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第32話:見えない捕縄(なわ)

【前回までのあらすじ】

浅野家の「岩」属性による鉄壁の守護に守られ、武の黄金のバットがゼロコアの工兵機を一掃した 。勝利を確信した二人だったが、広島の空を覆う霧の中に、さらなる「法の番人」の影が潜んでいた。


「……今の工兵、ただの偵察じゃなかったな。マブイをわざと散布して、俺たちの位置を特定させていた」

武が残骸を見下ろしながら呟く。浅野家の戦士もまた、岩の盾を構えたまま周囲を睨みつけていた。

「ああ。浅野の地を侵す不届き者は財団だけではない。……来るぞ。この独特な圧迫感は、東京の『鬼平』の血脈だ」

その瞬間、まいのタブレットが真っ赤なアラートを吐き出した。

「武おじちゃん、気をつけて! 相手の機体、どこにも映ってないのに……私の操作系統が、物理的にロックされてる!」

霧の向こうから、カチリ、と硬質な音が響く。

それは、長谷川家が継承する「鬼平の裁き」——特殊マブイによって相手の動きを完全に封じる、回避不能の捕縛属性だった 。

「盗塁阻止率100%を誇る捕手の家系……長谷川家か」

武が黄金のバットを振ろうとするが、目に見えない「マブイの縄」が全身を締め付け、SSSランクの出力ですらビクともしない 。

『——蔵野武。貴様の戦いは、この一帯の「秩序」を乱している。大人しく捕縛されよ』

霧の深淵から響く声。ゼロコアと手を組んでいるのか、それとも独自の正義で動いているのか。捕縛特化のプロフェッショナルたちが、武の「攻撃」を無力化する最悪の包囲網を敷き始めていた。

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