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―プロローグ―⑨
互いの激しい攻防戦がずっと続いている。
一行に決まる気配がない。
観客の生徒達もかなり飽きてきたようだ。
「あんた…いい加減諦めなさいよ…!」
ボロボロになったブラウスとスカートをはためかせながら魔法を浴びせるシロナ。
「うっさいわ…ボケッ」
ネクタイと長ズボンが中途半端な半ズボンになってしまったヤマセも、交しながら負けじと叫ぶ。
「もうーーーッ!これで決めるわ!!」
シロナは指先に白いほのかな光をともすと、大きく手を動かし弧を描き始めた。
「なんやねん…」
どうせまたショボイ弱小魔法だと思ったヤマセは地面に座り込んだ。
「おっとおぉぉッ!もしやそれはシロナ先輩の大技!?」
「絶対そうだ!校舎が吹っ飛ぶよぉ〜!!」
シロナの周りが徐々に淡い光で染められてゆく。
「…やっと出番かよ」
重い腰を上げるシンラス。あまりの暇さに寝転がっていたらしい。
シンラスはサリアに目で合図を送った。
「あたしがやる〜」
シンラスに手を振るサリア。
「おう、任せた」
シンラスは伸びをするとアクビをしながら再び寝転がった。