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風呂の乙女

うんうん、そう言うことです。

 


「キュビさん、そう言えば着替えはどうされたんですか?」


「ん?あ、そー言えば湯殿に行くんだった!……でも部屋に戻ってから着替えてもおんなじじゃない?」


 鶏ハムをすっかり堪能した二人は、手ぶらのままで行こうとするキュビに気付いたエミュの一言で立ち止まった。



「や、それは流石にどうかと思いますが……汗を吸った下着をまた身に付けるのは……如何なものかと……」


「そーう?だって湯に浸かるって……あ、そーか!一旦、裸にならないと湯殿に浸かれないか!」


 エミュの進言を汲み取ったキュビは、確かにそーだと思い直し、部屋に戻ると下着と寝間着(として使っているシャツと下穿き(ハーフパンツ))、そして手拭いを洗濯物袋に入れて再びエミュと合流すると、たったと二人して湯殿へと向かっていった。



 ✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



「あの……その、本当に私も一緒に入らなければいけませんか?」


「まーだそんなこと言ってるぅ!……一緒に入った方が時間短縮だし、背中とかも拭きっこ出来るでしょ?」


 湯殿へと続く扉を前にして、二人は脱衣場にて脱衣籠に身に付けていた物を入れながらそんなやり取りをしていた。


 キュビは服を脱ぎながら、隣で同様に湯編みの為に下着姿になっているエミュの身体に視線を向ける。


 ……そこには、少女から女性へと成熟しつつある瑞々しい曲線を備え、柔肌をほんのりと朱に染めた艶やかな乙女の姿があられもなく顕現していたのだが…………まぁ、キュビにしてみればチラッと横目で見て(……いーなー、エミュちゃんてばエッチい身体してやんの!……ちぇっ!!)と思っただけなんですが。


 しかし、エミュの方はと言えば、何時か言っていたようにキュビの細身な上半身と割りと絞まった腰周りからの……ふわりとした柔らかそうなお尻辺りに視線がつい行ってしまい、(……はああぁ……羨ましい程にたわわな形!……腿の付け根はキュッとしていて、それでいてあの丸みを帯びたお尻……悩ましいですぅ……)と、キュビ以上のジェラシーを感じて悶々としてたりで……


 それはそれ、さっさとすっぽんぽんになって着ていた服を脱衣籠に叩き込んだキュビは颯爽と、遅れて着衣を脱いで丁寧に畳んでから、恥ずかしそうに手拭いで上下を隠しながらのエミュを後にして……


「……あら?こちらの脱衣籠はどなたのかしら……?」


「いいっやっほぉ~いぃ♪サヨナ~ラァばっちい私ぃ~ッ!!」


 ガラガラガラ~ッ!!




「……うっせぇ!!なーに浮かれてんだっての……」


 ……湯船には、トゲトゲ頭を露出させ、半眼で心底呆れ返った様子のソーテツが浸かっていました。




「……きいいいぃ~いやぁ~~ッ!?なぜなに何でソソソソソーテツさんがぁ~ッ!?」


「……だから、五月蝿いってんだよ……ほら、湯殿が冷えるからエミュ、さっさと扉を閉めてくんねーか?」


「あ……し、失礼致しました!」

「いやいや失礼致しましたじゃないからっ!!これは貞操の危機と乙女の恥じらいとその他諸々の私達じゃない誰かがすんごく怒られちゃって……」


 エミュがカラカラと扉を閉める間に、キュビはさっきまでのテンションは鳴りを潜めて取り敢えず手拭いで、小さなあれこれを何とか隠そうと躍起になっていたのですが……


「バーカ!!お前らの裸にいちいち興奮するかっての!……まったく……」


 呆れながらソーテツは二人に構わず浴槽の縁に手を掛けてザバッ、と勢い良く立ち上がり……、キュビはうわあああぁ~……?エミュはいやあああぁ……えっ?と二人して戸惑い、


「……あー、お前ら竜人種の事、知らないか……」



 ……二人が眼を覆う振りをしながら指の間から、きっちり見つめた先には……えぇ、()()()()()()()()()()



「……え?……も、もしかしたら……ソーテツさんって、オネェ?」


「んな訳ねーっての!!」


「はわわわ……と、とにかく身体を洗い清めないといけないんですよ!キュビさんッ!!」


 戸惑うキュビに呆れるソーテツ、そして湯殿でのマナーを指導するエミュの三人……でした。



 ✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



「……しっかしお前ら、ちゃんと入り口の【先に入っています】の札が眼に入らなかったのか?」


「……うん、見てなかったかも……あ、これ良い匂いかも?」


 手拭いに刻んだ薬草を擦り付けてから、ゴシゴシと身体を洗うソーテツと、それを見習いながら隣でゴシゴシと身体を洗うキュビ、そして更にその隣で真っ赤になりながらも同様に身体を洗い清めるエミュ。


「……それはともかく、まず俺達竜人種ってのは、繁殖期以外はお前らみたいにアレをぶら提げちゃいないんだからな?……判ったか?」


「うん、判ったけどさ……やっぱ性別の違うヒトに裸を見られるってのはなんつーか……恥ずかしいじゃん?」


 手拭いを背中に掛けてゴシゴシと擦るソーテツ、そして同じようにしながら言葉を返すキュビ。


「……その、ソーテツさんは、えと……私達が来たら恥ずかしくないんですか……?」


 その隣でやや内股でコシコシと腕や足を恥ずかしげにしながら洗うエミュに、


「あー、先に言っておくが、お前らを軽んじて扱ってるから気にしてない訳じゃねーぞ?……そうだな、お前ら……竜人種の男に恋をするか?」


 横に置いた桶から湯を掬い、ザバッと身体に掛けるソーテツは二人に問い掛ける。


「ええっ!?……うーん、そうだなぁ……今んとこ、それは無いなぁ……」

「そうですね……私もそれは無いと思います……」


 二人の返答を聞いたソーテツは、そうだろ?と相槌を打ちながら、


「気にすることねぇよ。それが普通だし、当たり前なんだぜ?はっきり言っちまうと、俺はお前らの裸を見ても興奮も欲情もしねぇ。だって、そんな格好でも赤ん坊や馬とかと変わらないって感じしか無いからな……」


 そうなんだ……、と思うキュビは、さっきまで感じていた羞恥心が氷解し、今まであったソーテツに対する取っ付き難さを忘れていたのでした。



 ✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



「はわぁ~。。。……あ~、これはクセになるかも、だよ……身体が弛むぅ~♪」


「……お前はいっつも弛んでるだろーが……」


 種族の違いも身体の相違も含めて、ここまで価値観が違うと却って清々しさを感じてきたキュビは、もう何も隠さずに堂々とソーテツと一緒に湯船に浸かっていた。



「ほら、そっちも何時までも外に居ると風邪引くぞ?指一本触れねぇし間にキュビが居るんだから心配すんなっての……」


「……は、はい……それじゃ、失礼いたします…………ふ、ふわわぁ……気持ちいいぃ~♪」


 何だかんだと恥ずかしがっていたエミュだったが、半眼で誘うソーテツに招かれて湯船に浸かると、やはりその温かく身体に染み入るような心地好さに(ほぐ)されて……弛緩した顔を見せる。


 二人とも手拭いで髪の毛を纏めている為、湯の中で揺らぐ身体には何も帯びては居なかったけれど、先刻まで感じていた筈の羞恥心が無くなると却ってそれが気を和らげたのか、今まで感じたことのない解放感に包まれていた。



「……それはそれとしてよ、お前らはいいが、ツヴァイとエンリケの二人には参っちまうぜ……俺が先に入っていても、何も言わずに平気で入ってきてよ、仕舞いにゃ()()()()()()()()()()()()()()()……」


 ソーテツの愚痴にえっ!?なにそれ、何なのっ!?と逸早く反応するキュビに、エミュは羨ましげなジットリとした視線を注いでいたのですが、今宵はひとまずこの辺りまで、に致します。




 ……うっそ!?えええぇ~ッ!?ソーテツさん、平気だったの!?


 ……平気に決まってんだろ?そんなの只の○○なんだからよ……!



 ……こうしてキュビとソーテツの過激な会話は続き、エミュは危うく湯当たりでのぼせて浴槽に浮かびそうになったのですが、心配は要らない程度の軽いものだったそうです。




……まぁ、そうなるな。そんな感じでまた次回!!

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