第16話:激走のノック
【前回までのあらすじ】
阿蘇へ向かう武とまいの軽トラックを、財団『ゼロコア』の追手兵団が急襲する。逃げ場の無い県道。背後から迫るマブイ弾に対し、武は黄金のバットを構え、走行する荷台の上で迎撃の構えを取った。
「まい、急ハンドルを頼む! 奴らの弾道をずらせ!」 [
「了解! タイヤが悲鳴上げてるけど、我慢してね!」
軽トラが猛烈なドリフトでコーナーを抜ける。その瞬間、後方のセダンから放たれたマブイ弾が武の頬をかすめた。だが、武の赤い瞳は動じない。彼は揺れる足場をサイボーグ脚の強力なグリップで固定し、バットを鋭く振り抜いた。
『カァァァン!』
黄金のバットが、飛来するエネルギー弾を真っ向から捉える。物理法則を無視した「金」属性の再錬成能力が、熱量を質量へと反転させた。
「……バントの要領だ」
勢いを殺された弾丸が、逆に追手の『工兵』型からくりの足元へと落ち、爆散した。
「なっ、攻撃を打ち返しただと……!? 奴の反射速度はどうなっている!」
指揮官の驚愕を余所に、今度は空からカラス型機獣が急降下してくる。鋭い爪が武の肩を狙うが、武は空中でバットを旋回させた。
「……フライは、打ち上げてやる!」
バットの芯で捉えられた機獣が、空高くへと弾き飛ばされ、夜空に火花を散らす。
だが、執念深いゼロコアは、さらなる「重装甲からくり」を道路脇の林から出現させた。行く手を阻む巨大な盾。
「……まい、そのまま突っ込め」 「えっ、死んじゃうよ!?」
「俺のバットに、デッドボールは無い」
武はバットを右肩に担ぎ、コアマブイを限界まで引き出した




