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死物語  作者: 倉田公
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00 マチビト

 彼女が、ようやくやってきた。

 彼女が来るまでの間、私はここで3年近く一人で待っていた。

 少し前に出会った男は、1時間もしないうちにパートナーが来て、二人で仲良く行ってしまった。

 老人は、そう長くはないと安心してか、穏やかにベンチに座っている。

 永遠を誓い合った彼女は、私の顔を見ると、ふわりとわらった。

「遅くなって、ごめんね。」

「いいさ、私はここから君を見守っていたから。」

 私と彼女は、手を取り合う。

 3年たって、足元に見える世界はどう変わってしまっただろうか。

 私より3年長くそこに居た彼女は、私より3年新しい知識を持っていた。


「また、会おうね。」

 そうして、私たちはまためぐり合う。

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