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この世界はかつて混沌に満ちていた。


その惑星が誕生して間もない頃、一匹の龍とある神が戦っていた。


龍はこの世の全てを焼き尽くさんばかりのブレスを神へと放った。

神は自身の前に超特大の魔法陣を展開しブレスを防ぐ。神はブレスを防いだが、神を中心に2つに割れたブレスは神の後ろに高々とそびえ立っていた山を2つ消し飛ばした。


ブレスが効いていないところを視た龍は海を操り神を呑み込もうとする。空を浮遊して戦っているにも関わらず、龍が操った海はそれよりも高い波となり、水平線の先まで広がり覆い尽くそうとしていた。


神はまた超特大の魔法陣を横一列に展開し発動する。

すると、龍の操った海が神を覆い尽くす直前で一瞬にして凍りついた。


龍はその攻撃すら効かないと解っていたのか、すで天高くに飛び上がりさらに上を見上げた。龍が上を見上げる上空に闇を感じさせるような黒い雲が辺り一面に広がっていた。龍と神の周辺を黒雲から稲妻が迸っていた。


そして一柱の稲妻が神へ落ちた。

神は魔法陣の展開が間に合わずに稲妻が直撃した。


神は焼け焦げながら地上へと落下していく。

それを視た龍はさらに新たな業を繰り出した。

すると、先程から緩やかに落下していた神が急速に落下し、地面へと直撃し、神を中心にクレーターができた。神は起き上がろうとするが、龍の業が継続しているためか起き上がることができない。


神は地面に倒れ込んだままだ。

龍は触れたもの全てを消滅させるブレスを放とうと龍が開いた巨大な口の前に光線が集まっていた。


神がなんとか片膝を立てるぐらいに起き上がった時には龍が神へ向けてブレスを放っていた。


神は両手を前に翳し、ブレスの前に魔法陣を展開した。すると神の直前でブレスがこの世から消え去った。


龍はこのブレスで決着が着く思っていたのか、ブレスが消え、神が存在していることに驚き硬直していた。


その隙に神が上空へと両手を掲げ黒雲よりも遥か上に黒雲大の魔法陣を展開し発動した。


龍が右の鉤爪を振るった。すると幾億もの竜巻が発生し神の全方向から幾億回も直撃した。その竜巻が鳴り止むまではたしてどれぐらいの時が経っただろうか。

きっと竜巻を喰らった神からすればそれほどこの攻撃は長く永く感じただろう。


竜巻が鳴り止んだ時には神は、満身創痍の状態で辛うじて生きてきた。


龍がトドメを刺すべく、再度全てを消滅させるブレスを放とうとしていた。


すると龍の上空の黒雲が晴れた。

しかし黒雲があった時よりもさらに辺りは暗くなっていた。

黒雲が晴れ、姿を現したのはこの世界を覆い尽くすほどの隕石だった。おそらくそれを惑星と呼ぶのだろう。神は両手を上空に掲げた際に惑星を喚んでいたようだった。


龍が隕石に対して光線を放つ。

隕石は龍を押し潰そうと落下し続け、光線は隕石を押し上げようとし、その2つは拮抗していた。長く拮抗した光線と隕石だったが、光線が消えると同時に隕石が消滅した。


しかし神の技を防いだ龍の顔はさらに険しい顔になった。

神は満身創痍の状態でありながら微笑んでいた。


その両者が顔を合わせていたその時。

龍の上空から新たな隕石が落ちてきた。


自身の負けを悟った龍はその隕石を見上げることもなくただその時まで神を睨み続けていた。


そして隕石が龍を巻き込みながら惑星へ直撃した。


その間に神は自身への魔法陣を展開していた。


両者の戦いは元の惑星の見る影もないほどの惨状であり、両者とも姿が見えなくなった。


月日は流れ

惑星には植物が生い茂り、様々な種族が誕生した。


様々な種族が誕生し繁栄しては滅亡し。また新たな種族が誕生し繁栄してはまた滅亡を経て、そうして月日は流れていったが、ある時、新しい種族である人間族と人間族が誕生する以前に繁栄していた悪魔族との滅亡を懸けた戦いが巻き起こった。


人々は後にこれを「人魔大戦」と呼ぶ。


人間族が誕生する以前から繁栄していた悪魔族が圧倒的に優勢に大戦を進めており、悪魔族の長である魔王には誰も敵わなかった。そんな中、滅亡の危機に瀕した人間族の中からある時、突然飛び抜けた才能を持つ者が何人も生まれた。人々はその者を勇者と呼んだ。


そして滅亡の危機に瀕していた人間族は勇者を筆頭に悪魔族と戦い、次々と悪魔族を屠っていった。


魔王と勇者の戦いは熾烈を極めた。

激闘の末、勇者は魔王を討伐し、人間族を勝利へと導いたのだった。


人魔大戦では人間族が勝利したが、悪魔族は数が激減したもののなんとか滅亡は免れたのだった。


月日は流れ

人魔大戦の名残もほとんど消え去った惑星には人間族の繁栄がそこにあった。

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