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―プロローグ―⑩
サリアは靴のベルトに付いている愛銃『禁断の黒蝶』を手にとると、引き金を空へ引いた。
乾いた銃声音が響き閃光が閃く。
真っ赤な薔薇の花弁が辺りを舞い、一輪の薔薇から小さい女の子が姿を現した。
『お久しぶりですわぁ、サリア様ぁ〜』
満面の笑顔と花弁を撒き散らす聖霊・荊姫。
シロナの魔法は完成を向かえていた。
「お久ぁ〜荊姫!早速なんだけど、あのめちゃくちゃ魔法止めてほしいの!」
『お安い御用ですわぁ〜』
そのとき、
「ヤマセなんか吹っ飛べッ!!シロ魔法・セイントインフェニテス!!」
さらに魔力を詰め込み、ヤマセへ放つ。
「見たことない技やな…やっぱほんもんやったか…!」
僅かに顔を歪ませるヤマセは防御魔法の陣を描こうとした。しかし、眩しく光る白い魔法に目が痛くなる。
迫り来る刹那、荊姫は一輪の薔薇をシロナの魔法へ向けて飛ばした。
「何!?あのちっこいやつ!!」
一瞬の閃きの後、薔薇の花弁が飛び交いシロナの魔法を打ち消した。
「さすがやぁ〜サリアちゃぁ〜ん!!」
ヤマセは満面の笑みを溢しながらサリアに手を振っている。