第30話:鉄壁の浅野と、忍び寄る「影」
【前回までのあらすじ】
阿蘇を救った武たちは、ゼロコアからの宣戦布告を受け取る 。次なる戦場は、広島の防衛線を担う土属性の名門・浅野家の領地。そこでは既に、財団による静かなる侵食が始まっていた 。
広島、厳島近郊。
そこは、浅野家が代々守護する「鉄壁の霊域」だった。家訓である「忠義を貫き、決して退かず」を象徴するように、領地の至る所に機体の装甲を岩石のように硬質化させる特殊なマブイが満ちている
「……ここが浅野の領地か。マブイの密度が、阿蘇とはまた違う重さだ」
武が黄金のバットを肩に担ぎ、周囲を警戒する。バットにはまだ、前戦で取り込んだ「陰」の質量の余韻が残っていた 。
「武おじちゃん、止まって! 浅野家の無人警備からくり……じゃない、これ、ゼロコアの偽装機だよ!」
まいのタブレットが、異常なマブイ反応を検知する 。
岩壁に擬態していた数体のからくりが、音もなく姿を現した。それは、浅野家の「土」属性を強引にハッキングして硬質化した、財団の工兵型からくりだった 。
『——標的、蔵野武を確認。前哨戦フェーズ01、開始』
「工兵か……クセがない分、数で来られると厄介だな」
武が構えを取ったその時、頭上から轟々たる岩の礫が降り注ぐ。
それを一瞬で粉砕したのは、武のバットではなく、巨大な「岩の盾」を持った見慣れぬからくりだった。
「蔵野の若造か。……余計な世話だが、ここは我ら浅野の地。勝手に荒らされては困る」
砂煙の中から現れたのは、浅野家直系の守備者。
土の変質属性「岩」を操り、どれだけ強振されてもビクともしない重厚な機体が、武の前に立ちはだかった




