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魔物退治でレベル上げをするため近くの【魔の森】へとこっそり向かった。夜みんなが寝静まった頃に出てきたからバレることはないだろう。
聞いた話だとこの魔の森にはゴブリンとかオークが居てあとは狼系の魔物だけみたいだ。
魔法の実験には丁度いいレベルだと思ったけど、予想通りみたいだな。
さっき森に入ってさっそく狼に出会ったから、火矢を当てたら結構弱って、火球を当てたら倒してしまった。狼弱いな。
狼を倒したあとにすぐにゴブリンが3匹出てきたから火矢を当てたら全然効いてなくて、火球を当てたら少しダメージを食らった程度で全然元気そうだったから、火剣を使ってみようと思ったけど、火球を何発耐えれるのか気になったから、試してみた。連続で火球を当てまくってたら5発目で倒れてしまった。1狼1発1ゴブリン5発みたいだ。
オークに出くわしてオークは結構体が大きくて2mぐらいの体格をしていたな。オークは火球20発で倒せた。オークは少しレベルが違うのかな?なかなかしぶとかった。
その後に第四位階魔法を試そうと思って
火剣、水剣、黒剣、光剣を試してみたけど斬れ味は
水剣→火剣→黒剣→光剣の順で良かった。
レベルも10になったことだし、魔力もそろそろ尽きてきたし、今日はこれぐらいにしておこうかな。
次の日、魔の森よりもさらに凶暴な魔物が居るという
深淵山脈に来ていた。魔の森は初めて狩りをする子どもがよく来るらしく、初心者用の狩り場といったイメージだ。
アークトク侯爵家は辺境に居を構えているのだが、その理由は深淵山脈にあった。アークトク侯爵家は代々深淵山脈から人間の住む地域へ出てくる魔物の脅威から人々を守るための防波堤の役割を担ってきた。
そして、凶暴な魔物は強い個体が居るのは当然のこと、そういった魔物にはだいたい再生能力が備わっており、再生を阻止する闇魔法を扱えるアークトク家が対応することが最も適しているため、任されている経緯がある。しかし、闇魔法の恐ろしさと深淵山脈の凶暴な魔物の印象もあり、さらにかなり辺境のため旅行者などは全くおらず、腕試しとして来る冒険者ぐらいしか居ない。
この世界には冒険者という者たちが居て、冒険者は何をしているのかというと塔や迷宮などで魔物を討伐したり、薬草集めや掃除などまさに何でもこなす人たちのようだ。その冒険者たちをまとめている深淵支部という冒険者ギルドがアークトク領にもあるらしい。俺も冒険者ギルドに行って色々と体験してみたいな。また今度行ってみるか。
深淵山脈には試練の塔と(深淵山脈にあるため深淵の塔と呼ばれている)
地下迷宮(深淵山脈にあるため深淵迷宮と呼ばれている)があるため、より強力な魔物が蔓延っている。
アークトク家は倒した魔物から採れる魔石や魔物の素材を輸出してかなり稼いでいた。
辺境の地ではあるものの、アークトク屋敷はお城の様な規模であり、その屋敷の大きさからも伺えるとおり、かなり栄えていることが分かる。こうしてよく考えてみるとアークトク家に産まれた俺ってかなりの勝ち組なんじゃね?
勝ち組だと思っている、ヴィランが世間からどう思われているのかを知るのはもう少し先の話。
「深淵山脈って名前からしてヤバそうだし、ドラゴンも出るって聞いてるから気をつけないとな。」
少し山を登っていると兎の見た目に瞳がエメラルドで角が1本生えている魔物と遭遇した。
「確かエメラルドラビットか、ドロップするエメラルドが結構高値で取引されるって話だし、小遣い稼ぎにちょうどいいかもな。」
そう甘く見ていた自分がバカだった。
魔法を放って攻撃してみるが、全く当たらない。エメラルドラビットはかなりすばしっこく、こちらの攻撃を全てかわしてみせた。そしてエメラルドラビットも魔法を放ってくる。角からビームを出してきた。
ビームが顔をめがけて伸びてきて、俺は瞬時に顔を横に反らした。
「なんとか反射神経が良かったからかわせたけど、これは食らったら即死だな、は、ははは、、、、」
通り過ぎていったビームの先には大木があり、大木にはぽっくりと穴が空いており、大木を貫通するほどの威力のようだ。
「第三位階魔法 【黒鞭】」
エメラルドラビットの全方向に魔法陣を展開し、黒鞭を網状に発動した。
そうしてようやくエメラルドラビットを捕獲することに成功する。
するとエメラルドラビットだったはずの魔物は形が崩れ、ドロドロとした形状となり黒鞭の網をすり抜けてしまった。
そして今度は熊のような魔物へと変化した。
「擬態スライムだったのか!?」
やばいやばい。擬態スライムは絶対今の俺じゃ勝てるような相手じゃない。
擬態スライムは倒した相手の姿へと変化し能力もほとんど同等の力を有しており、なおかつレベルの平均は200ほど。今の俺のレベルは10、逆立ちしても勝てる見込みは無い。それにスライムの特性上、一度捕まれば逃げることはできない。
とにかく今は逃げないとやばい。今の熊の姿であればなんとか撒くことはできるだろう。
土魔法で壁を作りまくって落とし穴も作りまくって逃げる!
土魔法を発動した俺は即座に振り向きダッシュで逃げることにした。
「あっぶねー、マジで生きた心地がしなかったわ。」
なんとか逃げ切れた俺は息を整えながら足早に屋敷へと戻ることにした。深淵山脈は舐めて挑んだら駄目だと分からされた日だった。