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SRキャラで、世界の平和を守ります  作者: 依水月
第一章:第三の法則
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後日譚 「少しだけ大胆になって」

付録


 凪沙の父親は帰ってきてすぐに、またどこかへ行ってしまった。

 だからその夜も少女は、春香はるかの家に泊めてもらった。


「ハルくん……起きてる?」

 深夜、ノックもせずに、春香の部屋へそっと入り込む。

 電気は消えていて、物音ひとつしない。

 部屋の中央には布団が敷かれていて、そこには少年が横になっている。


 窓から月明かりが差していて、少年の顔がらされている。凪沙はそっと近づいて、その寝顔を見つめていた。


「ハルくん」

 空気を読んで告白しようとしても、大切なときに限って邪魔が入る。

 先日は化け物に襲われたり、クラスメイトに見られていた。

 つい数時間前に二人っきりになったタイミングでは、告白しようとしたらマナーモードにしてなかった携帯電話が、大きな音で鳴ってしまった。


(添い寝するくらいなら……)

 凪沙は少年を起さないように、布団の中へ潜り込む。


(朝起きて、ハルくんが私に気付いたら、少しくらいドキドキしてくれるかな?)

 背中に手を当てて、寄り添うように横になる。


「暖かい……」

 そう呟いてすぐに、凪沙は安心感につつまれながら、眠りに落ちていた。




(柔らかい……?)

 春香が目を覚ますと、腕に軟らかいモノが巻きついている感覚がした。

「え?」

 ふわりと良い香りがして、その方向に顔を向けると、近くに目を閉じている凪沙なぎさがいた。


「ん……」

 すこし開いたくちびるが、春香が動くのに合わせて微かに、色っぽい声をあげる。

 寝息を立てながら、春香の腕にしがみついて離れない凪沙を見て、胸が締め付けられるような、甘酸っぱい気持ちが湧き上がってくる。


(どうすればいいんだ?)

 それでも、緊張してしまって春香は動けなくなった。

 しばらく寝顔を見つめていると、設定してあったアラームが鳴り、その音で凪沙が目を覚ましてしまう。


「んぅ……ハルくん……おはよう……」

 のそのそ起き上がる凪沙は、目をこすりながら体を起す。

「……」

 春香が反応できずにいると、少しぼーっとした顔で部屋を出ていき、混乱した春香を取り残して一日を始めていく。


「これ、どういう状況……?」

 朝起きたら、布団の中に女の子がいた。

 そんなうらやましい状況にも関わらず、春香は思考が停止してしまい、しばらく動けないでいた。




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