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世界が赤く染まる日  作者: 夜桜
第二章 闘技大会編
16/27

幕間 彼の言葉と私の気持ちと

咲視点


日影君に助けられ、彼に頭をなでてもらっていると、急に穂香の声が。


「おーおー、お熱いことで」


え……なんで穂香が来るの!?

私はふっと我に返り、すぐに日影君から離れる。

あー、恥ずかしい。もう顔が熱いよー。

ちょっと隣の日影君を見てみると、彼も少し頬が赤い。


「その様子ならもう心配はいらないな。私はもういくよ。お邪魔なようなので。あ、そこの二人だけもらってくねー、残りの一人はあっちでのびてるから心配しないで。ではではー」


穂香はそう言うと、日影君に気絶させられた二人の男子生徒を引きずって出ていった。

穂香のやつー、あとで覚えてろー。


穂香が去っていくと、私達は沈黙に包まれた。

どうしよ、彼に伝えたいことはたくさんあるのに、何をどう言ったらいいかわかんないよ。

あー、私のばかっ。

早くなんか言わないと……。

そんなことを考えていると、彼の方から先に口を開く。


「咲先輩」


彼の声が倉庫に響く。私はその声に思わず体を震わせてしまった。

ダメ、ちゃんと彼の方を見なきゃ。

私は彼に何を言われるか怖かったけど、それでもちゃんと彼の目を見る。

あの日以来初めて彼のことを真っ直ぐ見ている。

彼が何を言おうと、たとえ拒絶されても、私は彼の言葉をちゃんと聞かなくてはいけない。

彼も私の目を真っ直ぐに見つめている。彼の赤い瞳から、暖かい感情を感じる。

そして彼は決意に満ちたような、そんな表情で私に言う。


「この前からすみませんでした。俺は傷つく先輩を見るのが怖くて、逃げていました。でもそれじゃダメで、逃げてても何も解決しないってわかりました。俺は先輩のことがすごく大事なんだって今更になって気づいたんです。」


そっか、あなたも傷つくのが怖かったんだね。それでも勇気を出して、私に近づいてきてくれるんだね。私ももっと、あなたのそばに行きたい。


私は日影君のことを勘違いしていた。彼も私と同じ弱い一人の人間で、彼はいつでも苦しんでいたんだ。そんな彼に、私はいつでも甘えてしまっていた。今になってそれがわかる。

私はそんな彼をより愛おしく思った。

彼の一言一言に私は一喜一憂し、そのたびに彼が私にとってかけがえのない存在だって分かる。


「だから、俺はもう逃げるのはやめます。傷つく咲先輩は見たくないけど、いや、だからこそ一緒にいて守ってみせます。咲先輩、俺はあなたのことが好きです。これからずっと、俺と一緒にいてくれませんか」


ああ、あなたは私と一緒に歩んでくれるんだ。私も、あなたと一緒にいたい。

私も……


私は涙を浮かべてたけど、自然と笑みがこぼれた。

彼の気持ちが、私の中に流れ込んでくる気がした。

私も彼に伝えよう。自分の素直な気持ちを。


「はい。私も日影君が大好きです」


私の言葉に彼は今まで以上に優しい笑顔を向けてくれた。

彼と一緒にいられる。

私はそんな喜びでいっぱいだった。




前話の場面を咲視点で書いてみました。

もう一話幕間を挟むか迷い中です。

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