第7話:黄金の再錬成
【前回までのあらすじ】
謎の組織「財団」に拉致され、改造人間となった大学生・蔵野武。平穏な朝を切り裂き現れた阿蘇松井家の九龍が放つ『熱殺蜂球』に包まれ、武の装甲はドロリと形を失い始める。絶体絶命の熱波の中、武の赤い瞳が白熱する。
「……熱い、なんて言っていられるか」
機体温度は既に限界を超えている。まいのタブレットには『蒸気圧力限界超過』の警告が真っ赤に点滅し、関節部からは悲鳴のような蒸気が噴き出していた。
「武おじちゃん! 逃げて! このままじゃマブイ石ごと溶けちゃう!」
まいの叫びも、九龍の嘲笑も、今の武には遠い。
意識が遠のく中、兄・剣心の言葉が脳裏に響いた。
『熱を力に変えろ。溶ける前に、自分を練り直すんだ』
武は、焦げた大学ジャージの袖を握りしめた。
変身して姿が変わるわけじゃない。だが、この不自由な改造の身体こそが、今の俺の「日常」だ。それを、こんな熱ごときに奪われてたまるか。
「……錬成!」
武が内なるマブイを爆発させた瞬間、黄金の装甲が一度ドロドロの液体状になり、凄まじい圧力で再構成された。
外部からの「マグマ」の熱を、「金」の属性がエネルギーとして吸収し、さらに硬く、さらに鋭く、白光りするほどに純度を高めていく。
「なにっ!? 地熱蜂が……吹き飛ばされたとね!?」
九龍が驚愕に目を見開く。
白熱する黄金の光が、武の機体を中心に大爆発を起こし、張り付いていた数百の機獣を一気に散らした。
爆煙の中から現れたのは、装甲の隙間から青白い蒸気を噴き上げ、以前よりも鋭利に研ぎ澄まされた「黄金の改造人間」だった。
「……九龍。次は、俺の番だ」
武は、熱を帯びたバットを静かに構えた。




