スーパーサマーバケーション(究極の馬鹿二人編)
4人以外の視点……元主人公視点デス。
俺がこの19年の人生で分かった事が二つある。
一つは宝くじは買わないと当たらない……なんていう言葉の意味。
いやまぁそのまんまの意味なんだけど、俺はこの言葉に後押しされて連番15枚、バラ15枚の宝くじを買ったらまさかの一等105億円が当たってしまったんだから。
そして二つ目は『俺って本気出したら彼女出来るんじゃね?』というもの。
ぶっちゃけちゃえば、俺のツラは悪くは無い……ていうか寧ろそこら辺の野郎よりかは大分マシなくらいだと思って――あ、いや別にナルシストとかとは違うよ? つーか謙遜するよか良いと思わない? ……え? 今から殺害しに行くからそこを動くなだと?へ、殺れるもんなら殺ってみやがれってんだ!
start
某県某市のあるアパートの一室に、俺は住んでいたりする。
「梅雨が明けたみてーだな……」
ボケーッとしながらお天気姉さんの声を聞くのは俺、霧生零だ。
魔が刺した……というべきか、買った宝くじが一等の105億になってしまい、リッチなニート生活が確実に保障されて早一年ちょい……一応高校は普通に卒業したんだが、就職やら進学する意欲が全く無くなってしまった。
いやだって105億だぞ? 宝くじだから税金とか取られない状態でそのままそっくり105億だぞ? もし君達に『この105億を自由にお使い下さい』とか言われたらどうする? ニート生活しか無くね? 余程馬鹿な使い方しない限りほぼ無尽蔵に近い額だぜ? 普通に働くのが馬鹿らしくてしょうがないとは思わんかね? “?”が多いんじゃね? とかいったツッコミは無しじゃね?
まぁそういう訳で、ニート街道まっしぐらな俺でありまして、今日もキャ〇クラかお〇パブにでも行こうかしら……そんな事を考えながら家でテレビを見ていた時に突然奴が現れてこう言った。
「海行かね? 海」
年下から異常に好かれるという変なジンクスみたいな体質を持つ男、中学の頃からダチをやってる向島 真がこう言う。
ちなみにコイツは中学で進路相談員なる仕事をしている……ご苦労な事だ。
「海? ……ってパチンコか?」
魚の大群が流れたら激アツなパチンコ機を思い出しながら軽くボケてみると、真先生は『NO!』と米国人並の迫力を出しながら声を張り上げる。
「ここいら界隈で最強金持ちのお前に、今更パチンコなんざ誘わねぇよ! 海っつたらほんまもんの海に決まってんだろーがい!!」
梅雨が明けたとあるが、今だムシムシとした暑さが残る7中旬だというのに、何時に無く暑苦しい雰囲気を出しまくる先生。
普段はこんなのでは無いのに変な奴だと思っていると、先生は暑苦しい雰囲気そのままで語り出した。
「いやさ、オレももう何だかんだで23じゃん?」
「ああ、だな……」
「高校の頃に初恋の娘にフラれた以降彼女とか居ないじゃん?」
じゃん? とか言ってるけど初恋云々の件は今初めて聞いたんだが……。
まぁ内容は何と無く分かるから聞きはしないが。
「ああ、だね」
「そんなオレだけど、ある日の仕事中に唐突に浮かんじまったんだ……『今のままで良いのか?』ってな……」
「ふ~ん? で?」
「取り敢えず彼女を作りたいなぁ……と」
「成る程ね……つまりこう言いたいわけだ? 『僕ちゃん彼女が欲しいから海に行ってナンパしたい……だけど一人じゃ恥ずかしいから零ちゃんも一緒に来て!』……という解釈で合ってる?」
「おうともさ!」
あら、適当に言ったのに当たってたよ。
ていうか、別に一人でもアンタなら普通にナンパするだろ……しかも的中率は脅威の90%オーバーだったりするし。
「いやお前だって彼女居ないじゃん」
「いやまぁ居ないケドさぁ……つーか人の思考を読むなや」
「顔に出てたからツイね」
あっそうかい。
しかし彼女ねぇ……? アンタは一応職持ってるからアレにしても俺には無理だろ。
だって金持ちニートだし、働けと言われりゃ働くがこの不景気の世の中、最終学歴高卒にそうそう都合良く職が決まるとは思え無いのだかな。
とは言え……。
「灰色な人生は確かに嫌だな」
「だろ? つー訳で……」
「オールオーケーのマザーファッカーさ先生。いい加減キャバ〇ラの姉ちゃんにも飽き飽きして来た事だし、ここいらでマジな恋愛に突入するわ」
ニート生活にピリオドを打つ事にするのも悪く無い……ていうかニート生活してたら40過ぎ辺りでボケが一気に進行しちまう気がしてならんのだ。それはちょっと……いやかなり嫌だ、だから出会いを求める旅に行き、成功したら就活する……うむ、我ながらなんという充実した計画か。
コイツと一緒なのは気に食わんがね……だってコイツ立ってるだけで向こうからおにゃのこが来るんだもんよ。
「んじゃあそうと決まれば早速バイクで海行くぜ!」
「えぇ? 俺のバイクしばらくメンテしてねーから動くかわかんねーぞ?」
「んだよそりゃあ? チッ、オレも手伝うからチャッチャッとメンテすんぞ!!」
「ハイハイ……」
グイグイと押してくる先生に、やれやれ……なんて思いながらもバイクを放置してある倉庫的な場所に向かう。
さてと、上手く出会いがあれば良いんだが……好きだった女に男が居たという事実を知ってからナンパ止まりの俺によ……。
~ちょっと未来な話~
目的地にご到着した桜木高校御一行……旅館で一休みの後早速海でバケーションと洒落込んだ……のだったが。
真
「はぁっ!? ビーチは貸し切りだから別の場所に行けだぁ!?」
桜木高校専属SP
「あいるーびーばっく……」
零
「いや何言ってんだかわかんねーよ? アンタが此処に戻るって意味わかんないわ」
真
「貸し切りってオレ達は朝の5時からスタンバイしてたんだぞ! そんときテメー等なんざ居なかったじゃねぇかよ、ああコラ!?」
SP
「あいるびーばっくつー」
零
「(ブチッ) テメッ! 日本語で喋らんかいゴラァ!! 英語でもねぇけどよ!!」
SP
「おーまいごっとねぇちゃん……」
真
「なぁ零? コイツ沈めていいかなぁ? オレ社会人だけど沈めて良いかなぁぁ!?」
零
「フッ、沈めるんだけじゃ飽き足らねぇな……魚の餌にしてくれるわっ!!」
『殺人パンチ!!』
『あ~んど、殺人キック!!』
『マイガー!!!』
大輝
「何か向こうが騒がしい気がするんだが……」
赤也
「揉め事かな? オイオイ初日でいきなりッスか? 兄貴やっちゃいましょうかってか!」
薫
「いや僕は兄貴じゃ無いんだが……」
来夏
「ヌホホホッ!! 二次元こそ至高!!」
大輝
「いや来夏……話違うから」
――
茜
「む、何だかSPが揉めてるみたいだが……」
楓
「えぇ!? トラブルですか!? どどどどどうしましょ~!?」
茜
「落ち着いて下さい……行ってみたら分かる事です」
楓
「あ! 銀城先生待って下さ~い!!」
終了