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世界が赤く染まる日  作者: 夜桜
最終章 世界が赤く染まる日
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赤き炎はこの地に輝く

日影視点


「スターフレア」


皇成はスターフレアを発動し、火炎弾をいくつも降らせる。

俺はそれを素早く躱しながら、能力を発動する。


「ラーヴァ!」


上級能力ラーヴァで皇成の足元から溶岩を噴出させる。

だがそれを皇成もあっさりと躱す。


俺たちは戦い始めてから数十分、有効な攻撃を互いに当てれていない。

そのせいで周りの地形は、もう元の姿をとどめていない。

一面の赤い世界が広がっていた。


「この戦いを続けるのも、もう飽きたな。そろそろ終わらせるとしよう」


彼はそう言うと、彼の体は黒い炎に包まれる。

俺はその姿を見て、全身が危険だと叫んでいることを感じる。

これはかなりやばいのが来るみたいだ。

そして皇成は掌をこちらに向け、能力を発動する。


「イヴァポレイション」


皇成は炎系統能力最上級能力イヴァボレイションを発動し、その手から超高温のエネルギーを放出する。

俺はそれを躱さない、いや躱すことができない。

これを躱してしまえば、おそらく学園どころか、この都市自体消滅してしまうだろう。

俺は覚悟を決め、能力を発動する。


「オーバーロード、スーパーノヴァ!」


俺は炎系統最上級能力オーバーロードでの精神力強化と炎系統最上級能力スーパーノヴァを同時に発動する。

俺の体は高濃度の赤い炎に包まれ、異様なまでの精神力が体からあふれている。

その状態で皇成に向けた手からスーパーノヴァによる超新星爆発並のエネルギーを放出する。

そして俺と皇成の放ったエネルギー同士が衝突し、互いに押し合うがその力は拮抗している。


「ばかな、オーバーロードなど使えば命が尽きるぞ」


俺の使ったオーバーロードは自分の命を燃やすことで、炎の精神力に変換する能力なのだ。


「それでも皆を守れれば問題ない」

「守るなど、守ることなどに何の意味がある!?私達炎真は全てを破壊するために生まれてきたのだ!」


皇成は叫ぶ。

そんなわけがない。俺の力は誰かを守るために使うものだ。そのための力だよ。


「あんたにとってはそうかもな。だからこそ、あんたは俺には勝てないよ。誰かを守るために戦うとき俺たちはこんなにも強くなれるんだから」


俺のその言葉を皮切りに、拮抗していたエネルギーのバランスは徐々に崩れ始め、俺のエネルギーが皇成のエネルギーを圧倒する。


「ばかな!?なんだこの力は。ふふふふ……ふははははははは」


皇成は狂ったように笑い声をあげる。


「面白い。この私が死ぬか。こんな所で。これこそ絶望!感謝するぞ日影!私を殺してくれることを!ふふふふ……ふはははははははは」


そうして皇成は俺の放ったエネルギーに包まれ、消えていった。


「これで、皆を守れ……」


俺はそこで力尽き、その場で倒れた。






気が付くとそこには俺を心配そうに見つめる咲と師匠、凌さんがいた。

周りはまだ炎に包まれている。

皇成は、死んだのか。

俺は、ちゃんと奴を倒せたんだな。


咲は彼女の瞳から大粒の涙を流している。その涙が俺の頬に落ちちてくる。


「日影!ばかっ、心配したんだから」


ああ、ごめんな咲心配かけて。

そしてもう一つ謝らなくてはな。


「ごめんな、咲。俺はもうお前とは一緒にいられない」


俺は咲の頬に手を伸ばす。

彼女とそしてその後ろの二人も驚きのあまり目を見開く。

そのときすでに俺の体は、徐々に粒子へと変わろうとしており、その姿をとどめれなくなってきていた。


「日影!お前オーバーロードを!?」

「日影君!ダメだ、あきらめるな!」


師匠と凌さんが呼び掛けてくれる。

二人とも、ありがとう。二人がいなければ俺はここまで来れなかったよ。


「日影……日影!やだよ、まだ日影といたいよ。ずっと一緒にいたい」


ごめんな咲。

俺もずっと一緒にいたかった。

俺は咲、お前を本当に心の底から愛している。

もう、声も出せないや。

せめて最後は笑顔で。


そうして俺は咲に笑顔を向けると、その体は粒子となって消え去った。


「いや、いやああああああああああ」


後には、咲の悲痛な叫びだけが残った。






咲視点


あれから数週間経ち、被害が出た舞神学園も元の姿を取り戻している。

だけど、彼は……彼はもういない。


私はあれからも毎日彼のことを思い出し、その度に泣きそうになってしまう。

でも彼が、彼が守ってくれた私たちの残りの人生をちゃんと生きなきゃ。

私はそう自分に言い聞かせ、なんとか生きている。


穂香や、里香さんや如月さん、二見さんに、達也君や加藤さんも、最初は私のことをひどく心配していたけど、なんとか頑張っている私を応援し、支えてくれている。


私は、ちゃんと生きてるよ、日影。

私はそうつぶやいた。

その時私は何かに気づく。

この感じ。この暖かいものは何?私はこれを知っている……?。

これはっ!


私は駆け出していた。

必死に自分のその感覚を信じて、ただ走った。

校舎から出て、グラウンドに向かう。


私が息を切らしながら辿り着くと、一人の後ろ姿がそこにはあった。

私は懐かしいその後ろ姿を見て涙を流す。

そして彼はこちら振り返り、そして彼の暖かい真っ赤な瞳は私の目を真っ直ぐに見ている。

私は涙を流しながらも笑顔があふれる。


「おかえりなさい。日影」

「ただいま、咲」


私は彼の胸に飛び込み、そして私たちの影は一つになった。






日影視点


俺はこっちに戻ってこれて、咲と再び会うことができた。

こんな奇跡って起こるか?

でも俺は心の中でそんな奇跡に感謝した。


俺はあの時、粒子となってしまったが、そんな状態でも意識を保つことができたんだ。精神力と生命力を酷使しすぎた結果、あのような状態になったんだと思う。

そして時間が経つにつれて俺の精神力と生命力が徐々に回復していき、そして今、元の姿に戻ることができたんだ。


それから俺は皆に会いに行き、事情を説明した。

皆は怒ったり、泣いたり、笑ったり、いろいろだったけど俺が戻ってきたことを喜んでくれた。

そして俺は咲の隣にいられる。


俺はもう咲から離れたりしない。


俺はそう誓いながら、彼女の手を握った。

そして、彼女もその手を握り返してくれる。


俺たちはこれからもずっと一緒だ。




―― これは一人の少年の物語。

     少年はこれからも赤く輝き続ける ――




世界が赤く染まる日、完結です。

今まで読んでくださった読者の皆様、本当にありがとうございました!


この作品は、僕が初めて書ききることができた小説です。

最初は小説を書く練習のつもりで書き出した作品だったんですが、かなり感情移入してしまいました。

書き方の基本ができていなかったり、序盤の中心人物が終盤あまり出てこなかったり、最後のあたりで出てきた人物が重要人物だったりと、色々問題はありましたが、何はともあれ完結できてよかったです。

感想や意見などございましたら、ぜひお送りください。お願いします。


また、すぐに新作の執筆に向けて準備していきたいと思います!

その時はまたお読みいただけると嬉しいです。


本当にありがとうございました。


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