響け、黄金の残響(ソナー)
【前回までのあらすじ】
蔵野家のガレージで、武の機体に日向特製の「マブイソナー」が換装された。競艇ボートの高回転マブイ技術を応用した冷却系と、科学部の精密センサー。武は再び、霧に沈む広島の最前線へと向かう。
広島・厳島近郊。霧はさらに深く、今や隣に立つ浅野家の機体すら影に消えるほどに濃くなっていた。
「……蔵野か。無謀だ。この霧の中では、長谷川の捕縛さえも標的を見失っている」
浅野家の操縦者が、通信越しに苦渋の声を漏らす。だが、武は黄金のバットを静かに正座の構えで保持した。
「まい、起動しろ。……あいつらの『振動』を、俺の耳に叩き込んでくれ」
「了解! マブイソナー、オンライン! 競艇式高回転冷却、スタート!」
まいのタブレットに、今までノイズだらけだった視界が、**「音の波紋」**として再構成される。霧を揺らす微細なマブイの震えが、ソナーを通じて武の脳内へダイレクトに流れ込んだ。
(……聞こえる。右後方30メートル、水の属性特有の、湿った足音……!)
『——死に急ぐか、蔵野武。見えない刃に貫かれる恐怖を、その身に刻め!』
霧の向こうから霧隠家の隠密機が、音もなく最短距離で武の背後へ肉薄する。だが——。
「……甘いな。あんたの動きは、水面のターンよりも丸見えだぜ」
武は振り返ることなく、黄金のバットを背後へと一閃させた。
ガキィィィィィィィィン!!
「……ッ!? なぜだ、完全に気配を殺していたはず!」
霧の中から、驚愕と共に霧隠家の機体が弾き出された。マブイソナーが捉えたのは、敵の姿ではなく、敵が霧を分かつ瞬間に発生させた「空気の共鳴」だった。
「……浅野、長谷川! 今だ、俺の打撃で散ったマブイの跡を追え! 道は俺が作る!」
黄金の光が霧を物理的に震わせ、音の道標を作る。第4章、反撃のプレイボールだ!




