第18話:阿蘇・月下の乱戦
【前回までのあらすじ】
阿蘇・松井家の聖域に辿り着いた武とまいは、九龍と再会する。しかし、山全体は財団『ゼロコア』の汚染パイプにより「マブイの熱病」に侵されていた。周囲を囲むのは、正気を失った無数の野生機獣たち。武は黄金のバットを握り締める。
「九龍、合図は任せる。俺は……浮いた球を叩くだけだ」
「よかろう。阿蘇松井家の真髄、見せちゃるたい!」
九龍が指笛を鳴らす。直後、地中から数千の**『地熱蜂』**が一斉に噴出し、夜空を埋め尽くす黄金の雲となった。蜂たちが放つマグマ属性のマブイが、闇を赤く照らし出す。
「ま、前方から機獣『岩突狼』の群れ! 速度ランクA、来るよ!」
まいの叫びと同時に、鋭い爪を持つ狼型機獣が武に飛びかかった。
武は動かない。最短の軌道で黄金のバットを一閃させる。
『カァン!』
一撃。狼の眉間にある汚染チップだけを粉砕し、その勢いを利用して隣の機獣へバットを振り抜く。
「……ダブルプレーだ」
九龍の重弓騎兵が放つ火矢が空を裂き、武の打ち漏らした敵を正確に射抜いていく。二人の「属性」は正反対だが、その連携は長年組んだバッテリーのように冴え渡っていた。
だが、山の奥から更なる重低音が響く。
汚染パイプを通じて「母岩」からマブイを強制注入された、巨大な重装甲機獣が姿を現した。
「……ちっ、親玉のお出ましたい」
「九龍、あれを抑えろ。俺が……場外まで運んでやる」
武の赤い瞳が、かつてないほど激しく発光した。




