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なろう異世界史  作者:
28/38

なろう異世界史 迷宮篇⑩

 なんとか、入場券を買って中に入場した。


 入場したのはいいのだが……


 スライムエリア:只今、三時間待ち、こちら最後尾になります。


 ゴブリン討伐クエストエリア:五時間待ち。


 もふもん記念撮影会:今日は終了しました。次は三日待ちになります。


「………」


「……撮影会……いきたい……」


「エ、エリーゼ……?」


「わたくし、もふもん……もふもふしたかったのに……ハッ! す、すいません……つい、本音を……」


「……い、いや、いい。残念だったな……」


「はい……」


 エリーゼは肩を落とし「シュン」としていた。


「あっ! あっちは空いてそうだな? 行ってみるか?」


「はい、どこまでも、ついていきます」


「………ま、いっか」


 そして、空いている場所について看板を見ると


 ――『グリムワンダーメイズ』――


 と、書かれた場所があった。


「お、これなら、三十分ほどだ」


「どうする? エリーゼ」


「わたくしは、ご主人様がよければ、どこでもいいですよ」


「そ、そうか。じゃあ、並んでみようか?」


「はい、おおせのままに」


「………」


 そして、並んでみることにした。


 しかし、ここはなんだろ?


「……ん?」


 そう思っていると注意書きのような看板を見つけた。


 早速読んでみると――



 ――『本物を取り扱っているため、以下の行為を禁止します』――


 ――僧侶の入場禁止


「お祓いや浄化をしないでください。スタッフ(アンデッド)が消えてしまいます!」


 ――回復魔法の使用禁止


「ホラーハウスのリアルゾンビが治ってしまうため、ヒールは禁止です!」


 ――浄化ポーションの持ち込み禁止


「館内の腐敗臭や瘴気も演出の一部です。持ち込まないでください!」


 ――除霊・退魔道具の使用厳禁


「除霊符を貼るのはやめてください。怨霊役のアルバイトさん(本物)が働けません!」


 ――光魔法の使用禁止


「暗闇演出が台無しになりますので、明るくしないでください」


 ――勇者の入場禁止


「ホラーハウスはあくまで楽しむものです。モンスターを全滅させないでください」


 ――不死系種族の入場禁止


「スタッフ(幽霊)が仲間だと思ってついてくるので、混乱の元になります」


 ――死者蘇生の魔法禁止


「ホラーハウスのリアリティのため、既に成仏した者を蘇らせないでください」


 ――精神耐性装備の着用禁止


「怖がっていただかないと営業に支障が出ます!」

『すべて偽物だ!』と叫ぶのは禁止


「それを言っちゃおしまいです……」


 ――


「……なんだこれっ! ここ、ホラーハウスなのか……」


「ご主人様……わたしはちょっと……」


「え、ああ……でも、折角だし……さ」


「は……い……」


 エリーゼは、かなり嫌そうな顔をしていた……


「お、順番がきたな。いくか」


「………ぃ」


 ―――数十分後。


「ハァハァ……予想以上にリアルだった……」


 そらそうだ。

 

 モノホンばかりなんだもんな……


 リアルで当たり前だ。


 エリーゼは途中で気を失いそうになるし……


 恐るべし迷宮ランド……


「………いあぁぁ。ゾンビが、ゴーストがぁ……ヘル○イザーがぁ……」


 予想以上にトラウマを与えてしまったようだ……


「お、おちつけエリーゼ……外だから、もう大丈夫だ」


「ごしゅじんさま……うっ……うえぇぇん……」


「よしよし、怖かったな、もう大丈夫だ」


 オレの胸でひとしきり泣いて、エリーゼは落ち着いた。


「ずず……申し訳ございません。ご主人様の衣服を汚してしまいました……」


「気にするな」


 しっかし、これは……人気が出て当然だな。


 本物を使ってる以上、怖さも異次元だし……リアルさのレベルが違う。


「ご、ご主人様……」


「ん?」


「わたくし、二度と入りたくありません……」


「だろうな……」


 オレは、ゾンビに怯えて震えるエリーゼを横目に、改めて思った。

 

 ――恐るべし、迷宮ランド。これは、夢か、悪夢か……

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