1-9 どうやら森の中でレベリングをするようです
取り合えず書きました。
本当、そんな感じです。
中々時間がとれなくて・・・・文章表現がおかしかったり、説明に矛盾があるかとは思いますがもしありましたらコメントしてくださると嬉しいです。
またこうしたのも含めて後々本文を弄る可能性もあるのでご了承下さい。
「レベルを上げたい、ですか」
「うん」
例の大岩から王都へと向かい歩く事早四日。
俺とアリシアは恐らく後三日ほど歩けば王都へと辿り着くだろう場所まで来ていた。
とはいっても見渡す限り緑一色の草原というのは全然変わっていないんだけど。
何はともあれ、当初の目的地である王都をすぐそこにしたところで俺は前から考えていた事をアリシアへと伝える事にした。
それは王都へと行く前に多少レベルを上げておきたいということ。
この前の大岩での初戦闘は危なげなく終えれたものの、スキルやステータスについてよく分かっていない状況、それもレベルが低いままで未知の土地を生き抜くのは難しいだろうと考えた結果だ。
それに移動中の会話で聞いた話だとテンプレと言ってしまえばいいのか、やはりこの世界には冒険者ギルドなるものがあるらしく、奴隷持ちかつ確固たる身分があるわけでもない俺達が街で生活しようと思えば必然的にこの冒険者ギルドに入るのが一番との事だった。
属していた国は違うものの、この世界で俺と同じだけ生きているアリシアが言うのだ。
きっとそうなのだろう。
ならばと、王都に入ってまずする事が決まった俺達だったが聞けば冒険者というのは基本的に戦うものらしい。
そこだけ聞けばとてもまともな職とは思えないが、実際そういうものらしいのでツッコムのは諦める事にした。
中には薬草摂取や目的地までの護衛などの依頼のように比較的安全と思えるようなものも勿論あるが、道中で魔物や野生動物に襲われないとも限らない。
そして当然、クエストと呼ばれる指名された魔物を倒す依頼などもあるので総合的にみればまさしく「基本的には戦う」仕事というわけだ。
それだけに報酬のお金も大きく、リスクを考えなければ俺達が王都で生活をするのにまさにうってつけの仕事だった。
また、冒険者になる人間には身分や素性なども問われないのが色々と隠し事の多い俺達にとってとても都合が良かったのだ。
まぁ、そういった事も含めて細かい事は実際に行って見れば分かるだろう。
そう判断した俺はそれ以上の細かい説明をアリシアに求める事はしなかったのだが、冒険者になるにせよ、ならないにせよ何はともあれ結局はそれなりの強さが必要だという事は分かった。
いくらアリシアが強いからといって頼りきりなのもあれだしこれを機会に俺も強くなっておこうという事である。
・・・それに冒険者ギルドがテンプレというのなら、そこへ行った俺達が屈強な冒険者に絡まれるのもまたテンプレ。もはや呪いといっても過言ではないだろう。
そういった意味でも強さは必要だったのだ。
さて、そんなこんなで王都へとつく前にこんな提案をしてみたのだが、知っての通りアリシアは本人も言っていたが37レベル。
幾らあの大穴にいる時よりも全然マシな環境になったとはいえアリシアとて立派な美少女だ。
早いところ街へと行ってゆっくりとしたいと思っているだろう。
ぶっちゃけ言えば底辺な俺のレベル上げに付き合ってもらうのは申し訳ない・・・。
そう思っていた俺は俺の勝手な都合に付き合わせるようで悪いけど、というのも付け加えて言う。
するとそんな俺の言葉を聞いて少し考えるような仕草をしていたアリシアは相変わらず何を考えているのか分からない無表情で口を開いた。
「なる程。ご主人様がそう仰るのであれば私もついていくだけです。確か、この近くに森があった筈ですのでそこで魔物を狩ってレベルを上げるのがいいでしょう」
「寄り道みたいな形になるけど、いいの?」
「ええ、構いませんよ」
申し訳ないと思っていた俺とは裏腹にさして気にした様子もないアリシア。
正直今回の提案に関しては断られる事も覚悟していただけに、ここまでアッサリしていると何だか肩透かしを食らった気分になる。
それも俺の提案に関して意見までしてくれたのだ。
まぁ、申し訳なく思っているのは今も変わらないが、アリシアがこう言ってくれているのだから今回はお言葉に甘えるとしよう。
「じゃあその森を目指して行こうか」
こうして俺達は王都へと行く前に近くにあるという森へ向かう事になった。
☆
「ッ」
俺は短い気合の声と共に無詠唱で風の魔法を放つ。
「ギャギャッ」
すると俺の手から放たれた風の魔法・・・エアカッターと呼ばれる魔法は前方にいたLV6と表示されたゴブリンという人型の魔物をいとも容易く切り裂いた。
短い悲鳴を漏らしたゴブリンは鮮血を撒き散らしながらゆっくりと倒れると・・・それ以降ピクリとも動かなくなる。
その様子を見た俺は後ろに立っていたアリシアへと振り向いた。
「いや、魔法って本当に凄いんだな・・・」
驚いたように自分の手を見つめた俺に対してアリシアは僅かに見開かれていた目を一度瞬きする事で元の無表情へと戻すと嘆息した。
「いえ・・・凄いのはご主人様でしょう?今、何をしたんですか?」
「いや、何って・・・アリシアに教えてもらった魔法を使ったんだけど・・・」
「これは異なことを。私はそんな魔法、教えていませんが」
「え、いやだって・・・」
「私がお教えしたのはクラスEの風属性魔法、エアカッターです。まぁ、私が水と氷属性の魔法以外クラスDの魔法しか使えないというのもありますが・・・」
最後の方は聞こえないくらいの声で何かをブツブツ言っていたアリシア。
だが俺はそんな事を気にするでもなく首を傾げる。
そう、俺達は今、草原の道でアリシアの言っていた森へと足を踏み入れていた。
この森は王都からそんなに離れている場所ではなく魔物の平均レベルもそこまで高くはない。
なのでこの世界の事があまり詳しくはなく、レベルも低い俺がレベリングするには丁度いいらしいのだ。
流石は隠者として王都へと入ろうとしていたアリシアだ。
王都の事は勿論の事、その周辺についての情報もバッチリである。
護衛もいるし、比較的にレベルの低い魔物しかいない、それも情報に関してはある程度揃っているという好条件の元、早速入ってみた森の中。
そうして無作為に三十分程歩いたところで、草を掻き分ける様にして現れたゴブリンという魔物に教えてもらいたての魔法、エアカッターを使って倒したのだが・・・。
教えてもらった通りに使った魔法に対してそんなことは教えていないという師匠もといアリシア。
おかしいな・・・確かにアリシアに言われた通りに魔力を使ったんだけど。
魔法を使う上で一番重要と言っていたイメージとしては魔力を手の平に集めてそれを風の刃として打ち出す感じ。
そう言っていたアリシアの言葉通り、魔力を手の平に集め「風」をイメージして打ち出してみた。
結果としてはゴブリンを倒す事に成功したし、俺のような素人目からするとキチンと成功したみたいに見えたのだが。
アリシアの反応を見る限り、どうも違う魔法を使ってしまったみたいだ。
何がどう違うのかサッパリ分からん。
そんな俺の疑問にアリシアは言った。
「私の教えたクラスEのエアカッターという魔法ですが、本来であればレベルが低い者が使ってもゴブリンを一撃で倒す威力なんてありません。ついでに言うならば「詠唱短縮」のスキルでもない限り五秒程の詠唱時間と、発動する際に魔法の名称が必要となる筈なのですが・・・」
ご主人様のする事にもうそれ程驚きはしませんけど、と続けて言ったアリシア。
ふむ、どうやら俺の持つユニークスキルである「無詠唱」と、本来あるはずのない威力にエアカッターとは違う魔法なのではないかと思ったらしい。
にしても、教えて貰った通りにイメージして使った魔法が本来の魔法よりも威力が高かった、か。
何でだろう?
どうやら俺は魔力ランクが高いみたいだし、それが関係あるのかな?
アリシアも『レベルの低いものが使っても』と言ってたし。
・・・うーん。どうなんだろう。
まぁいいや。取りあえずここで教えてもらった事を少し整理してみるか。
これから魔法を使っていく上で覚えておかなきゃいけない事ばかりだしな。
まず・・・確か魔法というのはそれぞれ属性があった筈だ。火、水、風、雷、光、闇といったように。
そしてステータスに表示されてる魔力のようにそれぞれの属性で行使する上でその消費する魔力や規模の大きさからクラス分けされている。
俺の使ったエアカッターという魔法は風属性魔法のクラスE。
攻撃魔法として使う上で最低クラスの魔法だ。
それ以下のG、Fの魔法は基本的に生活魔法と呼ばれている。
つまりは戦闘では使えないが、生活で使う分には問題ないレベルの魔法という事だ。
今回、魔法解除に引き続いて攻撃魔法を初めて使う機会だったからまずは最低クラスのE魔法、エアカッターを教えてもらった訳だが・・・。
・・・ん?
あれ、というか、だ。
今更気付いたのだが魔法に重要なのはイメージで、本来であれば詠唱時間、ようは発動までかかる時間と発動させる魔法の名称を唱える事で一つの魔法が行使されるんだよな。
その点、俺はユニークスキルで「無詠唱」があるので詠唱時間はいらないしさっきのエアカッターに関してもイメージ通りにできた。
それどころか込めた魔力が多かったのか本来の魔法よりも威力が上だったんだよな。
それこそソーサラーのアリシアが違う魔法を使ったのではないかと思うくらいには。
もし仮に俺の使った魔法が結果的にエアカッターのような魔法のように見えただけだとしたら?
そう、イメージしたのが教えてもらった通りの風の刃で俺のイメージした通りの現象が起きただけだとすれば・・・。
だとすれば、俺はこの世界の魔法の法則に囚われなくても自由に魔法が使えるんじゃないか?
そう思った俺はダメ元で試しに右手に火を、左手に水を出すイメージで魔力を込めてみる。
もしこの世界の魔法の法則でいくならば魔法を使う際に詠唱と、そして名称が必要な筈だ。
なので異なった二つの属性の魔法を無造作に出す事は出来ない。
だが俺が予想した通りなら・・・
「なッ、両手に属性の違う魔法が・・・?そんな事あり得るのですか・・・?」
俺のイメージした通りそれぞれの手に真っ赤に燃える炎と、透き通る水が浮かんでいた。
俺は予想した通りの事が出来ている事に思わず笑みをこぼす。
しかしアリシアは俺のやった事が信じられないかのように普段は感情を窺わせないその無表情を崩し、先程驚かないと言っていたにも拘わらず明らかに動揺していた。
だけど、俺が試したかったのはこれだけではない。
こうしてイメージした通りに魔法が使えるのなら・・・。
左手に魔力を流すのを辞め、浮かんでいた水を消した俺は今度は右手に魔力を流す。
そう、今出している炎に使っているのとは別の魔力を、だ。
もし、俺の知っている世界とこの世界の物理法則なんかが一緒ならば・・・
「え・・・?今度は出している火が青く・・・?」
「よしっ」
思った通り、俺の出している炎が青くなった。
これは地球では温度の高い火がなる現象だ。
火の温度を高くするには幾つか方法があるものの、一番簡単なのは燃えるために必要な酸素の供給量を増やす事だった。
自分の右手で揺らめく炎を見た時、中学生くらいの頃やった理科の実験を思い出したのだ。
ガスバーナーで火を出す際、ガス調節ネジと空気調節ネジを弄って温度の高い青色の炎を作った事を。
まぁ、理科の実験で本当に必要だったのは普通の色の炎だったんだけどな。
「っと、あぶね・・・」
こうして自分の思う通りの結果だった事に満足した俺は未だに唖然としているアリシアをよそに慌てて炎を消す。
自分のいる場所が森だという事を思い出したのだ。
もし草木に炎が燃え移って森火事にでもなったら大変だからな。
さて、こうして思うように魔法が使えると気付いた今この森で行うレベリングも大分楽になるだろう。
そう思った俺は少しばかり上機嫌になるとこの森の奥へと足を踏み入れるのだった。
レベル6
名前:大沢 信 年齢:16
種族:人間(半神体)
魔力ランク:A
[力] 343
[耐久] 290
[早さ] 330
[知性] 348
[技術] 337
[スキル]
[格闘術:D] [魔法解除] [火属性魔法:D] [水属性魔法:D] [風属性魔法:D] [魔力感知:C]
[ユニークスキル]
『女神に愛されし者』
所得経験値及びにレベルアップ時に上がるステータス上昇値に補正。
ユニークスキル及びに通常のスキル所得時間短縮。
『ワールドトーカー』
あらゆる世界の言語が自分の聞きなれた言葉に変換される。
だがその世界世界にある固有名詞などは変換不可。
また、このスキルは他の人に表示されることはない。
『無詠唱』
(魔法詠唱短縮の最上位互換)
魔法系統全般の無詠唱化。
『レベルブースト』
レベルに応じたステータス補正。
上昇値は固定ではない。
『武具の心得』
様々な武具の扱いを習得する期間が通常より遥かに短くなる。
『???』
???
『並列魔法』
幾つもの魔法を同時に行使する事ができる。
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[10.16] 上げていた殆どの話においてちょっとした修正や加筆を致しました。
またクラスにおいての説明を変えました。