第6話:阿蘇の使者
「……ぬしゃ、蔵野の武か。財団の猟兵ばぶっ壊したっち聞いて来てみれば、随分とまばゆいマブイば出しとるな」
門前に現れた九龍は、巨躯を誇る**『重弓騎兵』**の背で不敵に笑った。その傍らには、阿蘇の熱を帯びた「地熱蜂」が不気味な羽音を立てて群れている 。
「阿蘇松井家が門下、九龍。武よ、そん黄金のマブイ……本物か偽物か、俺のマグマで叩き直してやる。覚悟ば決めんね!」
「いきなり何なんだ、あんたは!」
「問答無用! 九州の火山に伝わる『自然エネルギーの直接制御』、そん熱量ばその身で味わえ」
九龍が指を鳴らした瞬間、周囲の空気が赤く染まった。
数百の地熱蜂が、一斉に武の関節部や排気口へと張り付き、超高速の翅振動を開始する。
「武おじちゃん、逃げて! 蜂たちが関節部で一斉に発熱しとる……! 蒸気圧力が、計り知れんごつ上がっとるよ!」
まいの叫びが響く中、武は激痛に襲われた。
ミツバチが外敵を熱で殺す生態をからくり技術で再現した秘技――『熱殺蜂球』。
「ぐ、ああああッ……! 身体が、溶ける……ッ!!」
「そん程度か! 仕上げに阿蘇の重みをくれてやるけん!」
九龍が重弓騎兵を跳ねさせた。
大鎧を纏った騎馬が、投手板を砕くような勢いで踏み込む。
放たれたのは、白球ではない。マグマの熱を帯びた、隕石のような重厚な一球――。
「死ぬ気で振らんと、マブイごと砕け散っぞ!!」
黄金のサイボーグ、武。
阿蘇の熱に焼かれ、装甲がドロリと形を失う中、その赤い瞳だけが絶望の熱波を睨み返していた。
さて、第2章が幕を開けました。
阿蘇松井家の介入で物語は加速します




