1-8 どうやらアリシアが奴隷となったみたいです
投稿少し遅れました。
やっぱり仕事があると二、三日に一話くらいが限度ですね(汗
また筆者は趣味で絵も描いていたりするので1000PV突破記念に仕事終わり速攻描いたアリシアさんのイラストをのせておきます。
まぁ絵を描いてるとか生意気な事を書いていますが余裕で落書きレベルなので本キャラクターのイメージを壊されたッと感じた方には、申し訳ございませんでした。
さて、今回はほぼ物語が進めることが出来ませんでした。
こういう説明パートって入らない方がスムーズなんでしょうけど、入れなきゃちょっとアレですよね・・・取りあえず勢いで書いての投稿なので後々大幅に変更があるかもしれませんがご了承下さい。
次話はレベル上げやスキルについてのお話になると思います。
王国・・・王都につくのはまだもう少し先の話しになるかな?
「ご主人様、パーフェクト美少女たる私が作った料理はどうでしょう。私の味がしますか?」
「・・・・ああ、うん、えっと、アリシアの味はしないかなー?でも美味しいよ…?」
俺は今、亭主関白というものを体験していた。
いや、正確には結婚もしていないので俺は亭主、というわけではないし、この世界に「亭主関白」なんて言葉があるかどうかも分からないので表現としては微妙なのだが。
まぁようは気分的な話である。
少なくとも、今のところの旅路において生活面で俺がほぼ何をしていないのは事実であった。
草原の脇で焚火をし、狩った動物を食料とする。
まさにこれぞキャンプという生活をしているのだがその殆どをアリシアに任せていた。
超が付くほどの美少女に甲斐甲斐しく世話を焼かれる。
少し前の俺からは考えられないような事だろう。
そんな夢のような体験を、今俺はしているのだ。
そう考えれば中々に感慨深いものはあるが如何せん落ち着かない。
どれくらい落ち着かないかと言うと、アリシアの言った「私の味がしますか?」という質問に対して突っ込まないどころか「あ、ちょっとするかも?」とか口走りそうになってしまったくらいだ。
あともう少しでこのイケナイお口さんからイケナイ言葉が飛び出すところであった。言ってしまえば最後立派な変態さんの出来上がりである。
危ない危ない。
だが不思議な事にアリシアはあの鎖から解き放たれた後から俺に対して一度口を開けば止まる事を知らなかったあの毒を吐くことはなくなったので、例え今俺が軽口を叩いたところでもしかしたら何も言わないかもしれないけど。
・・・そう、アリシアは俺が魔法解除に成功した後からあれだけ冴え渡っていた毒舌がまるでなかったかのように身を潜めたのだ。
まぁ代わりにといっては何だがその分軽口が増えたけど。
彼女の中でどういった変化があったのかは分からないが、出会った時からごく自然に人を貶してきた彼女しか見ていない俺からすれば逆に何か大変な事をしてしまったのではないかと薄ら寒くなったくらいだ。
鎖で縛られていたのは本当はやっぱり彼女の趣味で、俺はそんな彼女の唯一無二な趣味の邪魔してしまったのではないかと、そんな馬鹿な事を考えてしまう程には動揺していた。
要するにアリシアはDo M(ドM)だったのではないかという事である。
・・・こんなことをアリシア本人に、いや第三者に話せばきっと俺はバカだと言われ、白い目で見られる事間違いなしだろう。
仮に俺がこの件に関して無関係な第三者だとして、誰かからそんな事を言われれば言った奴を白い目で見れる自信があるからな。
でも聞いて欲しい。そう、誰か聞いてくれ俺の釈明を。
非リア充歴=人生な経験値ゼロ男ことこの大沢 信だが、幾ら何でも根拠なしにこんなことは考えない。
えぇ、考えませんとも。
経験がなくとも、ずっと自分を見ている女の子に対して「あれ、もしかしてコイツ俺に気があるのか?」と勘違いしない程には俺にだって知恵はあるのだ。
言い方を変えれば現実に絶望しているだけとも言うが。
まぁそんな切なすぎる知恵を持つ俺の事は置いておくとして。。
こんなことを俺が思ってしまうのにも理由があるのだ。
そう、ちゃんとした理由が。
これは俺があの日、と言っても四日前の事なんだけど・・・魔法を行使する上で重要と言われているらしい「イメージ」もと、何とか魔力の存在を感知できるようになりアリシアを縛っていたあの鎖を魔法解除で壊せた後の事。
アリシアは暫く俺のしたことが信じられないかのように立ち尽くしていたのだが、途中、何を思ったのか急に跪くと祈るかのように胸の前で手を合わせたのだ。
その時の俺は急なアリシアの行動に少し驚いたけれど「まぁ自由になれた嬉しさからこの世界の神様にでも祈っているんだろう」くらいにしか思っていなかった。
が、しかし。
数十秒か、数分か。
正確な時間までは分からないがそれなりの時間祈るような体制でいたアリシアが、始めたのと同じように急に立ち上がると透き通るような目でしっかりと俺を見て言ったのだ。
「先程までの無礼、申し訳ありませんでした。これからはシン様の愛の奴隷としてお傍で仕えようと思います。よろしいでしょうか」と。
それまでは自由を謳歌せんかい若者よ、と微笑ましくアリシアを見ていた俺だったがその発言に思わずうん?と聞き返してしまった。
…いやそれは聞き返すだろう。
俺みたいな非リア充な人間でなくとも聞き返す筈だ。え、聞き返すよね?
だって感謝の言葉とともに飛び出してきた単語が「愛の奴隷」だぜ?それもさっきまで俺の事を貶していた少女が、だ。
確かに結果だけど見れば俺はアリシアを助けたかもしれない。
だけど極論言ってしまえばそんなのは俺の力じゃなく、恐らく女神の加護によるものだ。
そのことは当然アリシアの知る由もない事だが、俺からすれば他人の力を借りて何とか助けられたようなものだしそれで過度な好意を寄せられても何か釈然とはしない。
それにこれでも数々のフラグイベントをこなしてきた俺から言わせてもらえばこんなことくらいでコロッといくほど女の子というのは甘くない生き物の筈である。
というか、まぁ仮にだ。
例え俺に惚れていたとしても、奴隷である意味が分からないよね。
もう全然分からない。
そんな自問自答を繰り返す俺にアリシアは一人で勝手に話を進め始めた。
「ふむ。呼び方はシン様よりもご主人様の方が良さそうですね。名前を呼ぶ事で他に無用な情報を流す必要はないですし」
「い、いやいやいや、ちょっと待って欲しい!アリシアは鎖から解き放たれて自由になれたんだよ?なんで俺の奴隷になんかなりたいの?」
「・・・ダメ、ですか?」
焦って否定的な事をいう俺に気のせいかウルウルとし始めたように感じるクリクリおめめ。
そして無表情な筈のその顔が心なしか寂し気に陰った・・・ような気がした。
女の子のそんな仕草に対して免疫のない俺はどうしていいか更にパニックとなる。
何?え、これ奴隷にして上げるのが正解なの?いやいやいや、同じ人間を、それも女の子を奴隷だなんてそんな・・・それに今さっき出会ったばかりだし?まずはお互い良く知り合ってから主従の関係をだな・・・いやだから主従の関係がおかしいんだって。と。
だが当のアリシアさんは気にした様子もなくそんな俺にトドメの一言。
上目遣いからの―――
「お願いします・・・私を奴隷にして下さい」
皆さん、おわかりだろうか?
本来ならば話す事さえ禁忌に触れるような美少女の、上目遣いからのお願いコンボ。
そんなの。
そんなのもう、OK出しちゃうよね。
男とは誠、悲しい生き物である。
さて大体こんな経緯で奴隷契約の魔法により主従となった俺達だが無論、アリシアが奴隷になりたいなどと言ったのにも理由があった。
いえ別にー?理由があったことに落胆なんかしてないですよ?
ともあれ、一旦あの大岩に空いた穴から出て王国があるという方向へと一先ず歩き始めた俺達だったが当然途中途中で休憩は挟む。
そういった落ち着いた状況で改めてこれからの事や、自分達の事についてを話していたところどうやらアリシアはこれからの生活を送る上で周りに自分の正体を隠して過ごしていたいというのが分かった。
というのも魔法解除を試している最中にはあった会話でも出てきたレグルス帝国。
そのレグルス帝国からこ隠者として、ここより徒歩で一週間程の距離にあるラムス王国内王都に任務で向かっていたらしいアリシアは本来の自分の雇い主であるレグルス帝国に裏切られ処分されそうになったらしい。
だが刺客として襲ってきた男達のレベルが如何せん低かったためそこでの難は逃れたアリシア。
結果的に直接殺すことは出来ずあのように魔導具を使って封印する、という形を取ったようなのだがそれ故、大本となるレグルス帝国の上層部はアリシアの生死を確認しているわけではない。
なのでこうして生きている事が知られれば帝国の秘密保持や敵対を恐れてレグルス帝国より再び刺客がやってきたり傭兵団が差し向けられたりする可能性が高いと考えたみたいだ。
そうなるとレグルス帝国に戻ることは勿論無理だとして、レグルス帝国では何やらそれなりに名前が知られているらしいアリシアは出来ればラムス王国へと亡命するのにも自分の事を極力隠したいとの事だった。
あ、ちなみに俺の素性については王都に憧れど田舎を飛び出してきた世間知らずな旅人という事にしておいた。
ぶっちゃけ自分でもどうかと思う苦しい嘘だがあって初日から「異世界から転生してきました」なんて言われてもドン引きされるだけだろうと思ったからだ。
少なくとも俺だったら精神科を勧めるね。
だが意外にもくるかなぁと思っていたアリシアからの追求がなかったのは僥倖だったかもしれない。
アリシアとて全てを鵜呑みにしたわけではないと思うけどね。
ともかくこれからこの世界の事をあれこれ聞くときは田舎者、というのを言い訳にしていこうと思う。
この世界の田舎在住の方、本当すいません。
と、まぁ俺の話は一先ずいいとして。
ここで話は原点に戻り奴隷云々の事になる。
俺に関しても特に目的のない旅なので行き先がレグルス帝国だろうが王国だろうが何でも良かったのだがどちらに行くにせよ問題はアリシアの素性を隠したまま行かなくてはいけないという事。
この問題を解決してくれるのがそう、奴隷という身分である。
実は正体を隠すこに一番有効であるのは奴隷身分でいる事らしいのだ。
そう、俺に言った奴隷してほしいというのは身分を隠すための手段だったという事だ。
どうやら王国へ入る際の身分審査では奴隷身分の者は身分証明が出来なくとも構わないらしい。
何せ、主人と奴隷は契約魔法で繋がっているため奴隷が悪事を働けばその責は全て主人へといく。
故に奴隷契約をする際主人の意にそぐわない行動をとらないように契約するのが一般的なのだそうだ。
なので、主人の身分がしっかりと確認できれば基本的には問題がないと判断されるらしい。
奴隷の身分になっている者は貧困のためか問題を起こしたような者達ばかりなため一々身分証明させるのも時間の無駄、というのも一つの理由らしいが。
兎にも角にもアリシアの言った「奴隷にしてほしい」という要望にはそういった意図があったのだ。
正直、いくらアリシアが美少女とはいえ、いや美少女故に男女共に旅をすることに強い抵抗が―――もといチキった俺はそれでも渋ったもののここで俺と奴隷契約が交わせないと行く当てがなく、生死にも関わるかもしれないと言われてしまえばジェントルマンな俺には断ることが出来なかった。
それまで奴隷にする、という事と一緒に旅をするという事にかなり渋っていた俺が一通り説明を聞いた後それらを翻すかのように余りにもアッサリと許可を出したことに対して少し意外そうな顔したアリシアが「レグルス帝国で名前が知られ・・・出入りをしたくないと言っているような私を信じてくれるのですか?」などと聞いてくるという一幕もあったりしたが、その事については俺の「何で疑うの?」という一言により収束した。
確かに話したくないような事をしていたり、何か後ろめたい事があるのかもしれないが少なくともベアウルフからその身を以て俺を助けてくれようとしていたのは真実だ。
逆を言えば俺はそんなアリシアしか知らない。
だったら過去の知らないアリシアを想像だけで避難するより俺は俺の感じた感覚を信じるだけだ。
それに俺の直感は昔からよく当たるからな。
俺としてはそんな大した意味合いがあって言った一言ではなかったのだが、それを受けたアリシアにとってはそうでもなかったらしい。
鎖から解き放たれた時のように跪き祈るようなポーズを取ったので恐らく何かしら感じ入るところがあったのだろう。
俺の予想では俺に出会えたことに感謝している…より正確に言うならたまたま封印を解けるような人・・・そして国へと亡命するのに必要な俺という隠れ蓑と遭遇出来たことに対する神への感謝、かな。
・・・虚しいのぅ。
ちなみに、ちょっとした意地悪で「奴隷契約って強制力のある魔法なんだろ?もし俺が女の子を進んで襲うような奴だったらどうすんの?」と聞いて「シンさんであれば是非、お待ちしてますよ?バッチこいです」という実にパンチの入った返答を貰い思わず俺が照れてしまったというのは―――ここだけの話しである。
さて、兎にも角にもこうして出会った初日で主従関係となった俺たちだが意外にもこの四日間ほどはさしたる問題もなく平和な旅路が続いていた。
距離的にいえば後三日、四日で王国の王都へと辿り着くだろう。
(でも…その前に)
そう、俺には王都へと着く前に、アリシアへ言っておきたい事があった。
否、お願いといっても過言ではないかもしれない。
それはーーー
よろしければ評価ブクマなどよろしくお願いいたします!
またビックリすることに1000PVを突破したみたいです!!
数字が全てではありませんが、読んでくださった方々には本当感謝しかありませんッ
また、初めて評価が付きました!
評価してくださった方、ありがとうございます(泣