1-7 どうやら俺が一番魔力があるようです
ここまでのあらすじ
事故に合い女神と会う。
変な世界に来た信は毒舌美少女とたくましいベアウルフ達と出会う。
どうやら魔法を使うにはコツがいるらしく・・・?←今ここ
というわけで今回は魔力関連での無双パートでした。
というかこういうステータス系の書き方はこの作品で初の体験だったのですが普通に難しいですね・・・。もっとうまく書けるよう精進していきたいと思います。
「『魔法解除』!!」
薄暗い穴の中に、俺の声が響き渡る。
それはもう何度目かになる『魔法解除』という声だった。
あれから、磔の美少女に『魔法解除』を教えてもらいそれを試してみるという時間が小一時間程続いていた。
曰く、魔法というのは魔力を使い「詠唱」する事で発動するものらしい。
俺的には、ステータスなるものがあるRPG要素満点の世界だったので詠唱すれば魔法は使えるものだとばかり思ってたんだけど・・・。
その事を少女に言った時の反応が何とも冷たかった。
一言「詠唱するだけで使えるのならこの世界は魔法使いで溢れてますね」と言われてしまった。
うーん、確かに。
ちなみに試している最中雑談していたのだがその中で分かったことがあった。
それはこの少女の名前だ。アリシアという名前らしい。年齢は16。偶然にも俺と同い年だった。
出生は孤児らしく、家名となる下の名前はないらしい。
どうやらここより遠い地にあるレグルス帝国という場所から来たみたいだ。
先程自分でも言っていたけどソーサラーという、魔法使いの上位に値するクラスとの事。
若干16歳でこのクラスにいるものは大変珍しいと自慢げに言っていた。
この事から考えるにこれまたRPGにお馴染みの「クラス」というものが存在しているみたいだ。
聞いた感じだとクラスにつけばステータスやレベルアップ時のステータス上昇値、そして覚えやすくなるスキルが変わってくるらしい。
例えばウィッチという魔法使いの初期クラスであれば、[知性]などのステータスが伸びやすくなり逆に[力]などのステータスはあまり伸びなくなるらしい。
加えてスキルなども魔法系のスキルを習得し易くなる代わりに物理系のスキルは習得し辛くなる。
まぁ、考えてみれば普通の事だが機会があれば俺もこのクラスというものにつく事があるかもしれないので覚えておいて損はないだろう。
さて、以上の事が会話で得れた情報だ。
・・・え?これだけって?
いやね、小一時間話しててこんな情報だけと思うのも仕方がないとは思うよ?うん。
でも考えてみてほしい。
今まで告白の一回もされたことないような非リア充の俺がこんなにあっさりと女の子の名前と年齢を聞けたのだ。
これは快挙といっても過言ではないだろう。ないだろう。(エコー)
そんなわけで(俺的には)有意義な一時間を過ごしていたわけだが、本来の目的的には一向に進捗はなかった。
「うーん・・・何回やっても上手くいかないなぁ」
微塵も発動する気配のない魔法に少し落ち込む俺。
すると、そら見たことかと呆れたように俺の事を見ていた少女は「諦めなさい」と言い放った。
「成功する、しない以前にあなたでは魔力が足りませんよ。魔力ランクはどうせGとかでしょう?」
「え、魔力ランクって何?」
「あなたは・・・そこからですか」
素直に分からない事を質問しただけなのに殊更呆れたような顔をされた。
おかしい。分からない事があったら素直に聞きなさいって小さい頃から教えられたのに。
「あなたはステータスは開けるのでしょう?自分がレベル1だというのは分かっていたみたいですし」
「ああ、開けるけど・・・。っていうか俺も名乗ったよね?あなたじゃなくてシンって呼んでよ」
話の途中に入れた小さな願望にやれやれと首を振るアリシア。そんなに嫌ですか。
「・・・ではシンさん。ステータスを開いてみてください」
「!!わ、分かった!」
何だかんだと名前で呼んでくれたことに舞い上がった俺は言われた通りステータスを開いてみる。
すると・・・。
レベル6
[力] 343
[耐久] 290
[早さ] 330
[知性] 310
[技術] 337
[スキル]
[格闘術:D] [魔法解除]
[ユニークスキル]
『女神に愛されし者』
所得経験値及びにレベルアップ時に上がるステータス上昇値に補正。
ユニークスキル及びに通常のスキル所得時間短縮。
『ワールドトーカー』
あらゆる世界の言語が自分の聞きなれた言葉に変換される。
だがその世界世界にある固有名詞などは変換不可。
また、このスキルは他の人に表示されることはない。
『無詠唱』
(魔法詠唱短縮の最上位互換)
魔法系統全般の無詠唱化。
『レベルブースト』
レベルに応じたステータス補正。
上昇値は固定ではない。
『武具の心得』
様々な武具の扱いを習得する期間が通常より遥かに短くなる。
『???』
と、最初に開いた時よりもバラエティ豊かになっているステータスが見えた。
というかスキル欄に「魔法解除」あるんだけど・・・。
何でうまくいかないんだろう。
そう不思議そうに首を傾げた俺に対しアリシアは淡々と続ける。
「それで、魔法のランクは幾つですか?見えるでしょう?」
「え、いやないけど」
「え?・・・・あぁ、きちんと開けていないんですね。全く・・・ステータス一つまともに開けないとは。いいですか?魔法の基本はイメージです。ステータスに関しても情報全てを開示するつもりで詠唱しなさい」
「あ、はい」
どうやら俺のステータスオープンは不完全だったらしい。
仕方ないじゃん。魔法なんてやったことなかったんだから。
取り合えず言われた通りに自分の情報という情報全てを開示するつもりでもう一度「ステータスオープン」と言う。
レベル6
名前:大沢 信 年齢:16
種族:人間(半神体)
魔力ランク:A
[力] 343
[耐久] 290
[早さ] 330
[知性] 310
[技術] 337
[スキル]
[格闘術:D] [魔法解除]
[ユニークスキル]
『女神に愛されし者』
所得経験値及びにレベルアップ時に上がるステータス上昇値に補正。
ユニークスキル及びに通常のスキル所得時間短縮。
『ワールドトーカー』
あらゆる世界の言語が自分の聞きなれた言葉に変換される。
だがその世界世界にある固有名詞などは変換不可。
また、このスキルは他の人に表示されることはない。
『無詠唱』
(魔法詠唱短縮の最上位互換)
魔法系統全般の無詠唱化。
『レベルブースト』
レベルに応じたステータス補正。
上昇値は固定ではない。
『武具の心得』
様々な武具の扱いを習得する期間が通常より遥かに短くなる。
『???』
「おぉ・・・」
アリシアに言われた通り、全て情報を開示するイメージで唱えたステータスオープンだったがいざ開けたステータスは今さっき開いたステータスの詳細よりも更にバラエティ豊かになっていた。
というか種族欄にある半神体ってなんだ?半導体的な?
色々と気になる記述に目を輝かせた俺だったがアリシアは気にした様子もなく口を開いた。
「できましたか?それがきちんとしたステータスでしょう。で、その魔力ランクに載っている値がその人自身の総魔力量を表すものです。ソーサラーといわれている私でD。レベル1の、それも魔法初心者のあなたであればいいところGといったところではないでしょうか」
どうです、当たっているでしょう?と言わんばかりにドヤ顔をするアリシア。
いや全然外れてますけどね?Gどころか俺Aですけどね?
だが、ただでさえベアウルフの件で怪しまれているのだ。
その上魔力ランクもこの少女より格上のAだというのをわざわざ教えるのは悪手だろう。
そう考えた俺は誤魔化すように苦笑いした。
「あ、それより魔法はイメージってさっき言ってたよな」
「はい。一般的に魔法を使う上で重要なのはイメージですね。初歩中の初歩、誰でも出来る事とはいえステータスが見れるのならもしかしたら魔力の流れも見る事が出来るかもしれませんね。まぁそれも数年鍛錬した上で、でしょうけど」
「魔力の流れ・・・」
相も変わらず吐かれた毒にももはや慣れきってしまった俺は言われたことを反芻する。
そうか。考えてみれば魔力もこの世界には普通にある力なんだもんな。
それを感じ取ることが出来てもおかしくない・・・か。
「ってことはもしかしてこの鎖の魔力も見れるんじゃ・・・?」
魔法を使う上で重要なのがイメージだとアリシアは言った。
ならこの鎖に流れる魔力を感じ取れれば魔法解除も上手くいきやすくなるのではないだろうか。
と、自分なりに仮説を立ててみる。
兎にも角にも俺的にアリシアを放ってはいけないし、試せそうなことがあれば全部試してみるのがいいだろうな。
そこまで自分の中で考えた俺はアリシアに巻かれた鎖をジーッと見つめる事にする。
そんな俺の視線に気づいたアリシアは気まずそうに身じろぎした後頬を赤く染めた。
「ちょ、いくら私がパーフェクツな美少女とはいえ、そんなに見つめられると・・・恥ずかしくなるんですが。それとも変態さんですから仕方ないのですかね?」
本来ならエロい格好と羞恥に悶えているようなセリフにテンションが限界突破する俺だが、そんな言葉も集中した俺の耳には入らない。
何となく、何となく見えてきたのだ。
鎖を流れる魔力ってやつが。
同時にアリシアに流れているのだろう魔力も感じる事が出来始めた。
もちろん、自分自身の魔力も。まぁまだ漠然とだけどね。
そして分かった事がある。
アリシアには悪いが相当強い呪術が込められているらしい鎖を含めてもこの場で一番大きい魔力は俺みたいなのだ。
さっきドヤ顔してソーサラーだとか魔力ランクだとか言っていたのに、なんだが申し訳ない気持ちになる。
まぁ何はともあれ。
・・・なる程、これが魔力ってやつかと納得した。
魔法解除はこの鎖に流れている魔力を打ち消すように自分の魔力をぶつければいいんだろうか?
さっきのように漠然と唱えるのではなく、ちゃんと魔力ってやつを感じた上で使わなきゃそりゃ発動するもんも発動しないわな。
いざ魔力を感じれるようになった俺が思ったのはそれだった。
ようは車という人が走るよりも圧倒的に早く移動の出来る道具があったところで操作の方法が分からなければ意味がないのだ。
魔法も同じようなもので、きちんと使い方を分かった上で行使しなければその効果を発揮しないのだろう。
ともあれ。
まだ何となくだが原理が分かった俺は、改めて魔法が使えるのではないかと言う好奇心も加わり再び魔法解除を使ってみる事にする。
鎖に流れる魔力に、自分の魔力をぶつける感じで・・・。
「『魔法解除』!!」
と唱えた俺。
すると――――
「え・・・?」
アリシアを縛っていた鎖はいとも簡単に砕け散ったのだった。
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また感想なども是非お待ちしてますよ・・・?(チラッ
しかし長かったヒロインとの出会い編もそろそろ終わりそうです。
やっと次に行ける・・・・。よくある奴隷系ヒロインであればもう少しスムーズに話を進められたんですけどね(汗
まぁ、でもこのヒロインも結局は・・・。