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「退屈だ」
だれもが一度はそう思ったことがあるだろう。
何かに熱中して燃え尽きたあとや暇な時間ができたときに人はそう思うのだろう。
今まさにゲームに熱中し燃え尽きてすることがなく暇になってしまった少年はゲーミングチェアの背もたれを倒して魂が抜けたかのようにぐったりしていた。
「面白いことなんかないかなぁ〜」
暇になった少年は特に目的もなく夜の街に足を運んだ。面白いと思える物を探しに。
「あ~神さま。こんな退屈な世界じゃなくて剣とか魔法のあるファンタジーな世界に俺を転生させてくれ〜」
少年は一人夜の街を歩きながら気怠るけにそう呟いた。
すると、少年の足元に魔法陣が出現した。
「なんだ?」
突然出現した足元の魔法陣を見た少年はそう呟くと同時にすぐに状況を理解したのか目を輝かせていた。
「きたきたきたー!神さまありがとう!」
魔法陣の眩い美しい光に包まれた少年は一瞬にして姿を消した。
「おぎゃー!おぎゃー!おぎゃー!」
「おぉ〜ついに我がアークトク家に跡継ぎが産まれたか!!」
「はい貴方の子です。抱いてあげてください。」
そんな会話が聞こえてきたが、なぜか俺は体が思うように動かず、目も見えなかった。
まだ意識が朧気な俺はゆっくりと思考を巡らせ、そして理解した。俺は転生したんだ。
あのとき神さまにテキトーに言っただけなのにまさか本当に転生させてくれるとは。神さまなんて信じていなかったけど、これからはめっちゃ崇拝します!!神さまありがとう!!
けど、マンガとかラノベだと転生前に神さまに会ってチートなスキルだったりを貰えると思ってたんだが、全く何もなかったな。どうなってるんだ?
まぁ、前世の記憶がある時点で十分チートかもしれないな。転生させてくれたんだし、それだけで満足しとくか。
赤ちゃんだと思うように体も動かせないし目もまだ見えないからな〜どうしたもんか。
少し考えた俺はとりあえず周りの状況を把握するために耳を澄ませることにした。
だいたいの俺の状況が把握できた。
まず、俺の名前はアークトク ヴィランというらしい。アークトク侯爵家の長男として産まれたようだ。
そして、この世界はやはり剣と魔法の世界のようだ。
最高すぎる!この世界は退屈しなくて済みそうだ。
そうして気持ちを高鳴らせたのも束の間、俺は意識が朦朧とし眠りに誘われるのだった。そうか、俺まだ赤ちゃんだもんな。