別扱いなの。出来る?」


ため息の後、おねえは私にそう言った。

特別扱い…私には今まで無かったもの。よく分からないけど、今日の今日で「やっぱりやめる」は失礼すぎる。それに、やっぱり、初めての彼氏にちょっとウキウキしている自分もいる。

たっぷり考えて、おねえに答えた。


「やってみる」


「そうしな」


おねえはちょっと笑ってそう言ってくれた。



ーーーーー



初めての彼氏、相原。

フルネームは確認したところ、相原(あいはら) 浩平(こうへい)

同じクラスの出席番号1番。

吹奏楽部に入っていて、去年の文化祭でラッパを吹いていたのを見た。

それ以外は特に目立ったところもない、顔も悪くもないがイケメンでも無い男子高生だと思う。

それが私の持つ、彼氏の情報の全てだ。


…いや、ちょっと待って。もうちょっとなんか無いのか?

流石にさ、えー。

と、登校してから席で相原の情報を整理し、その情報量の少なさに自分にちょっと引いてると、別のクラスの友達の瑛子えいこ芽依めいが来た。

二人とも小学校からの付き合いで、瑛子は大人っぽくて芽依はゆるふわ系だ。綺麗と可愛いの属性は同性として羨ましい。


「おはよう」


「おはよう」


「ところでさ」


瑛子と芽依が顔を近付けてくる。


「相原」


「どうだった?」


びっくりした。


「知ってたの?」


質問に質問で返すと、二人は顔を離してにやーっと笑う。

知ってたな。


「はっきりとはねー。でもそうだったんでしょ?」


瑛子はガタガタと前の席の椅子を引いて勝手に座りながら言った。にっこり笑うその顔の美人さに、瑛子の彼氏が羨ましい。


「返事したの?」


隣に立ったままの芽依もにっこり笑う。多分その後に「教えてくれるんでしょ?」と続く、はず。


「…付き合うことになった」


その瞬間、二人の笑顔が満開になる。何これ、二人とも可愛すぎない?


「席につけー」


そこで先生が入ってきたので、二人ともしぶしぶ自分のクラスに戻る。昼に一緒に食べる約束をしてから。

それを見送って、先生の方に向き直ると、いつの間に来てたのか相原の後ろ姿が見えた。

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