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世界が赤く染まる日  作者: 夜桜
第三章 国家代表選抜大会編
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国家代表選抜大会Ⅱ

咲視点


無事予選を通過して決勝に進めることになった私と日影は、お昼を食べながら予選通過者の話をしている。


「俺が見た限り咲が苦戦しそうなのは二人、第一グループの如月凌と第二グループの相原加奈だ」

「如月さんは第一グループでやたら目立ってた人だよね。相原さんは日影のグループで何もしてなかったように見えたんだけど、本当に強いの?」


私は日影に疑問を投げかける。


「多分、な。俺も彼女の実力は測りかねているんだよ。なんせ試合が始まる前は咲と同じか少し強いくらいだと思ったんだが、いざ試合が始まったら何もしないんだからな」


なるほど。日影は他人の強さを見ただけである程度分かってしまうけど、その感覚と試合内容がここまで違えば困惑するだろう。


「まあ警戒するに越したことはないよね。如月さんともしあたったらどう戦えばいいと思う?」


日影は難しい表情で答える。


「如月凌は正直言って並じゃない。あの予選の時点で師匠レベル。でもあれですべてってわけでは全くないだろうからどのくらいのものか何とも言えない。予選を見る限り3系統の能力を高いレベルで組み合わせてくることがわかってるからそれに警戒しつつ、咲の最大出力の水系統能力をなんとかあてることかな」


日影にそこまで言わせるなんて……。正直私には荷が重いだろう。でもあたったら戦うしかない。やれるだけのことをしよう。

私はそう覚悟を決めた。






私たちが昼食を食べ終わりしばらくすると、決勝の組み合わせが発表された。

これは……私には結構きつい組み合わせかもしれない。

一回戦はいいとして(といっても油断はできないけど)、二回戦で相原加奈さん、それに勝っても準決勝で如月凌さんとあたる。

多分日影は余裕で向こうのブロックを勝ち上がる。私もなんとか勝ち上がりたい。頑張らなきゃ。


そして私は決勝の一回戦に向かう。

案の定、日影は余裕で一回戦を勝っていた。相手がかわいそうなほどに……。

私も負けていられない。自分を奮い立たせてドーム中央の闘技場に出ていく。

私の一回戦の相手、野々原健太さんは第一グループで如月さんの攻撃にあって最後に倒れた人。まあそれだけ聞くと全然強そうじゃないけど、それだけ防御能力が高いってことよね。……日影は、ただ一番遠くにいただけって言ってたけど。


「一回戦、水野咲 対 野々原健太 はじめ!」


審判の合図で私たちは戦闘を開始する。先功したのは私で、水系統中級能力を発動する。


「コールドゲイル!」


能力の発動と同時に野々原さんの周りに冷気を発生させて体力を奪う。

防御能力が高い(?)彼を効率よく倒すための作戦だ。

彼は最初から上級能力を発動しようと思ってたのかほとんど動かずに精神力をためていたため、この作戦は完全にはまった。

彼の動きがより鈍っているのを確認した私は畳みかけるように上級能力を発動する。


「デリュージュ!」


水系統上級能力デリュージュで大洪水を発生させる。以前月本と戦ったときには発動にかなりの時間を要した能力だが、今の私はほぼタイムロスなく発動できる。発生した大洪水は一気に野々原さんを飲み込み、彼の意識を刈り取った。そこで審判は


「勝者、水野咲!」


と勝者を宣言した。これでまずは一回戦突破だ!

ほっと胸を撫で下ろした私は、次の試合のことに頭を切り替えた。

やはり次の対戦相手は相原さんだ。日影君の感覚は正しかったみたい。


少し時間がたつと、もう私の出番だ。

思いっきり進行が速い。

日影や如月さんがあっという間に勝っていくからなんだけど。

弱音は吐いていられない。集中しなくては。


私と相原さんは闘技場に出ていく。

私が彼女を警戒して少し硬い表情なのに対して、彼女は何の気負いもないどころか若干だるそうである。

何なんだこの人は……。

そんなことを考えているうちに試合開始の合図が出る。


「二回戦、相原加奈 対 水野咲 はじめ!」


私は先手をとり速攻で試合を片付けようといきなり上級能力を発動する。


「アブソリュートゼロ!」


私は水系統上級能力アブソリュートゼロで相原さんの周囲を絶対零度のフィールドにし、彼女の生命力を奪おうとした。だが、


「ふわぁ~、エアリアルブロークン」


彼女があくび交じりにはなった風系統上級能力エアリアルブロークンによる爆発で、周囲の周囲が絶対零度の領域で包まれることを防いでみせた。

この人、態度はともかく実力は本物ね。あの速度で上級能力を発動するんだから。

私は、続けて上級能力を放つ。


「デリュージュ!」


私が放ったデリュージュによる大洪水が彼女を襲うが、


「トルネード」


だるそうに放った風系統上級能力トルネードで発生させた竜巻で、私の放った水をすべて巻き込みあたりに拡散させたうえに、その竜巻で私を襲う。

これちょっと洒落になんない。巻き込まれる!

私はよけることができないと判断し、吹き飛ばされないように水系統能力フリーズを自分の足元に発動し、足を地面に固定することで何とかトルネードを凌いだ。

相原さんは今の一撃で勝負がつくと思っていたのか、かなり油断している。

そこで私は勝負をかける。


「デリュージュ!」


私が再び上級能力を発動したことにすこし驚いて対応が若干遅れるがそれでも上級能力ウインドインパルスで発生させた衝撃波で、迫りくる大洪水を分断し自分への被害をなくす。

だが、これは私の計算内だ。


「タイダルウェイブ!」


水系統上級能力タイダルウェイブを発動し、分断され左右に広がろうとする大量の水を元に津波を発生させる。


「えっ!?」


さすがの相原さんもこれは想定していなかったようで、驚いて声をあげながら津波に飲み込まれていった。そして彼女が気を失ったことを確認し、私は能力を解除する。

そこで審判は勝者を宣言した。


「勝者、水野咲!」


ふう、なんとか勝てたー。

強かったなー。


私はかなり体力と精神力を消費したがなんとか勝利することができた。

次は如月さんなのにこんなに消耗しちゃった。やばいなー。

そう思いながら、一度待合室に戻った。





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