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―プロローグ―⑪
けっこうな魔力を詰め込んだのに…
サリアの聖霊・荊姫の一輪の薔薇だけで消滅した。
ちらりとサリアの方へ目をやる。
そして、
「サリア…よくこれを消したわね」
と言った。
サリアはシロナを見ると苦笑いをしながら
「すいません、くれぐれも校舎を吹っ飛ばすなと言われていまして…」
と荊姫と顔を見合わせた。
「ありがと、荊姫。お礼のあめちゃんだぞ〜」
ポケットからいちごみるくのあめ玉を取り出した。
途端荊姫は華のような笑顔を見せた。
「嬉しいですわぁ。また何かございましたらいつでも御呼びくださいませ」
荊姫は花弁を撒き散らしながら消えていった。
「サリアのサポートで試合は続行されます!」
「いや〜よかった、よかった!」
ユンとロンはふとヤマセを見やった。
「あれ?ヤマセ先輩魔法陣描いてますね」
「ほんとだぁ」
「反撃か…!」
寝転がっていたシンラスはその一言で飛び起きた。
ヤマセはニヤリと口端を吊り上げる。
徐々に風が撒き起こり始めた。
「ヤマセ先輩何するつもりだ…?」
シンラスはヤマセの魔法階級を見極めようとしたが、砂塵のせいで前が見にくくなっていた。