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第01話「メイド死にゲーをする 1日目」

 どこぞの冒険小説によく出てくる凍結依頼。

 現代にもそのようなものが存在する。

 それは売れ残り求人。

 応募条件が厳しすぎたり、給料が割に合わなかったり。

 現代日本では後者で溢れているが今回は前者だ。

 私、青山フェリシア24歳。

 地毛銀髪、ロングヘア―、身長167cm、美人、かわいい。

 そんな私向けの求人があった。

 一応私もそれなりに家事は出来る。

 電話してみたところ何時でも辞めていいそうだ。

 もしかしたらこれアパートの一室で屈強な男たちが待ち構えていて、インターフォンを押したが最後アダルティックなビデオを撮られてしまうのかもしれない。


 恐る恐るインターフォンを押すとガチャっとドアが開き、なかから中世的な顔立ちをした男? 女? どっちだが出てきた。

 髪は肩くらいまでの長さで、男装している女性にも女装している男性にも見える。

 雇い主? メイドだからご主人様だろうか。

 ご主人様に3Lの部屋を案内されていく。

 見た限り塵ひとつ感じさせず、ピッカピカだった。

 新築だろうか。

 リビング横のゲストルームを更衣室兼休憩室として使っていいとの事。

 休憩室と聞くと昔読んだ官能小説を思い出すが、彼彼女は生えているのだろうか。

 まだ私は禁断へと触れてないので貝の合わせ方すら知らない。

 カーテンと姿見以外には何もない更衣室兼休憩室。

 部屋に入る前に渡された箱を開けると中には新品のエンプロンドレスとロングドレス、エプロンとペチパンツ、ニーソにタイツ、ホワイトブリムが入っていた。

 ご主人様あの~。

 あっ、はい。好きな方を着ていいと。

 はい、わかりました~。


 クラシカルな銀髪美女メイドになってリビングに出ると、ご主人様は台所前の四人掛けテーブルに座っていた。

 テーブルには色々と書類があったので、私も対面の席に座った。

 うわぁ、この机13万円くらいしそう。

 始めに茶封筒が渡されて中には2万円が入っていた。

 いや行き帰り1000円ですが?

 あ、はい、一ヶ月。定期でも買って欲しいと、ハイ了解です。

 次に渡された封筒には16万円入っていた。

 もうこんな仕事についっちゃったら辞めらんないでしょ。

 え、はい、私で3人目?

 え、日本に地毛銀髪165cm美女3人もいるの?

 今日は先払いで1時間で辞めても16万円頂けると。

 へへっ、辞めないっすよ旦那~。


 物は試しとご主人様が溜めたとされる積みゲーの一角に触れる事にした。

 リビングには80インチくらいの馬鹿でかいモニターがあってその対面に二人掛けのソファーがあった。

 もしこのテレビが液晶ではなくブラウン管だったら中に人がふたり、いや3人くらいは入れるだろう。

 ソファーに座るか悩んでいると、ご主人様が何処かから椅子を持って来た。

 アーロンチェアーじゃないですかー。

 25万。

 この部屋賊に入られたら終わりぞ?

 高い椅子に座らされると白と黒のコントローラーを手渡された。

 そしてご主人様はゲームのセッティングを終えると、台所からワインとおつまみを持って来てソファー横のサイドテーブルに置いて腰をかけた。

 モニター 私 ご主人様 という構図である。

 前とか横から見ないで楽しいのだろうか。

 動画サイトで活動する人々はゲーム画面と生身の上半身を一度に写しているのをよく見かけるが。

 とりあえず分身の銀髪美女を作成してプレイボール。


 開始地点は監獄だった。

 画面全体が暗い。

 ホラー映画のようだ。

 通路にゾンビのような骸骨のような物がいる。

 あ、殴られて分身の体力が少し減った。

 こいつが敵なのか。

 殴り返そうとして✕ボタンを押すとゾンビめがけて分身が前転した。

 なんで?

 あ、攻撃は〇か。

 分身が前に向かって指を指した。

 なんで?

 分身はまた殴られダメージを負った。

 じゃあ△か。

 分身は何もしなかった。

 なんで?

 分身は更に殴られ瀕死になっている。

 最後に▢だ。いっけぇー!

 映画の名探偵の気分。

 分身は何もしなかった。

 分身は死んでしまった。


 画面にはGAMEOVERの文字が浮かび上がって、80インチのテレビがその文字を強調している。

 プレイ開始してからわずか2分で起きた惨劇である。

 後ろを振り向くとご主人様は腹を抱えて笑っていた。

 死にそうですか、良かったですね。

 攻撃ボタンはR?

 なるほど、ありがとうございます。


 気を取り直して最初に出会うゾンビをRRRとRを連打して倒した。

 次のゾンビもこの調子でとRRRと連打していると弓矢が飛んできた。

 分身に大ダメージ。

 凄い死にそう。

 ゾンビがツーマンセルとかズルじゃん。

 タイミングよく弓ゾンビを切り殺す。

 弓ゾンビを倒してほっと一息ついていると火の玉が飛んできた。

 GAMEOVER


 最初のゾンビを倒し、弓矢に気を付けながらゾンビを倒す。

 弓ゾンビを倒したら、火の玉に気を付ける。

 火の玉を避けて進むと火の玉を投げてきたゾンビが見えた。

 火の玉ゾンビを攻撃していると反対側から火の玉が飛んできた。

 燃える分身。

 もう一体の火の玉ゾンビを倒しに行こうとすると分身が切りつけられた。

 GAMEOVER


 ゾンビを倒し、ツーマンセルを倒す。

 第一火の玉ゾンビはすぐに倒さずに回り込んでから倒す。

 第二火の玉ゾンビを倒す前に剣を持ったゾンビを倒す。

 そして第二火の玉ゾンビを倒してエリアクリアである。

 ここまで無傷。

 まだそんなに時間が経っていないはずなのにとても長く感じる。

 気を引き締めて次のエリアの扉を開けると、上から何かが降って来た。

 GAMEOVER


 よし再挑戦だとコントローラーを握る手の力を強めると、後ろから声がかかった。

 え、休憩ですか?

 1時間ごとに10分の休憩?

 もう1時間立っていたんですか。

 はい、分かりました。

 力を抜くと少しペチパンツの汗ばみを感じた。

 ゲームをするだけで汗ってかくことがあるんだ。

 クッキーとコーヒーですか。

 ありがとうございます、いただきます。

 あ、美味しい。

 え、ご主人様の手作り何ですか。

 凄い。

 既製品かと思ってしまうクッキーを私は作れない。

 メイドなのに。


 一息つかせてもらったので再挑戦。

 落下物が大きな悪魔ということを確認。

 悪魔から逃げきれず

 GAMEOVER


 悪魔から逃げ切る事に成功。

 逃げた先にいた鎧に敗北

 GAMEOVER


 鎧に勝利。

 悪魔を上から攻撃するも、攻撃が地面に突き刺さる。

 落下のダメージ後に悪魔から殴打

 GAMEOVER


 悪魔に上からの攻撃を当てる事に成功。

 そのままRRRと連打で悪魔に勝利。

 セーブポイントの解放。

 やったぜおらああ。

 はい?

 ああ、もう1時間たったんですね。

 休憩ですね。

 え、お昼ご飯と。

 軽い物でも何か作りましょうか?

 え、もう完成してる?

 ご主人様が作られたんですか?

 リビングのテーブルに並べられたスープカレーとサフランライス。

 スープカレーにはレンコンピーマンナスにんじんの野菜と骨付きチキンが島を成していた。

 エプロン外しますね。

 え、外さなくていい。

 カレーの染み程度なら余裕だと。

 ご主人様メイド力高いですね。

 スープカレーを食べ終えると抹茶のチーズケーキが出てきました。

 餡子付きです。

 凄い。


 今日は満足したのでまた明日にしてもいいと。

 私もこんなに長い時間ゲームはしたことがなかったのでとても疲れました。

 なのでそうさせていただきます。

 今日はごちそうさまでした。

 また明日もよろしくお願いします。

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