再会
日影視点
その日は突然やってきた。
俺たちはその日、三人集まって学園のドームで修行をしていた。師匠もいる。
俺たちはいつやってくるかわからないニュクスとの戦いに備えて、日々修行を重ねるしかなかった。
この修行の日々がいつも通りの日常となってきて、俺たちは本当にニュクスは来るのだろうか、という疑問さえ持ち始めていた。だが、そんな疑問はすぐに打ち砕かれることになる。
俺たちが修行をしているところに、見知らぬ男がやってくる。
「ニュクスが、ニュクスが来ました!」
男は動揺を隠せないようだが、それでも事実を俺たちに伝えようと必死なようだ。
師匠は彼に見覚えがあるらしく、声をかける。
「落ち着け、状況を伝えてくれ」
「は、はい。敵は2名。しかしながらその力はあまりに強大で、私達見張りのメンバー10名のうちすでに9名は死亡し、残りは私だけとなってしまいました」
そうか、と師匠は言うと男に避難を勧める。
しかし、それは遅かった。遅すぎた。
次の瞬間、すでに彼の首は落ちていた。
そしてその先には、俺たちの知る奴の姿があった。
そう、月本才。彼の姿が。
「久しぶりだな、日影。あれ、凌もいんのか」
月本は平然とした態度でそう言った。彼はどうやら凌さんと知り合いらしい。
こいつがニュクスのメンバーだったとは。厄介な。
「本当は今ここで全員殺したいところなんだが、日影、お前は俺のとこのリーダーが会いたがっていてな。あの人短期だから、早くいかないと学園どころかあたり一帯吹っ飛ぶぜ」
月本は笑いながら言う。
だがこっちには笑い事じゃない。
「だけど、日影以外には用はないからな。ちゃんと殺してやるよ。シャドウエッジ」
彼はシャドウエッジを放つ。
それは以前の彼のものとは全く違い、その速さ、その威力は比べ物にならない。
彼の狙ったその先には、咲がいた。
その速度に俺は間に合わない。
「咲!」
俺がそう叫んだその時、咲の目の前で彼の放った闇の刃が消滅した。
そこには、いつもと違う、決意に満ちた表情の凌さんがいた。
「水野さん大丈夫?」
「はい。ありがとうございます」
そして凌さんはここを自分に任せるよう言い、俺たちはリーダーの元へ向うよう言った。
「だが!」
「日影君、頼む。俺はこいつと戦わねばならない」
俺はその凌さんの表情に、それ以上何も言うことができず、二人を連れてドームを出た。
凌さん、死ぬなよ。
ドームを出た俺たちは、力を感じる方向に向かう。
その力の強大さを遠くからも感じる。
だが、この感じどこかで……。
俺はそう思いつつ、その力を感じる方向であるグラウンドの方に急いだ。
俺たちはグラウンドにたどり着くと、さらなる驚愕に包まれた。
「な、なぜあの男がここにいる……」
師匠はうろたえる。
それは俺も同じだ。
「久しいな、日影」
彼は昔と変わらぬ声で、昔と変わらぬ目で、昔と変わらぬその姿で、俺に言葉を放つ。
彼の赤い瞳は、俺から一瞬も離れず、俺も彼から目を離すことができなかった。
彼は、炎真皇成。
死んだはずの俺の父が、確かにそこにいた。




