なろう異世界史 物流編④
オレはこの少女を買ったあと、「君は自由だ! 好きにするといい!」なんて、言えるわけがない……
きっと、そのまま自由にしたところで、どうするかなんて決まっている……
自由を捨てて、不自由を選ぶに決まっている……
なんと自由の不自由なことか。
その瞬間、強く胸に突き刺さる感覚があった。
貨幣とは、見えない鎖のようなものだ。
これを持たなければ、自由でいることすら許されない。
自由を手に入れるには、その見えない鎖で自由を買わなければならないのだ。
――ああ、なんとも笑えない話だ。
この思いが、胸の中でじわじわと広がると同時に、次に何をすべきかを考え始めた。
「見放すことなんてできない。」
助けたい気持ちはあった。
しかし、結局その少女がどう生きるべきか、何をすればよいのか、わしには分からない。
結局のところ、自由を手に入れるためには、その少女もまた、誰かに頼らなければならないのだろう。
だからこそ、わしは一歩踏み出すことを決めた。
放置するわけにはいかない。
そのまま放っておくのは、わしにとって耐えがたいことだった。
そして、結局わしはその少女の家に赴くことを決めた。
少女はひどく嫌がった。その顔に浮かぶ恐怖と不安が、わしの胸に深く刺さった。
しかし、わしはそんな彼女を無理にでも連れて行かざるを得なかった。
彼女が逆らうことはできないのだ。
その時点で、わしは彼女の命運を握ってしまったのだから。
「行こう」と声をかけた瞬間、彼女は渋々、案内することに応じた。
その従順さを見て、わしは胸が痛む思いを禁じ得なかった。
心の中で、彼女がどれほど抵抗しているかが痛いほど分かる。
だが今は、それを乗り越えなければならない。
そして、同時に感じたのは、少女の家にたどり着いたとき、きっと侮蔑の言葉が待っているということだ。その言葉を、わしは甘んじて受け入れる覚悟を決めた。
その侮蔑が、わしの罪滅ぼしだということを、わしは理解していた。
それがせめてもの償いなのだから……
そして、気が重いまま少女の家へと到着したのだった。
わしは覚悟したまま、扉をたたく。
少女の案内で、わしは彼女の家へとたどり着いた。