第46話:一番の暴走、四番の重圧
【前回までのあらすじ】
ゼロコアの最強上位打線、一番・竜騎兵の「疾風」と、四番・攻城兵の「剛力」が広島湾に降臨。万能型の速度と、重装甲を粉砕する破壊力の前に、武たちは防戦一方となる。
「……ぐっ、速すぎる……! まい、ソナーの感度を上げろ!」
武が叫ぶが、一番・疾風が放つ「鉄砲」のマブイ弾が黄金の装甲を火花と共に弾く。竜騎兵特有の「鉄砲と機動力の融合」は、マブイソナーの演算速度を嘲笑うかのように、常に武の死角から弾丸を撃ち込んできた。
「ダメだよ武おじちゃん! 相手の排気圧が不規則すぎて、音の波形が捉えきれない……これじゃ、ソナーがただの雑音になっちゃう!」
『——ハハハ! 止まって見えるぜ、黄金の案山子さんよぉ!』
疾風の機体が海面を滑るように旋回し、武の懐へ飛び込む。その背後では、四番・剛力が破城槌のようなバットを頭上に掲げ、浅野の「岩の盾」を粉砕せんと狙いを定めていた。
「……蔵野、ここは俺が止める! だが、盾が持つのもあと数秒だぞ!」
浅野の叫び。その時、武の脳裏に、ガレージで波多野が放った言葉が蘇った。
「プロペラが水を噛む『振動』で、コースの先を読んでるんだよ」
「……そうか。波多野なら、今の疾風のターンをどう見る」
武は黄金のバットを、あえて「引き」の構えに変えた。
野球において、速球派(鉄砲)を打つ秘訣は、力で押し返すことではない。相手の「球速(マブイ圧)」をそのまま利用し、最小限の旋回で「流し打つ」ことだ。
「まい! ソナーの焦点を一点に絞れ。疾風が『全速旋回』に入る瞬間の、マブイの吸気音を聞き分けるんだ!」
「……やってみる! 競艇式、高回転同調……今ッ!!」
武の黄金の右腕が、これまでとは比較にならない精密さで、疾風の進路へとバットを差し出した。




