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なろう異世界史  作者:
32/38

なろう異世界史 迷宮篇⑭

「ふぅ~こんな感じかな。どう、わかった?」


「ああ。説明ありがとうな。でも、リアル志向か。どんな所なんだろ?」


「まぁ、一度行ってみればわかるかもね」


「あれ? こっちにはあんまり興味なさそうだな」


「だって、かわいくないもん。興味がなくて当然よ。でも、ガチ冒険者には人気あるらしいよ」


「………」


 ガチ冒険者ってなんだよ……  冒険者自体がガチだろう……


 そう思っていると、ギルドの静かな空気を破るように扉が開き、無口で無愛想な少女が入ってきた。


 背は低く、下手したら小学生くらいにしか見えない。

 髪は長くツインテールで、全身黒いワンピース?  ぽい出で立ちが印象的だった。


「あ、チェルシー。おはよ」


「……ぁよ。リーン」


 無愛想に返事をすると、表情も硬く、無駄な言葉は一切発さずに歩き出し、チェルシーが制服に着替えるため脱衣所へと向かうのを見守る。


 不思議そうな顔をしているオレの様子を見て、リーンは苦笑いを浮かべ、さらに続ける。


「あー、あの子、いつもあんな感じだから、気にしないでね」


「あ、ああ……」


 てか、このおねえさん、リーンって言うのか。

 初めて知ったかも……オレ、失礼だったな。


 などと思っていると、さっきの子がカウンターに戻ってきた。

 チェルシーは静かに席に座り、ギルド内にはまた微妙な空気が漂っていた。


「だれ? 依頼の申し込み?」


 と、不機嫌そうに話す。


「あ、いや、オレは……」


 と言いかけた時に、リーンが説明を始めた。


「こちらは、冒険者の○○さん。ティバ迷宮ランドから戻ったばかりで、様子を聞いてたのよ」


「……冒険者? あなたが?」


 そう言うと、オレをじろじろ観察して、「ふっ……」と鼻で笑われた。


「………」


 か、感じ悪いぞ……この子……

 たしかに、変わった受付の人がいることもあるが、ちょっと癖が強すぎる気がする。


 その時、リーンが話を切り出した。


「ところでさ、オサカ迷宮スタジオにも行くの?」


 その言葉に、チェルシーの耳がぴくっと動いた。

 ちらりとこちらを見て、わずかに反応を示したのだ。


「ああ、行ってみようとは思う。なぁ、エリーゼもいいよな?」


「……はぃ……ごしゅじんさまが、行かれるというのならばお供します……」


 歯切れが悪いな……あんまり、興味なさそうだ。


 なら……


「……その後にまた、迷宮ランド行ってみるか?」


 ――ガバッ!


 そう言うと、エリーゼは息を吹き返したように元気よく「はいっ! 是非っ!」と言ってきた。


 現金なやつめ……


「でも、どうなところなんだろうな。オサカ迷宮スタジオって」


 主人公が問いかけると、チェルシーの目が一瞬鋭く光った。

 次の瞬間、彼女は言葉を吐き出すように話し始めた。


「オサカ迷宮スタジオは、ただのテーマパークじゃないんだ。あそこの‘狩り’は、リアルを追求しすぎてるんだよ」


 チェルシーの目が輝き、彼女が熱く語りだすと、周りの空気が一変した。


 主人公は少し戸惑いながら、「へぇ、そんなにリアル路線なのか」と反応するが、その一言がチェルシーの怒りを引き起こす。


「これだから……にわかが。ふぅ、仕方ないわね、わたしが直々に教えてあげるわよ。オサカ迷宮スタジオの魅力をっ!」


「お、おうっ!」


 な、なんだ、なにか踏み抜いたのか? オレ?


 となりのリーンさんは「あちゃ~」って困った表情を浮かべてるぞ……


「そもそもオサカはリアル感を追求した結果、魔獣の動きとか、環境がどれだけ本物に近いかを重視してるんだよ。それに比べて、ティバ迷宮ランドの‘もふもん’なんて、クソだっ!」


 ――ぞくっ!


 その瞬間オレの後ろから物凄い嫌な気配を感じたのだった……

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