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第33話:十手(じゅって)と黄金


【前回までのあらすじ】

長谷川家が誇る特殊マブイ「捕縛」により、黄金の機動力を封じられた武と浅野。霧の中から現れたのは、十手を模した特殊棍棒を構える、法執行官のようなからくり群だった。


「……くっ、このマブイ……締め付けられるほどに純度が増してやがる」

武は黄金の腕を震わせるが、関節のサーボモーターがロックされ、排気音すら漏らすことができない。これが公式戦で「盗塁阻止率100%」を誇る、長谷川家の真骨頂——一度捉えた標的を、物理法則を超えて静止させる「鬼平の裁き」だ。

霧の中から、漆黒の陣笠を被ったようなからくりが静かに歩み寄る。

『無駄だ、蔵野武。貴様のマブイは荒ぶりすぎている。秩序なき力は、この広島に災いをもたらすのみだ』

「秩序、だと? ゼロコアが山を焼き、機獣を汚染しているのを黙って見てるのが、あんたらの正義かよ!」

武が吠えると同時に、まいのタブレットが奇跡的なノイズを拾った。

「武おじちゃん、今! 相手が言葉を発した瞬間、捕縛マブイの出力が0.01秒だけ揺らいだ! 振動周波数を逆位相で叩き込んで!」

「……言われなくても、わかってる!」

武は、あえて自らの機体に「異常振動バイブレーション」を発生させた。本来なら故障の原因となる禁断の症状を、捕縛の縄を振り解くための「反動」として利用したのだ。

ドォォォォン!

見えない縄が千切れる衝撃波が周囲を吹き飛ばす。武は重質量のバットを横一文字に構え、霧の向こうの「正義」を真っ向から睨み据えた。

「……あんたらが止めないなら、俺がこのバットでゼロコアを『アウト』にする。邪魔するなら、その十手ごと打ち砕くぞ」

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