第11話:焦げた招待状と機獣の影
【前回までのあらすじ】
『隕石の剛速球』を打ち砕いた武に対し、九龍は戦いを止め、阿蘇松井家からの使者であることを明かす。彼の手から渡されたのは、謎の財団『コアゼロ』が呼び覚まそうとしている古の機獣に関する不穏な書状だった
。
武は、九龍から差し出された焦げた書状を、油汚れのついた手で受け取った。
そこには、阿蘇松井家が代々守り続けてきた「マブイ樹」の封印が解けかけていること、そして財団が野生の機獣を「兵器」として捕獲し始めていることが記されていた 。
「……俺は野球がしたいだけだって言ったはずだ」
「分かっとる。ばってん、財団が機獣を操り出せば、からくり野球どころじゃなか。スタジアムごと火の海たい」
九龍の言葉に、武の赤い瞳がわずかに細められた。
ふと見ると、九龍の傍らで傷ついた『地熱蜂』が、小さく羽を震わせている。武は無言で近づくと、機体修復用のグリスを指に取り、蜂の羽の継ぎ目にそっと塗った 。
「……武おじちゃん?」
まいの不思議そうな声に、武はボソリと呟く。
「整備不良のまま飛ばせるのは、性分に合わないんだ」
その時、遠く阿蘇の山並みから、地響きのような唸り声が届いた。それは機械の駆動音でも、野生動物の叫びでもない。大気を震わせる「機獣」の咆哮だった 。
武はジャージの襟を正し、空を見上げる。
変身はしない。だが、その背中には、改造人間として戦いの渦中へ飛び込まざるを得ない「1号」の宿命が、黄金のマブイと共に静かに燃え上がっていた。
学園ヒーロー物の学園戦記、連載開始しました。からくり野球の合間にでも読んでいただけるとありがたいです




