第45話:最強の布陣、広島湾の悪夢
【前回までのあらすじ】
武の「マブイソナー」と、浅野・長谷川の鉄壁の連携により、霧隠家の隠密機を制圧 。しかし、敵が残した「真の四番が着いた」という言葉通り、広島湾の霧を切り裂き、巨大な影が二つ現れる。
霧が、物理的な圧力に押されるように左右へと割れた。
海面に突き刺さる巨大なアンカー。波飛沫の中から現れたのは、これまでの執行官とは桁外れのマブイ密度を放つ二機の怪物だった。
「……なんだ、あのマブイ。SSSランクの俺の右腕が、共鳴して震えてやがる」
武が身構える。
一機は、全身を漆黒の重装甲で固め、破城槌にも似た巨大なバットを担ぐ剛力無比の機体。そしてもう一機は、細身ながらも全身に無数の「鉄砲兵」の銃身を仕込み、風を切り裂くような高周波の排気音を奏でる機体。
『——前哨戦は終わりだ、蔵野武。いや、出来損ないの「ハンパーマン」と言うべきか』
漆黒の重装甲機が、地響きのような声を上げる。
『我はゼロコアが「四番」、攻城兵・剛力。この一撃、浅野の岩壁ごと粉砕してくれる』
「……四番、攻城兵だと!? 持ってるだけで変態扱いされる、あの重装甲特化兵科か!」
浅野が驚愕に目を見開く。その横で、細身の機体が閃光のような速さで武の背後を掠めた。
『おっと、四番だけじゃないぜ。俺はゼロコアの「一番」、竜騎兵・疾風。スピードと遠距離攻撃、両方を兼ね備えた万能型の恐怖を教えてやるよ』
一番・疾風が放つ「鉄砲」のマブイ弾が、マブイソナーの感知を上回る速度で武の装甲を削る。そして、四番・剛力が振り下ろす破城槌の衝撃波が、浅野の「岩の盾」に亀裂を入れた。
「……トップバッターが万能型で、四番がパワー特化の攻城兵か。……最高に嫌な打順だな」
武は黄金のバットを握り直し、まいに通信を送る。
一番の「足」を止め、四番の「力」を逸らす。この難題を突破しなければ、広島はゼロコアの「ビッグイニング」に飲み込まれてしまう。




