正義の包囲網、不退転の岩壁
【前回までのあらすじ】
武の「マブイソナー」が霧隠家の隠密行動を完全に看破。黄金の打撃が霧を震わせ、仲間に敵の位置を知らせる「音の道標」を作り出した。
「……聞こえたぞ、蔵野! その咆哮、しかと受け取った!」
浅野家の機体が、霧を切り裂き躍り出る。武が弾き出した霧隠家の隠密機に対し、浅野はその巨大な「岩の盾」を全力で叩きつけた。
「家訓・不退転! 逃がしはせんッ!」
ドォォォォン!
岩石のように硬質化された装甲が、霧隠家の軽量機体を地面へと叩き伏せる。霧隠の隠密機は「水の変質属性」による回避を試みるが、浅野の放つ「土」のマブイが周囲の水分を吸い取り、その機動力を物理的に奪っていく。
『……おのれ、浅野! 泥臭い守備専業が……ッ!』
「……泥臭いのは、貴様の末路だ。長谷川、今だ!」
浅野の合図と共に、頭上の霧が不自然に渦巻いた。
そこにいたのは、長谷川鉄門。十手型のバットを掲げ、特殊マブイを全開にする。
「法に背き、霧に紛れて悪事を働く者……その罪、ここで裁かせてもらう。——『鬼平の裁き』、執行!」
空から降り注いだのは、マブイを編み込んで作られた「光の捕縄」。
浅野に叩き伏せられ、マブイソナーで位置を特定された霧隠家にとって、それは回避不能の宣告だった。
ガチィィィン!
実体を持たないはずの「霧」が、長谷川の捕縛属性によって物理的に固着され、霧隠家の機体は完全に沈黙した。
「……盗塁阻止率100%の力、伊達ではないな」
武が黄金のバットを収め、二人の元へ歩み寄る。霧はまだ晴れていないが、その脅威はもはや、この三人には通用しなかった。
だが、捕らえた敵機のコクピットから漏れ聞こえたのは、謝罪ではなく冷笑だった。
『……ハハ……。これで勝ったつもりか……? 霧隠の役目は……時間を稼ぐこと……。ゼロコアの真の『四番』が……広島湾に、着いたぞ……』




