第31話:不退転の連携(バッテリー)
【前回までのあらすじ】
広島・浅野家の領地にて、ゼロコアの工兵機に囲まれた武。絶体絶命の瞬間、土の変質属性「岩」を操る浅野家直系の機体が現れ、鉄壁の守護を見せつけた 。
「……浅野、か。助かった」
武が黄金のバットを握り直す。目の前の浅野家の機体は、まるで動かざる山のごとき重圧を放っている。機体の装甲は岩石のように硬質化しており、どれだけ強振されてもビクともしないという「打たせて取る」守備の精神が体現されていた 。
「礼には及ばん。だが蔵野、貴様の『金』の力……噂以上の殺気だな。土と金は相生の関係にある。俺が盾となり、貴様が矛となれば、この数もただの案山子にすぎん」
浅野家の操縦者が、低く、武士道を感じさせる声で告げる 。
周囲を囲むゼロコアの工兵機たちが、一斉に内蔵されたドリルと削岩機を起動させた。
「武おじちゃん! 工兵たちのタブレット通信にノイズを入れるよ! 連携を崩す隙を作って!」
まいの的確なオペレーション。浅野家の機体が岩壁のように前方に躍り出ると、工兵たちの猛攻を正面から受け止めた。火花が散るが、浅野の装甲は一欠片も砕けない 。
「……今だ、打てッ!」
浅野の声に合わせ、武が踏み込む。浅野の放つ「土」のマブイが、武の「金」と共鳴し、黄金のバットの鋭利さを極限まで高めた 。
一閃。
SSSランクの質量を乗せた斬撃スイングが、浅野の盾を避けて飛び出した工兵たちの機体を、紙細工のように一刀両断していく 。
「……前哨戦、第一陣、完了だ」
散らばる鉄屑の中で、二人のからくり乗りが静かに視線を交わした。だが、彼らはまだ気づいていない。浅野家が「盗塁阻止率100%」を誇る長谷川家(捕縛属性)と連携し、さらに巨大な包囲網を敷こうとしている、財団の真の狙いに。




