第47話:黄金の広角打法
【前回までのあらすじ】
一番・疾風のスピードに翻弄される武だったが、競艇の旋回理論から「全速ターンの隙」を見出す。まいの精密なソナー同調と共に、黄金のバットを最短距離で振り抜いた。
キィィィィィィィン!!
衝突音ではない。鋭く、高く、空気を切り裂くような「ミート音」が広島湾に響き渡った。 [cite: 2026-01-24]
「……なっ!? 俺の全速旋回を……合わせたというのか!」
驚愕する一番・疾風。
武は力で押し返したのではない。疾風が放った「鉄砲」のマブイ弾と、機体そのものの突進エネルギーを黄金のバットで受け止め、そのまま進行方向とは逆の「三塁側」へと受け流したのだ。
まさに芸術的な流し打ち(カウンター)。
疾風の機体は、自らの速度を制御できずにバランスを崩し、海面を無様に跳ねながら四番・剛力の足元へと転がっていった。
「……波多野の言う通りだ。全速で突っ込んでくる相手ほど、わずかな『面』の角度で軌道を変えられる」
武が黄金のバットを構え直す。その背中には、SSSランクの排気圧と競艇式冷却システムが奏でる、安定した重低音が響いている。 [cite: 2026-01-27, 2026-01-42]
「……ちっ、一番の野郎、手こずらせやがって」
四番・剛力が、倒れ込んだ疾風を無造作に踏み越えて前に出る。
その手には、浅野家の「岩の盾」をボロボロに削り取った巨大な破城槌が握られていた。
『……技はもういい。次は「力」だ。蔵野武、貴様の黄金と、我の攻城兵装……どちらが上か、力比べといこうじゃないか』
海水を蒸発させるほどの熱量を放ち、四番・剛力が動き出す。
小細工の通じない、純粋な「打力」と「重量」の激突。第4章前哨戦、最大の山場が幕を開ける。




