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魔石を研究していると面白いことに魔石を食べると魔力がアップするということに気づいた。


しかし普通の人間では魔石を食べると死に至る。これがこの世界の人たちの常識である。

だがしかーし、この俺は自身に再生魔法を施しながら魔石を少しずつ食べることによって魔力をアップさせることに気づいたのだった。


それに気づいたのは、魔石を食べると死に至るのは何故なのかと考え込んでいた時にある仮説を立ててみた。

①人間では耐えられないぐらい濃密な魔力のため。

②魔物の魔力は人間とは違うから体が適応できない。


まず①の場合だと体が自壊する前に体を再生すればいけるんじゃね?って思った。

次に②の場合は研究を重ねた結果、魔力はこの世界共通で、大元は同じだと分かった。ただ、やはり魔物の魔力は魔石になるほど濃密であり、人間では絶対に耐えれないことも分かった。その過程で、魔物の魔力器官は魔石だけど、人間の魔力器官はどこなのだろうという新たな疑問が生まれた。そして自分の魔法発動の際の魔力の流れを辿ると心臓から湧き上がってくるような感覚があったため人間の場合は心臓だという結論に至った。この研究の過程で手にした力は大きい。魔物の魔石にするほどの密度を再現するにはどうすればいいのだろうかと考え、魔力を練るという修行をするようになり、手のひらに魔力を収束しては拡散を繰り返すことにより収束力が増して少し密度が濃くなった。だが、やはりまだ魔物の密度には至らなかった。そこで思い切って自分を魔改造することにした。心臓を魔石にしてみたら魔物と同じような密度になるんじゃね?ってことで、何度も失敗と再生を繰り返し、そして今では半人間の心臓に半魔石という形の心臓へと昇華したのだった。そして今ではただの練った魔力だけで魔石を製造することができ、魔石になる前段階で魔力の弾丸という技も身につけることが出来た。たぶんこれはまだまだ研究の余地はある。ほんとうに楽しくて楽しくて仕方がなかった。


それはともかく、半心臓半魔石になった心臓のおかげで魔石を食べても死ぬことはなくなった。半魔心臓と俺は呼ぶことにした。ただ、少しずつ食べないと心臓に大きな負担がかかってしまい死んでしまうため。少量ずつ摂取しつつ再生も使い、より効率よく魔力を吸収しているのだ。


魔石にも種類があり、ざこ魔物の魔石はだいたい透明な結晶で、つよつよ魔物の魔石は色付きだ。

これは国の研究者の話だと魔力濃度が高いと魔石の色は濃くなるらしい。

透明→白→黄色→緑→青の順で濃度が濃くなっているみたいで、ちなみにワイバーンは緑だった。


魔石も食べきって魔力アップもできたし、

なにより今日は疲れた。また明日にでも深淵山脈に出かけるか。

そう思い俺は眠りについた。



朝起きるといつも欠かさず、鍛錬に励む。屋敷には広い訓練場があり、そこでいつもストレッチから始め、軽くランニングをし、筋トレをする。そしてただの木剣を振り、対人戦を想定して動きを合わせる。

俺の生まれたアークトク領では魔物と戦うことしかないが、他の地域では対人戦の方が圧倒的に多いらしい。対人戦をする理由はこの国はお隣さんと喧嘩中らしくいつでも戦争できるように常に対人戦を意識させられているためという理由が1つあるのと、あとは貴族社会は剣の腕が良い方が上という実力至上主義に近い価値観があるらしい。だから王族は常に剣の腕を磨いていると聞いているし、他の底辺貴族たちでも剣術の鍛錬は欠かさないだろうという俺の考えもあるためだ。


「今日も朝早くから頑張っていますねヴィラン坊っちゃん」


そう声をかけてきたのは親父と同じ年齢ぐらいのヒゲの生えたおっさんだった。


「騎士団長殿、お声がけくださりありがとうございます。」


そう、このおっさんこそ世界有数の実力者であるアークトク騎士団長のイイヤーツ シュギルである。

一応イイヤーツ家は子爵らしく、貴族社会ではそこそこの家の者だ。どうやら親父と昔からの仲だそうで、親父の騎士団に所属してる理由もそういった経緯もあってか、王国のスカウトも蹴ってこっちに来たみたいだ。そんでもって俺が絶対に勝てない相手でもある。

このおっさんが暇なときに手合わせをしてもらっているのだが、全くもって歯が立たない。赤子と大人ぐらいの格の違いがあると俺は思っている。


「今日も手合わせをお願いできますか?」


「ええ、いつでもどうぞ」


そう言うと俺とおっさんは木剣を構え、互いに間合いをとる。

少しの沈黙を経て、俺は前へと踏み出しおっさんの左下から斜めに斬りかかる。その俺の剣を受けようとおっさんの剣が少し下がる。その瞬間を見逃さず俺は斬りかかる剣を止め左足を踏み込み右上からの攻撃に切り替える。しかしその剣をサイドステップで躱されて、反撃を受ける。右上からの斬りかかりを剣で受け鍔迫り合いが起こる。剣先を払いのけ、一度後ろにステップし俺は間合いを取ろうとする。しかしそれを読んでいたのか俺のステップと同時におっさんが踏み込んできて剣を上から振りかざしてくる。咄嗟に俺はその剣を受けようとしたが、その剣はフェイントだったらしく横からの一閃を脇腹に食らう。横にふっとばされた俺は横たわりながらむせる。


「見切りが甘いですね。もっと相手の所作と目線を良く見てください。」


「、、は、、、、い」


呼吸を整えながら、俺は立ち上がりつつ返事をする。

今度はもっと相手の動きをみてやろうと気持ちを入れる。


「良い目になってきましたね」


このおっさん、呑気に言いやがるよ全く。

俺はまた間合いを取り、構えを少し変え、腰を低くし木剣を前に突き出す。


そしておっさんが斬り掛かってくるが、その剣を受け流し、地面へと剣を降ろさせる。その隙に俺は剣を突き出し、刺そうとする。しかしおっさんが地面に降りた剣を振り上げ、俺の突き出した剣を上へと弾く、弾かれた俺は次のおっさんがどう動くのかを見ていた。するとおっさんは少し前に体が出てきそうになっていた。俺は踏み込んでくると判断し自分も前へ踏み込み相手の想定していた間合いを潰し、剣を振りにくくした。だが、おっさんは実際には前に踏み込んでおらず、むしろ半歩後ろに足を引いた状態で剣を振りかざしてきた。

俺の左肩に剣が直撃し、痛みに悶絶する。


「まだまだ、修行が足りませんな私程度に苦戦していては王都学園でボコボコにされてしまいますよ」


「いってぇー本気で振りかざしすぎだろ!痛すぎるんだけど!」


「手加減してますよ、もう、終わりですか?坊っちゃん」


「まだまだこっから!」


そうして俺はこのおっさんに何回もボコられた。

いつになったら勝てるんだよ。

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