週末、何しますか?
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
今日は自分に優しくしようと思います。
光の灯らない地下の一室に、ひっそりと佇む純喫茶がある。所々鈍色に染まった壁や、昭和を連想する調度品、それから換気扇のぶぅぅぅ……ん……という音。一度訪れると、惚れ込む人はとことん惚れ込むその喫茶で、一人静かに瞑想に耽っていた。
仲の良い友人に甘え過ぎた事。余計な世話を焼いた事。明日から始まる業務の事。また馴染めるか不安な事。兎にも角にもそれら不安が一体となって、心に重く伸し掛った。
そんな時、この場所で一人何をするでもなく環境に浸る事で、僅かに心が軽くなる気がする。明日からまた、向かい合おうと思える。
「自暴自棄になっている」
気が付くと、四つがけのテーブルに長い鈍色髪の青年が我が物顔で居座っていた。彼は時代錯誤な書生服を小さなテーブルに乱雑にのし上げて、頬杖を着いていた。
「夢が終わる。終わってしまう。だから最後の晩餐なんだ」
それを合図としたように、注文の品々が届いた。真っ白な御伽噺に出てくるようなティーポットと、黒と白の二層に別れたケーキ。何時もの私とはやや異なる注文に、彼は口角を上げる。
「その割に紅茶なの?」
「体感的に酸化が遅いから。あと苦味に慣れてしまったから……。ここらでそろそろ」
彼は『何時必ず珈琲を頼んでその日を終えるのに、なんで紅茶なの?』と言いたかったのだろう。それもそのはず、味が分からない私にとって、紅茶という選択肢は常に外れるもの。それでも今は、紅茶が良かった。味が分からなくても、これが良かった。
「珈琲って、すぐに味が酸化して、苦味が薄れてしまうから。脆さから逃げたい私には、今は少しキツイものがある」
本当は飲みたいけどね。物凄く、煽って、味わって、夢見たいけどね。でも今は少しでも現実に引き戻されるのは、遠慮しておきたかった。
「紅茶は香りを食べる為のものだから。あぁ、僕も紅茶を。ダージリンで」
物静かに佇む店員にそう告げると、琥珀の液体を見て鼻を鳴らす。それから舌なめずりをした。
「人が求めるものって、際限がないんだよね。麻薬とか、酒とか、凄く良い例で。体が慣れて、もっともっと強いものが欲しくなる。そうじゃないと酔えなくなる。だから君の決断は英断だと思うよ」
私は背もたれの低い、木椅子にくったりと凭れかかると、黙って頷いた。
あまり休みは貪るものでは無い。貪っても貪っても、際限なく欲してしまうものだから。
~数十分後~
「あぁ……そろそろ、ブランの開店時間だ……」
『ブラン』というのは、私が最も好きな純喫茶である。
「梯子するの? 」
真っ黒な丸眼鏡から除く目が、私を咎める様に輝いた気がした。
「歯止めかかるって分かってるから」
最後くらい、好きに煽らせてよ。
体が弱くなったと感じる時って、周期がずれ込んだ時が多い気がします。
朝、同じ時間に起きれなくなった。というのが顕著で。
そんな話も書きたいですね。
食レポ小説投げてますが、紅茶の味が分からない味覚音痴なので、ここらで鍛え直そうと思います。
あと苦味に慣れすぎてしまったので。
故に今回は紅茶です。
ドグラ・マグラ の香り強め、紅茶は後味まったり。
ブラン の紅茶は香り浅め、ハーブの様な爽やかさが特徴。
だと思ってます。
人の欲って際限がないんですよ。
慣れるとそれ以上が欲しくなる。もっと強いものが欲しくなる。
だからきっと、序盤が一番楽しめると思います。