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なろう異世界史  作者:
35/38

なろう異世界史 迷宮篇⑰

 中に入ると、殺伐とした雰囲気が支配していた。


 ここにいる者たちは、本気で狩りに取り組んでいる。


 周囲では、道具の点検や軽い戦闘訓練が行われていた。


「そこ、違うっ!  もう一度だ!  だから、そこは……!」


 指導員の声に熱のこもった指導が響く。


 ほかにも、何人かが集まり、道具の自慢や戦術の議論に熱を上げていた。


 中には、仲間内で戦術を議論している者たちもいる。


「いや、このルートだと時間切れになるから」

「あのパターンの回避方法は……」


 など、熱く語っている。


 そして、周囲には、戦闘を見守る連中もいた。


 腕を組み、無言で動きを見つめる者、興奮気味に技術を語る者……。


 ふと大声が聞こえてきた。入り口付近を見てみると、初心者らしき冒険者がベテランから指導を受けていた。


「その装備じゃ無理だよ」

「立ち回り覚えてから来い」


 と、容赦ない声が飛んでいた。


 その様子を見て、オレは「どこかで見たことがあるな」と思った。


 ……どこだったっけ?


「………っ!」


 思い出したっ!


 これ、昔のゲーセンに雰囲気が似ているんだ。


 なんとなく妙に納得しつつ、エリーゼと一緒に先を進んだ。


 迷宮ランドのときとは違い、この雰囲気になれないのか、オレの隣にぴったり引っ付いて、離れようとしない。


 腕の裾を握ったままのエリーゼに、気恥ずかしさを覚えつつ、とにかくどんな場所があるのかを見て回ることにした。


 初めに見つけたのは──


迷宮のはずなのに、密林や永久凍土といった屋外フィールドが広がっている。不思議な構造をした迷宮だった。


 ◆『リアルもふもんエクストリーム』◆


 「本格的狩猟体験型アトラクション!」登場!


「………」


 冒険者は全てが本格的なのだが……


 ……まあ、いいか。


「ここ、どうする……エリーゼ?」


「……わ、わたしはいいので、ご主人様が行きたいのであれば、どうぞ……」


「ま、まあ、やめておくよ……」


 なんで冒険者が、本格的な狩猟アトラクションをやらなきゃいけないんだ……と思い、やめた。


 ん?


 なんか掲示板があるな。


 ちょっと見てみるか。


 ◆『リアルもふもんエクストリーム』◆


 ――「何ヶ月かに一度、迷宮内のフィールドが変更されます!」


【現在の狩場】ジャングル


「キミは生き残ることができるか?」


【次回開放地】永久凍土


「あのフェンリルが登場! 捕獲は可能ですが、オススメはしません」


【期間限定狩猟場近日解禁!】 Coming Soon!


「あの伝説の魔獣がついに……!」


【重要なお知らせ】

・死なないでください(スタッフの探索が困難になります)

・エサを置いていかないでください(もふもんが学習してしまいます)

・遭難しても自己責任です(でも、面白かったら後で話を聞かせてください)

・ジャングルの植物は食べないでください(当たりがあります)


「………」


 なんだろうか……ある意味、ギルドで言われていることとあまり変わらない感覚……


 変なところまで、妙にリアルだ……


 もうツッコむ気力もない……


 そして、少し騒がしい人が何か揉めているらしく耳を傾けてみた。


 ガチ冒険者「ばかやろ! それにさわんじゃね!」


 エンジョイ冒険者「え?  これ落し物じゃ……!」


 ガチ冒険者「確認で、そこに並べてんだよっ! ったく! おれたちゃ、遊び半分でやってんじゃねぇ!  本気ガチ でやってんだよ!」


 エンジョイ冒険者「え、いや……アトラクション……」


 ガチ冒険者「んっとに、これだから、冒険者は……」


 エンジョイ冒険者「いや、お前も冒険者だろ?」


「………なにやってるんだか………」


 形は違えど、何度か同じような光景を見かけながらも先に進んでみるのだった

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