第27話:黄金の錬成(バッティング)
【前回までのあらすじ】
黒鉄の「陰」のマブイに自由を奪われ、膝をつく武 。黄金の輝きを失ったバット。死神の大鎌が喉元に迫る中、武の赤い瞳に宿る「野球への執念」が、阿蘇の地熱と共鳴を始めた。
「……奪えよ。俺のマブイを全部」
武の低く重い声に、黒鉄が僅かに鎌を止める。
武は地に落ちたバットの柄を、氷結した黄金の指で握り締めた。
「ただし、俺の『金』属性は……不純物を食うほど、純度が高まるんだよ!」
その瞬間、武のコアマブイが限界を超えて逆流した 。
侵食していた「陰」のマブイを、自らの金属性のマブイで強制的に「再錬成」し、エネルギーへと変換し始めたのだ。
『なっ……!? 陰のマブイを、物理的な質量へ変換しているというのか!』
「武おじちゃん、バイタルが戻った……いや、計測不能! バットの重量ランク、SSSへ突入!」
まいの叫びと共に、武の右腕が灼熱を放ち、絡みついていた暗黒の泥を黄金の炎で焼き払う 。
手に持ったバットは、吸い込んだ「陰」の質量を纏い、一振りで空間を歪ませるほどの超重量へと進化を遂げていた。
「……待たせたな。これが、俺の『フルスイング』だ」
武はゆっくりと立ち上がり、かつてない重厚な構えを取る。その姿はもはや一人の学生ではない。阿蘇の地熱と「金」の力が融合した、不滅の金剛力士の如き威厳を放っていた。
「……一球で、終わらせる」
武が黄金のバットを振り抜いた瞬間、火口の空気が一気に爆発した。




