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世界が赤く染まる日  作者: 夜桜
第一章 入学編
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ファーストコンタクト

日影と咲のファーストコンタクトです。

さらに新キャラも登場します。

日影視点


「「失礼しました」」


俺はなぜか生徒会長の水野先輩に学園の案内をしてもらうことになり、職員室から二人で出てきた。

これはチャンスかも。生徒会長とつながりができるのは俺の今後の学園生活にとってプラスになるはずだ。もしかしたらあの情報も手に入るかも……。


「じゃあいこっか」

「はい。よろしくお願いします」


俺はできるだけ丁寧に頭を下げ、失礼のないように心がけた。

水野先輩は少し困ったような顔をしている。

まあ新学期早々後輩のお守りをさせられてるんだから当然か。


「初日から先生に呼び出されるなんて何かと思ったよね」


俺たちは歩きながら話し始める。


「全くその通りで。代表の挨拶をすることも今朝知らされましたし」

「えっ……それはまた急だったんだね。でも神谷君すごい落ち着いて見えたけど」

「そんなことないですよ。俺なんかより先輩の方がすごかったです。教室でも先輩のことがすごく話題になってましたよ」


水野先輩はほめてくれたが、実際大したことをしたわけでもないので反応に困ってしまった。


「ありがと。でも私人前に出るのとかあんまり好きじゃないんだよね」

「あ、俺もです。できれば目立たず過ごしたいんですけど」


水野先輩も意外と人前に出るの好きじゃないのか。

あんなに堂々として見えたのに。


「もう目立たずに過ごすのは厳しそうだね。代表の挨拶しちゃったし」

「ですよね」


二人して苦笑いを浮かべていた。


「そういえば、私のこと咲って呼んでもらっていい?」

「えっと、わかりました。咲先輩、ですね」


突然のことで少し驚いたが、名前で呼ばれる方が慣れているんだろう。


「うん!」

「咲先輩も俺のことは日影でいいですよ」

「あ、うん!日影君……だね」


咲先輩の頬が少し赤くなっているように見えるが、気のせいかな。






舞神学園には座学や普段の生活をする第一校舎、実験や能力測定などのための第二校舎、入学式があった講堂、部活や体育を行うグラウンドと体育館(×3)と武道場や屋内プール、さらに異能の力の演習を行うためのドームなどがある。

咲先輩は第一校舎から案内を始めてくれた。


「ここはまあ見ての通り食堂よ。私もいつも使ってるんだけど、なかなかおいしいんだよ」


職員室から一番近かった食堂に来る。やはり名門とあって食堂も広く、豪華である。普段は授業後も開いているそうだが今日は入学式だったのでやっていない。


「今日はもうやってないし、次いこっか」


俺たちは食堂をでて第一校舎の中を回る。まだ校舎には多くの生徒が残っていて、周りからの視線を感じる。生徒会長と新入生代表がいきなり二人で歩いていたらそりゃそうなるか。

俺たちはその後、第二校舎と、三つの体育館、武道場を回り、あとドームを見て今日は終わることにした。


ドームの中に入ると、外観と比べて明らかに広く感じられた。空間系の能力を使っている形跡があるのでそのためだろう。

俺たちが来る前から何組かのグループが自主訓練を行っている。その中の一組のグループがこちらに気づき、その中の一人が歩み寄ってくる。


「さきー、何してんのー?」


茶髪ショートヘアーで身長150センチくらい、咲先輩より5センチほど小さい女子生徒が話しかけてくる。見るからに体育会系女子といった雰囲気である。


「穂香、日影君を案内してたの」

「はじめまして。一年の神谷日影です」

「あっ、新入生代表の子だ!こちらこそはじめましてだね。3年の立花穂香だよ」


立花穂香たちばなほのか先輩は咲先輩の友達らしい。


「神谷君いきなりすごい注目されちゃったよねー。あんな立派に新入生代表やっちゃったし。うちのクラスでも噂になってるよ」

「そうなんですか。俺そんな大したことしたつもりはなかったんですけど。俺よりも咲先輩の方が注目されてましたし」


あんまり目立ちたくはないんだが。

立花先輩はニヤニヤしながら続ける。


「大したことしてるよー、もう学校中の女の子の噂になってるよー。新入生代表の子がすごくかっこいいて」


いや、まじですか。

思いっきり悪目立ちしてしまった。


「それにしても咲、やるわね。いち早く神谷君ゲットしちゃうなんて」

「なっ、そんなんじゃないわよっ!」

「でもいきなり日影君、咲先輩なんて呼び合っちゃってるし」


咲先輩が顔を真っ赤にして、あわてたようにしている。

こんな顔もするんだなー。

それにしても、立花先輩恐るべし。

この人は敵にしないようにしなくては。


「それは違うんだって。あれはその、」

「はいはい、冗談だって。咲顔真っ赤だよー。まんざらでもなかったのかねー」

「ちゃんと話を聞いて!」


二人で完全に盛り上がってしまって俺は入れない。

まあ、これはこれでいい(?)か。






咲視点


もうっ!穂香のばかっ、日影君に恥ずかしいとこ見られちゃったじゃない。

正直私はもう日影君のことが気になって仕方がなかった。

こんなこと初めてだよ。どうしちゃったんだろ。


「ごめんね、日影君。穂香が絡むといつもこうなるの」

「いえ、大丈夫ですよ」


日影君は優しく笑いかけてくれる。

あー、優しい。いい子だ。

って、また私は……。


「どっちが先輩なんだか、これじゃ分かんないわね」


穂香が悪戯っぽく言ってくる。

あんたのせいでしょっ!!

なんとか話をそらさなければ・・・。


「そういえば、日影君はどんな能力を使うの?」

「……俺は身体能力の強化が中心で大した能力はないですよ」


あれ、なんか隠されちゃったかな。

少し辛そうな顔してるし、まずいこと聞いちゃったのかな。


「そうなんだ。私は水系の能力なんだよね」

「咲の能力はずごいよー、咲はうちの学園で最高の水系能力者だからね!」

「それを言うなら穂香だって、大地系ではだれにも負けないでしょ?」


私の水野家は水系能力に長けた家系で、穂香の立花家は大地系に長けた家系なんだよね。

それにしても神谷君からは、もっと大きい力を感じるんだけど、気のせいかな。


「まあねー。でも新しく後輩たちも入ってきたことだし、気は抜けないね」

「そうね。私も頑張らなきゃ。それじゃ私たちはそろそろ行くね」


日影君は……もう元気そう。

よかったー。


「訓練の邪魔しちゃってすみません」

「いやいや、邪魔なんかじゃないよー。いいもの見れたし」

「穂香!」


穂香のやつー、まだいうか。


「じゃあね咲。神谷君もまたね」

「それじゃあね」

「失礼します」


私たちは穂香と別れて、ドームから出た。

時間もいい時間なので帰ることにして校門へ向かって歩き出す。


「今日はありがとうございました。学園内はこれで大体わかりました」

「いえいえ、私も楽しかったよ」


本当に楽しい時間だった。

これからの学園生活がもっと楽しみになってきたよ。


「これからも困ったことがあったらいつでも相談してね」

「はい。ありがとうございます」


そんなことを話しているうちに校門についてしまった。


「それじゃあ、またね日影君」

「はい、ありがとうございました。失礼します」


彼はまた丁寧に頭を下げてくれた。

ほんとにいい子だなー。

そうして彼は歩いて行ってしまった。

私はなんとなく校門から彼の後姿を眺めていた。

彼の後姿には力強さが感じられ、やはり只者じゃないと思わせる。

でもなんかうまく言えないけど、危うい感じがするんだよな。

もっと日影君のこと、知りたいな……。




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