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あれから数日

傭兵団に拾われてからそろそろ一月くらいになるだろうか。


行くあてのなかった俺はごく自然な流れで傭兵団の団員となり、少しずつみんなの手伝いをしながらこの異世界についての話を聞くようになっていった。


なんでも、この大陸には4つの国があり名前をそれぞれファリア公国、ザーフィアス帝国、エルトリナ連合国、シレニア自治区という。


それぞれがどんな国なのかはあまり詳しくまだ聞いてないけれども、今いるこの拠点がエルトリナ連合国にあること、ファリア公国とザーフィアス帝国が今にも開戦しそうなことの2つはわかった。





そうそう、傭兵団らしいことと言えば仕事を手伝うついでに戦いの手ほどきを受けている。傭兵としての仕事には山賊や野盗、魔物なんかを追い払うことも少なからずあり、身を守るためにも必要だと団長に言われた。


いくら身体能力強化があるとはいえ、いつ元の世界に帰れるのか、そもそも帰る手段があるのか分からない以上覚えるしかないことは少し考えれば分かることな訳だ。


そんな訳で訓練は暇なメンバーと行う訳だが、最初のうちに身体能力で勝てても技術の面では及ばないことは充分にわからされた。


アイラには父親であるクラース団長譲りの力強くも才を感じる剣術に、ヨシュアには狙いが正確な弓の腕と体術に戦闘の初心者ではどうにもならない感がある。


「ほら、ハース。まだやるよ?早く起き上がって」


この日はアイラと訓練をする日で訓練用の模擬剣での稽古だった。


「アイラ、頼むから少しは加減をしてくれないか?」


「それは出来ない。父さんからは本気でやるように言われてるし私は器用じゃないから」


こんなやりとりを何度も繰り返しては倒される俺の情けないこと。愚痴っても仕方ないので立ち上がり武器を構え直す。


「たぁっ!」


何度目か分からない俺からの攻撃をアイラは剣で受け止める。いつもこの弾きからの胴か頭の隙のある箇所への一発、のパターンで負かされるわけだが、俺も何度もされれば流石に対策を考える。弾かれないよう踏み止まりさらに踏み込んだ。


「まだまだぁっ!」


剣と剣の鍔迫り合いに持ち込めれば持ち前の力で無理矢理アイラの体勢を崩しにいける。そう踏んで一層強く力を剣に込める。


なんとか競合いに勝ちアイラを崩すがここで油断出来ない。ここまでは頭で思い浮かべた展開だが、次の一手が届かずにカウンターをくらう可能性も十分にある。


そのため、俺は冷静に次なる一手を繰り出すために一旦引く。


アイラも俺の成長に少し驚きつつすぐに体勢を戻してくる。


「……。今のところで機転、そしてそのままつっこまずに冷静に引くところ、そんなに私のカウンターが効いた?」


「あぁ、効いたよ。これ以上痛い思いばかりしてられないからな」


「そう…」


そう言って俺たちは距離をお互いに取りつつ対峙していた。なんだか何かで見た達人同士の間合いの取り方みたいだ、なんて思っていると突然アイラが剣を下げた。


「え?アイラどうしたんだ?」


不思議に思った俺はアイラに問うたが、アイラは「今日はここまで」と言ってそのまま黙って拠点に戻っていった。

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