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涙のエルフ達

「こんな小さな枝で大丈夫だろうか。ヌポポ、君はどう思う?」

「ヌポっ!ヌポポに任せてくれ!僕が大きくしてあげるヌポ。」

僕はエヴァンスさんのところに来た。エヴァンスさんに精霊樹の枝をあげようと思っている。彼ならきちんと大事に育ててくれるだろう。

「これはカムイどの。今日は何かありましたでしょうか?」

「はい。これをエヴァンスさんに差し上げようと此方に出向きました。」

「これ?これは!精霊樹の枝!なんと、なんと・・・」

喜んでくれたかな。小さいけど、ヌポポが、なんとかしてくれるみたいだし。

「これを植える場所に案内してもらえればヌポポが丈夫に大きくしてくれるそうです。その場所に案内して頂けますか?」

彼は暫く考えそして、決意をしたような顔をした。

「分りました。良い場所がありますご案内いたしましょう。」


其処はこの国の真ん中に位置する小高い丘の上だった。丘の上には藁葺き屋根の家が一軒建っていた。そこから数人のエルフが出てきた。皆エヴァンスさんより年齢が上の物達だ。

「矢張り此処が分ってしまいましたか。」彼等の中の最年長のエルフが僕を見て言った。

彼等は災害の時を生き延びたエルフ達だ。皆年取っているが加護持ちで長く生きていた。他の加護無しエルフはもう亡くなっていて,今居るエルフは2世3世の世代だそうだ。加護が無いと五百年で寿命が来る。

その当時加護の無いエルフ達、そして彼等のように精霊王に対して反感を持つエルフ達がこの国に戦いに出されたと言う。

「私たちのせいでこの世界が壊れてしまったのです。怖くて君たちに会えなかった。」

彼等は反転の魔道具をばらまいた,実行犯だという。自分たちだけが生き延びた罪悪感でいっぱいだったと泣いていた。


僕は教えてあげた。この世界は元の儘であると。精霊族の国も未だあると。只分断され、反転した地の精霊ノームのせいで、魔物が不思議な生態になったと。

彼等は驚き安心しそして矢張り嘆いた。ノームが特異固体を生み出し,ダンジョンを作っている。

だが其れは精霊王のせいである事を教えてあげると、彼等は厳しい顔で、奴は死んで良かったと言った。

精霊の道は通れないが、精霊族が未だいたことに安心したようだった。だが,あの精霊族は今の彼等と相容れないだろう。


皆で精霊樹の植樹をした。僕の土魔法で土を軟らかくし、其処にエヴァンスさんが小さな木を植えた。

ヌポポがその木に触れると、みるみる大きくなり,大きさが10倍ほどになった。

皆喜んで泣いていた。「此処にも精霊樹が齎された。」

僕は収納から、木の実を50個出して彼等に差し上げた。すべて虫食いだ。若いエルフにやれば良い。

声も出ない彼等を残し僕は自分の宿に一人で帰った。






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