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幼馴染み

主人公を“ほぼ女子校”に引きずり込んだ幼馴染みが登場します。



そして多分ヒロイン的な扱いです……“多分”ですが。



今日の授業は1日中体育の時間で、しかも特設された無駄に広い室内プールで水泳の授業とやらをする。

そして俺は、更衣室で着替えりゃ良いものを、何故か教室でプール着に着替える女子共に気を利かせて廊下に出る。



「更衣室で着替えろよ……」




という愚痴は一応小さな声で言って置くが、もはや言っても聞かない連中なのは体験済みだったりする。

そもそも、何故俺がこんな学校に入ったかというと、別にさしたる理由は無い、しいて言うなら“適当な性格”が災いしただけだ。



「……」



高校を決める中学三年の時の話に遡る。

当時の俺は色々(・・)な事情もあり、卒業と共に叔父が社長をやっている土木建築の会社に入る予定だった。

一応手伝いも頻繁にやっていたので、ノウハウは分かってたつもりだし、事情も事情なので高校に通うつもりは初めから全く無かった……という趣の説明を担任にした――筈だったのに。



「黒井くんオハヨー! 今日もカッコイイよ!」



「アザース先輩……」



今俺はこの学校に通っている。

何故か? それは中学の時の担任が……



『高校ぐらいは卒業しとけ』



と言われ、ついでに叔父さんも――



『オレですら高校は卒業してるから、ウチで正社員で雇ってほしけりゃ高校は卒業しときな』



と言われた。言われたのでしぶしぶ高校を探す事にしたが、その時は既に12月に入っており、頭の良かった連中は既に高校が決まってる……という時期にまでなっていた。

卒業したら働く気でいた俺だったので、ダラダラと誰でも入れそうな高校にしちまうかと考えていた矢先……。



『桜木高校にすれば? 此処の高校は私立の癖に色々と安上がりで済むし』



という幼馴染みの甘い誘惑に誘われるがままに、この高校に決めてしまった……ほぼ女子校の共学校とは知らずに。



「はぁ……」



そしてこの学校に入学して約2ヶ月ちょい……事実を知った時は絶望しか無かったが、今では無心になればどうにかなるという気分で頑張っている。全ては正社員の為に、正社員の為に俺は頑張る。




桜木高校は私立の中でも金持ち高校の部類に入る。

というのも此処の理事長がかつては何処かの財閥のトップで今は引退して道楽目的に学校をやっているとか何とか……俺にゃ関係が無いがね。

まぁ、そういう訳だから、室内プールとかも完備しているのだ。



「キャー!」



そんな室内プールでは、はしゃぎたい盛りの女の子達が泳いでいて、中には女の子同士で水着を脱がそうとするという遊びをやってるという、ある意味ご褒美みたいな遊びをやってる子達も居る。

そんな様子とは蚊帳の外……具体的にはプールサイドの端にて俺は携帯ゲームをしていた。本当は俺もあの中に入ってキャピキャピしたいが、もし拒絶でもされたら最悪だ……ますます学校に行きたく無くなる。

そういう事だからこれまで二度程あったプールの授業には一度も出ずにずっと見学している。



「で、お前は何で此処に?」



携帯をいじりながら只時が過ぎるのを待つばかりな一日を過ごすと決めている中、俺と同じく見学者になっている奴が一人だけいる。

何故か俺の隣で一緒になって座りながら。



「何故って、余り気分が乗らないからさ」



「お前、そんな事言って一度もプールの授業に出てないじゃん」



「……うん。正直に言うよ、皆の成長具合とボクの成長具合の差を近くで見るのが嫌なんだよ」



「ああ、なるへそ」



自分の胸に手をあてながら可哀相な理由を話すコイツの名前は『澤崎 葵』

俺の幼馴染みにてこの学校を進めてくれた張本人であり、一応女の子の部類に入る……胸が悲しくなるくらいに無いが。




「まぁ泳げなく無い訳じゃ無いし、こうして見学してるだけでも単位は貰えるからね」



「まぁ、な」



「それに、プールの授業に出ないのは大ちゃんも一緒でしょ?」



「あんなキャピキャピ空間の中に入れるなら喜んで入るが、あの子達の反応が怖くてね……てか大ちゃん言うのはやめれ」



俺を大ちゃんと呼ぶ葵を咎めつつ理由を話す。

ちなみに、俺の下の名前は大輝……黒井大輝だ。


「うんうん、大ちゃんがはしゃぎながらあの中に入るのはボクも見たくは無いしね……」



「だから大ちゃんと言うのは止め――もう良いや」



何回言ったか解らないが、コイツは俺を大ちゃんと呼ぶのを止めてくれない、だから諦めた。



「今更大ちゃんを他の呼び方で呼ぶというのは、ボクとしては嫌なんでね。変える気は無いよ」



ほぅら、昔からコイツは変なトコで頑固な奴なのだ。



「ねぇねぇ、携帯ゲームなんかして無いでボクの暇潰しに付き合ってよ~!」



そして異様なまでにベタベタしてくる。

今もこうしてベンチに座って携帯をいじくる俺の腕に、無い胸を押し付けながら甘えた声を出す。見てくれは結構良いんだが、いかんせん体型が餓鬼みたいなので、まったくドキドキも何も無い。


「うるせぇな、じゃあ何すりゃ良いんだよ?」



そんな訳だし、毎回似たような事をされているから、もはや慣れている俺としては全く何も思わなくなっていた。



「イチャイチャするとか?」



「餓鬼みたいな身体しといて誘惑ですか……十年後に出直して来な、お子様ボディちゃん?」



「ふん、ホーケーのキミには言われたく無いね」



「あ゛? ズル剥け最強マグナムの俺様に言ったのか? このチビまな板」



売り言葉に買い言葉、低レベルな言い合いが始まる。

ていうか見ても無い癖して人のムスコの悪口は許さない。



「え~? だって昨日一緒にお風呂入って見た時は、ボールペンのキャップ程度に……」



その言葉が耳に入り、それまで携帯の画面に集中させていた視線から、思わず葵の顔を見ると、彼女はニヤニヤと人の悪い笑顔をしていた。



「て、て、テメェ! 何時見たんだよ!?」



「ほら、身体洗った時腰に巻いてたタオルが落ちた時……」



あ、アウチ……あん時かい。

ああ、これまたどうでもいい話だが、俺と葵はこの歳になっても時々一緒になって風呂に入る時がある。

主にコイツが俺の家へ泊まりに来た時とかで、俺としても小さい時からそんな感じだったので、お互いに遠慮も躊躇も無い……コイツの身体は全く成長しないし、反応なんかする事も無いし。



「ぐっ……通常時はアレかもだが、戦闘時には戦術核弾頭並になるんだよ!」



「へぇ~~~?」



「な、何だよ?」



「いや? ふ~ん? 大ちゃんのアレがねぇ?」



こ、コイツ、マジで見たみたいなのか全く信じてないな、チクショウ……。



「大丈夫、大ちゃんのアレが小さくてもボクは気にしないから」



トドメとばかりに食らわされた葵の言葉によって、俺は更に欝な状態になるのは決まっていた。



「ありがとうよ、チクショー!!」



ヤケクソ気味の声と共に……。



~主人公設定~



黒井 大輝


15歳


2月29日生まれ。


身長:176㎝


体重:58㎏



~備考~

“ほぼ女子校”に通う0.4%の括りに入る男子の一人にて一応の主人公。

元は高校に通う気が無く、そのまま叔父が社長をやる土木建築会社に“コネ”で入社しようとしたが、社長である叔父に…


『高校を卒業したら正社員で雇ってやる』



という言葉により進路が定まる12月頃になってから漸く高校に行く決心をする。

そして幼馴染みの“澤崎葵”に勧められるがままに私立桜木学園に入学してしまったのが全ての始まりであったとか。


性格はめんどくさがりで『めんどくせぇ』が半ば口癖であるが、葵の言う事には何だかんだて付き合っている。

好みのタイプは“年上のムチムチした人”と、幼馴染みに喧嘩を売ってるような感じである。


容姿は、苗字の通りに真っ黒な髪に少し釣り上がった目をして、その他のパーツも一通り綺麗に揃っているので、美形と言われりゃ美形だが……釣り目のせいで常に誰かを睨んでるように思われている。

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